友達に裏切られ親とケンカした日の夜。
遺書みたいな手紙を入れたウイスキーの瓶を持って、
全てを投げ出したくなって家を飛び出した。
たどり着いた海の砂浜に、大きな亀が休んでいる。
「竜宮城に連れて行ってなんてことは言わない。
ただ、もし良ければ楽になれる場所を教えて欲しい」
と亀に言いたかった。
亀が動かないから、不安になって声をかけた。
「生きてる?」
亀は少し頭を動かして、こちらを見た。
ボーっとしてるだけだと思い、安心した。
持っていたボトルメールをどうしようかなと思いつつ
時間を忘れて私と亀は共に夜を過ごした。
水平線にオレンジの線が顔を出してきた明け方。
うたた寝をしている間に、気づいたら亀はいなかった。
あの亀はなんだったのだろうか。
でも、私に何も問いたださない無口な亀に感謝した。
気をもむことがない昨夜と亀は、私の疲れを癒した。
持っていたボトルメールを流さないまま
私は帰路についた。
8/16/2024, 6:20:58 AM