ハクメイ

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1/26/2026, 12:16:16 PM

1日と1日の狭間
時計の針が、ぴたりと止まった。
針は接着剤でくっついたかのように、動かなくなる。
自身の部屋で目覚めた少年は、その時計を不思議そうに見ていた。
茶色の髪が、寝癖でひどい方向に曲がっている。
壊れたのかな?と独り言を呟き、枕側に置かれたスマホをいじる。
しかし、何度も画面をタッチしても、自身の顔を写すだけだ。
少年はシャッドダウンをし、電源をつけようとするも、何も反応がない。
まるで壊れてしまったかのようだった

少年は、真っ暗な室内を明かり無しで歩き出した。
見慣れた部屋も、暗闇の中ではお化け屋敷のように感じてしまう。
なんとか手すりを掴み、両親の寝ている1階に降りる。
すると、階段の目の前に広がっている玄関の扉が、少しだけ開いていることに気がついた。
微かに月明かりが、そこから漏れ出している。
不用心だな、と鍵を閉めようと扉に近づいた。
手を伸ばし、シルバーの取っ手を掴む。
その瞬間、ドアが開かれ、顔面に扉がぶつかった。
「うわっ!」
おでこに痛みを覚えながら、少年は後ろに倒れ込む。
いたた、とおでこを抑えながら開け放たれた扉を見やった。
そこには、誰かが居た。

それは成人男性ほどの大きさで、倒れ込む少年を見下している。
二本の足に、二本の腕。
しかしその皮膚は、スライムのような緑色だった。
服はボロボロで、殆ど着ていないのと同義だ。
目は虚で、開け放たれた口に歯なんてものは無い。
「あぁ…あぅ…」
その言葉は、目の前にいるそれが、ゾンビであることを証明してしまった。
少年は叫び声を上げ、立ちあがろうとするも、腰に力が入らない。
ゾンビは脚を引き摺りながら、少年に少しずつにじり寄る。
その手が、少年のおでこに触れようとする。
しかしそんなことは起こらなかった

目を瞑っていた少年が目を開けると、そこにはゾンビの姿はおらず、代わりに女性が立っていた。
金髪を肩下まで伸ばし、右目が髪で隠れている。
水色の眼の下には深いクマが描かれ、不健康そうな顔でニヤリと笑っている。
ヤンキーのように片手で待っていたのは、ふざけた色をしたピコピコハンマーだった。
「大丈夫かい、少年?
私が倒していなければ、君はこの夢の中で永遠にゾンビとして、生きる所だったぞ。」
女性はハンマーを持っていない手を、少年に伸ばす。
「さぁ、ゾンビになりたくないのならこの手を取れ。
私が、現実に帰るのを手伝ってやろう。」
困惑しながら、少年はその手を取った。

お題『ミッドナイト』×『ゾンビ』

*妖怪ウォッチ3をプレイした人なら、きっと後半の女性が分かるはず…

1/25/2026, 12:40:48 PM

そこは、薄暗い部屋だった。
かちかちと照明が瞬きをし、灰色の鉄で作られた壁と床の上には、様々な書類が散らばっている。
「おい、本当にここなのか?」
黒髪に少しばかりの白髪を混ぜた、40代程の男性が、隣にいる女性に話しかけた。
「そのはずですけど…ニキ、ほんとに探してます?」
「こちとら警察だぞなめんな」
「うーん、他の部屋は調べ尽くしましたしね。」
女性はそう言いながら、ため息をつく。
ベージュの髪を肩下まで伸ばし、カーキのコートを羽織っている。
20代ほどの、少し大人び、かつ可愛げのある顔だった。

その会話から数分後。会話のない空気を切り捨てたのは
「あ!あった!」
という、女性の言葉だった。
やっとか、と男性も側に駆け寄り、女性が手にした一枚の紙を見つめる。
それは、手書きの文字がびっしりと書かれた、手記のようなものだった。
イラストや写真がはいる余地などなく、無機質に一番上には『生物兵器 最終調整』とタイトルが書かれていた。
「おいこれ…」
「まぁ、全部読んでからにしましょうよ。」
二人は文字を読むスピードを合わせ、読み進めた。

内容は、人をゾンビ化させてしまうウイルスや、規制主を洗脳してしまう虫、人骨を貪る猿の開発など。
様々な人類を危機に貶める方法への、アプローチが記載されていた。
しかし、どれも材料や金銭、実験段階で失敗が連続したことにより、開発は中止となっていた。
二人は、安堵のため息をついた。

更に、二人は文字を読み進めた。
その文字の後に続いた、"しかし"の文字が気になったからだ。
『しかし、ついに、やっと見つけた。転機が訪れた。
彼と出会ってから、このアプローチが可能になった。
嬉しくて死んでしまいそうだ。これで、あの憎き警察どもを滅ぼせる。
実行日は1/26。さぁ、無様に人骨を晒しやがれ。』
二人が、最悪なため息をついた。

「やばいですね。」
「あぁ、明日だ。」
「流石に手伝いますよ。この感じ、相手も私のような存在を味方につけているだろうし。」
「ふーー対価はなんだ?」
ギロリと、男性が睨む。
「えへへ。ちょっとばかし北に用事がありまして、警部の口利きで、お宿を取って欲しいんですよ〜」
警部と呼ばれた男性は、長いため息をつく。
「わかった…いいぞ」
安心と不安の空気が、部屋の中で混じり合った。

お題『安心と不安』×『生物兵器』

1/24/2026, 12:45:23 PM

そこは、浜辺だった。
赤い海がザーザーと波打ち、少し傾いた太陽が、灰色の砂浜を焼いていた。
「本当に現れるんですかね。」
灰色の綿飴をちぎったような髪をした少年が、そう言った。
黒のマントが全身を隠し、金色の瞳で海を見つめる。
「きっとね。ほら、来たら戦闘するんだから、今のうちに体をほぐしとかないと。」
ベージュの髪を肩下まで伸ばし、カーキのコートを羽織った女性が、ぐいっと背伸びをしながら答えた。
20代前半ほどの、すこし大人びて、それでも可愛げのある顔をしている。

「確かすっごく大きい魚なんですよね、やなぎさん。」
やなぎと言われた女性は、屈伸をしながら答えた。
「うん。どうやら、"悲しみ"の想いを持ってるみたい。
ほら、噂をすれば…来たよ、レーラ。」
レーラと呼ばれた少年は、
「うぇぇ…まじですか」
と、荒々しくなった海を見る。
赤い波が不規則に動き、その海からそれが現れた。
イルカのショーで見る、ジャンプかのように飛んだそれは、中ぐらいの大きさをした船のようだった。
肉がついておらず、骨だけの姿をしたその魚は、元気よく跳んだ後、水飛沫をあげて海に潜る。
赤い水が二人の旅人にかかった。
「ふーーー…………」
心の底の感情を押し込め、やなぎは靴に風を纏わせ、宙に飛ぶ。
「温泉のために、頑張りますかっと!」
「やなぎさんすごい。本音を言わなかった。」
「ネガティブなこと言っても、変わんないから!ほら、行くよレーラ!」
逆光を浴びたやなぎが、戦闘開始の合図を出す。
「はいはい、じゃあお願いします!」
いつのまにか人間サイズの梟になったレーラが、やなぎの側で、羽を大きく動かす。
「うん。戦闘開始!」

お題『逆光』×『巨大モンスター』

1/23/2026, 12:38:31 PM

そこは白い部屋だった。
明かりもないのに明るくて、どこまで奥が、横が広がっているのかわからなかった。
目が痛くなるほどの白、白、白。
そこで目覚めたのは、灰色の髪を長く束ねた男だった。
ネイビーブルーの目が、困惑の形を作りだす。」
「あ、あれ。なんでこんなとこに。」

戸惑いをかき消すように、うるさい音が聞こえてきた。
それは、例える意味がないほど、わかりやすく、とても嫌な音だった。
目の前に、津波のように襲いかかってくる何かが、迫ってきた。
それは"虫の大群"だった
羽音を立て、軍隊のように整列し、猛スピードで迫ってくる。
「はぁ?は、は、うわぁ!?!?」
情けない声を上げ、逃げようと走り出す。
しかし、そんな努力は虚しく消え去った。
虫の大群に呑まれ、服や、花や、口の中に入り込む。
嗚咽をしようにも出来ず、無我夢中に手を振り回す。
いつのまにか手に持っていた剣で、虫達を切り刻む。
黒い虫と、赤い鮮血が混じり合った。

一体、どれだけの時間が経ったのだろうか。
「はぁ…はぁ…はぁ」
男が息を荒く、呼吸をする。
「観念しろ!!」
若い男性の声が聞こえた。
男が視線を上げると、そこは白い部屋では無かった。
交差点のような場所で、目の前に天使が複数人立っている。
彼らはボロボロで、険しい顔をしている。
一際目立ち、堂々とした、6枚の翼を持った天使が前に出た。
「我が名は熾天使、ミカエル。観念しろ、犯罪者め。」
これが夢だったらいいのに。と、強く思ってしまった。

お題『こんな夢を見た』×『虫』

1/22/2026, 11:06:45 AM

「もしタイムマシーンがあったら、何に使いたいですか?」
そう言ったのは、10代前半程の少年だった。
綿飴をちぎった様な灰色の髪に、金色の眼。
黒のマントが全身を覆い隠し、虫の王国を探索している剣士の様な姿だった。
「えー、うんと。落としちゃったプリンを買う前に戻る。それで、代わりに野菜ジュース買う。あらごし入りの、コンビニ限定なやつ。」
答えたのは、20代前半ほどの女性だった。
カーキの眼に、ベージュの髪を肩下まで伸ばし、少し分厚くて、目の色と同じコートを羽織っている。

「くだらないですねぇ。でも、あれよりはマシだと思います。」
「うん。なんで、合わせちゃうかなぁ。」
「まぁ、強い×ロマンの組み合わせは、最高ですけど。」
二人の旅人は、目の前のそれを改めて見た。
ゴテゴテとした金属は、ドラゴンの形をしていた。
2枚の大きな翼に、前脚と後ろ足。
飛ぶタイプの、火を吐きそうな、そんな典型的な姿。
「なにも、タイムマシーンを、ドラゴンの姿にしなくても…」
「やっぱり、ロマン。だからですかね。」
「裁縫道具かよ。ほら、倒すよー。」
「はーい」
金属を擦り合わせながら、ドラゴンが動き出す。
その姿に物怖じもせず、二人の旅人は戦闘を開始した。

お題『タイムマシーン』×『爬虫類』

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