そこは、浜辺だった。
赤い海がザーザーと波打ち、少し傾いた太陽が、灰色の砂浜を焼いていた。
「本当に現れるんですかね。」
灰色の綿飴をちぎったような髪をした少年が、そう言った。
黒のマントが全身を隠し、金色の瞳で海を見つめる。
「きっとね。ほら、来たら戦闘するんだから、今のうちに体をほぐしとかないと。」
ベージュの髪を肩下まで伸ばし、カーキのコートを羽織った女性が、ぐいっと背伸びをしながら答えた。
20代前半ほどの、すこし大人びて、それでも可愛げのある顔をしている。
「確かすっごく大きい魚なんですよね、やなぎさん。」
やなぎと言われた女性は、屈伸をしながら答えた。
「うん。どうやら、"悲しみ"の想いを持ってるみたい。
ほら、噂をすれば…来たよ、レーラ。」
レーラと呼ばれた少年は、
「うぇぇ…まじですか」
と、荒々しくなった海を見る。
赤い波が不規則に動き、その海からそれが現れた。
イルカのショーで見る、ジャンプかのように飛んだそれは、中ぐらいの大きさをした船のようだった。
肉がついておらず、骨だけの姿をしたその魚は、元気よく跳んだ後、水飛沫をあげて海に潜る。
赤い水が二人の旅人にかかった。
「ふーーー…………」
心の底の感情を押し込め、やなぎは靴に風を纏わせ、宙に飛ぶ。
「温泉のために、頑張りますかっと!」
「やなぎさんすごい。本音を言わなかった。」
「ネガティブなこと言っても、変わんないから!ほら、行くよレーラ!」
逆光を浴びたやなぎが、戦闘開始の合図を出す。
「はいはい、じゃあお願いします!」
いつのまにか人間サイズの梟になったレーラが、やなぎの側で、羽を大きく動かす。
「うん。戦闘開始!」
お題『逆光』×『巨大モンスター』
1/24/2026, 12:45:23 PM