ハクメイ

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1日と1日の狭間
時計の針が、ぴたりと止まった。
針は接着剤でくっついたかのように、動かなくなる。
自身の部屋で目覚めた少年は、その時計を不思議そうに見ていた。
茶色の髪が、寝癖でひどい方向に曲がっている。
壊れたのかな?と独り言を呟き、枕側に置かれたスマホをいじる。
しかし、何度も画面をタッチしても、自身の顔を写すだけだ。
少年はシャッドダウンをし、電源をつけようとするも、何も反応がない。
まるで壊れてしまったかのようだった

少年は、真っ暗な室内を明かり無しで歩き出した。
見慣れた部屋も、暗闇の中ではお化け屋敷のように感じてしまう。
なんとか手すりを掴み、両親の寝ている1階に降りる。
すると、階段の目の前に広がっている玄関の扉が、少しだけ開いていることに気がついた。
微かに月明かりが、そこから漏れ出している。
不用心だな、と鍵を閉めようと扉に近づいた。
手を伸ばし、シルバーの取っ手を掴む。
その瞬間、ドアが開かれ、顔面に扉がぶつかった。
「うわっ!」
おでこに痛みを覚えながら、少年は後ろに倒れ込む。
いたた、とおでこを抑えながら開け放たれた扉を見やった。
そこには、誰かが居た。

それは成人男性ほどの大きさで、倒れ込む少年を見下している。
二本の足に、二本の腕。
しかしその皮膚は、スライムのような緑色だった。
服はボロボロで、殆ど着ていないのと同義だ。
目は虚で、開け放たれた口に歯なんてものは無い。
「あぁ…あぅ…」
その言葉は、目の前にいるそれが、ゾンビであることを証明してしまった。
少年は叫び声を上げ、立ちあがろうとするも、腰に力が入らない。
ゾンビは脚を引き摺りながら、少年に少しずつにじり寄る。
その手が、少年のおでこに触れようとする。
しかしそんなことは起こらなかった

目を瞑っていた少年が目を開けると、そこにはゾンビの姿はおらず、代わりに女性が立っていた。
金髪を肩下まで伸ばし、右目が髪で隠れている。
水色の眼の下には深いクマが描かれ、不健康そうな顔でニヤリと笑っている。
ヤンキーのように片手で待っていたのは、ふざけた色をしたピコピコハンマーだった。
「大丈夫かい、少年?
私が倒していなければ、君はこの夢の中で永遠にゾンビとして、生きる所だったぞ。」
女性はハンマーを持っていない手を、少年に伸ばす。
「さぁ、ゾンビになりたくないのならこの手を取れ。
私が、現実に帰るのを手伝ってやろう。」
困惑しながら、少年はその手を取った。

お題『ミッドナイト』×『ゾンビ』

*妖怪ウォッチ3をプレイした人なら、きっと後半の女性が分かるはず…

1/26/2026, 12:16:16 PM