そこら辺の人🏳️

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1/22/2024, 11:57:57 AM

 あの子を助けるために、私は過去へ行けるタイムマシーンを造った。

 私の身代わりになって、犠牲になった親友。

 私と正反対の、とても優秀で、誰からも好かれていて、私も大好きだった親友。

 あの子が死んだ時、周りから「なんで、あなたの方が生きているの?」と数えきれないほど言われた。

 それからは贖罪の日々だった。

 私は罪を償うために、今まで生きていたのだ。

 それも、今日で終わる。

 私はタイムマシーンに乗り、過去へと渡った。

 そして高校生の時まで戻ることに成功し、私はタイムマシーンから降りてなりふり構わず駆け出した。

 通学途中の2人の高校生に体当たりして、鉄骨の下敷きになるのを防ぐのだ。

 だが、親友は高校生の私と年を取った私を押した。
 
 なぜ、と驚く私に彼女は微笑むだけで何も言わなかった。

 変わらずに鉄骨の下敷きになった親友は、震える手を伸ばして私の頭を撫で、微笑む。

「リエが、生きてて良かった……」

 なぜ、彼女に私が私だとわかったのか、わからない。

 ただ、私は涙が止まらなかった。

1/21/2024, 1:41:21 PM

 今日は特別な夜だ。

 だから、ケーキを食べてもいいし、値引きシールの貼ってあるちょっと豪華な惣菜を食べてもいい。

 特に何かあった訳じゃないけど、今日は「特別な夜」と決めたから、特別な夜なのだ。

 だから、誰もいない部屋で、チューハイを開けて乾杯する。

 明日からまた来る、普通の日々を耐えるために。

1/20/2024, 12:01:00 PM

 昔、船から落ちて溺れてしまった私は、今も海の底にいる。

 陽の光が届かない暗闇の中、クラゲのように漂っているのだ。

 見たことない魚やサンゴ礁、貝などのおかげであまり退屈はしない。

 だが、身を焦がすような孤独が、この身を蝕む。

 だから時々、手を伸ばして、誰か来ないかと夢想する。

 そして今日、ようやく、待ちに待った彼を捕まえた。

 この手は絶対に離さない。

 例え、彼の身が朽ちようとも。

1/19/2024, 11:43:14 AM

「また、お世話になります」

 私が頭を下げると、看護師である彼女は穏やかに笑った。

「いえいえ。それより、怪我が早く治るといいですね」

 その言葉にチクリと罪悪感を覚える。
 以前、入院した時に会ってから、私は彼女のことで頭がいっぱいになってしまった。
 だから、また入院するために、わざと怪我をしたのだ。
 そんなことを露とも知らない彼女に世話を焼かれると、とても申し訳なく感じる。

「すいませんね」
「いえ、大丈夫ですよ。それに、また会えて嬉しかったです」

 体を拭かれながら言われた言葉に、顔をぽぉっと熱くなった。
 もしかしたら両思いかもしれないと、ドキドキと鼓動が速くなる。

「何か困ったことがあったら呼んでくださいね」

 そう言って立ち去る彼女を、私はぼんやり見つめた。


※※※


 ○○さん、また来てくれて良かった。

 やっぱり、ご飯に少しだけ興奮剤を入れたのが良かったのかな。

 それとも、願掛けのために、夜中に耳元で「あなたは私を好きになる」と唱え続けたのが効いたのかな。

 入院でもしてくれないと、接点なんて全くないもの。

 まぁ、もし、また退院したのなら、私のしわざだとわからないように上手く怪我をさせて、また入院してもらえばいいか。

1/18/2024, 11:19:04 AM

 母の遺品で、側面を糸で縫い付けられている日記帳が見つかった。

 あまりに気になり糸を切って中身を見てみると、懐かしい母の文字で日々のことが綴られていた。

 だが、時が進むにつれ、どんどん日記の内容がおかしくなっていく。

 私はあまりの衝撃で震えた。

「我が暗黒の魔手で、今日も者共の空腹を満たした」
「強者どもが集まる略奪の日、我は見事に純白の楕円を手に入れた」
「我が倅の連戦の跡を白魔法で消す」

 母は遅い厨二病だったようだ。

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