昔、船から落ちて溺れてしまった私は、今も海の底にいる。 陽の光が届かない暗闇の中、クラゲのように漂っているのだ。 見たことない魚やサンゴ礁、貝などのおかげであまり退屈はしない。 だが、身を焦がすような孤独が、この身を蝕む。 だから時々、手を伸ばして、誰か来ないかと夢想する。 そして今日、ようやく、待ちに待った彼を捕まえた。 この手は絶対に離さない。 例え、彼の身が朽ちようとも。
1/20/2024, 12:01:00 PM