そこら辺の人🏳️

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「また、お世話になります」

 私が頭を下げると、看護師である彼女は穏やかに笑った。

「いえいえ。それより、怪我が早く治るといいですね」

 その言葉にチクリと罪悪感を覚える。
 以前、入院した時に会ってから、私は彼女のことで頭がいっぱいになってしまった。
 だから、また入院するために、わざと怪我をしたのだ。
 そんなことを露とも知らない彼女に世話を焼かれると、とても申し訳なく感じる。

「すいませんね」
「いえ、大丈夫ですよ。それに、また会えて嬉しかったです」

 体を拭かれながら言われた言葉に、顔をぽぉっと熱くなった。
 もしかしたら両思いかもしれないと、ドキドキと鼓動が速くなる。

「何か困ったことがあったら呼んでくださいね」

 そう言って立ち去る彼女を、私はぼんやり見つめた。


※※※


 ○○さん、また来てくれて良かった。

 やっぱり、ご飯に少しだけ興奮剤を入れたのが良かったのかな。

 それとも、願掛けのために、夜中に耳元で「あなたは私を好きになる」と唱え続けたのが効いたのかな。

 入院でもしてくれないと、接点なんて全くないもの。

 まぁ、もし、また退院したのなら、私のしわざだとわからないように上手く怪我をさせて、また入院してもらえばいいか。

1/19/2024, 11:43:14 AM