「また、お世話になります」
私が頭を下げると、看護師である彼女は穏やかに笑った。
「いえいえ。それより、怪我が早く治るといいですね」
その言葉にチクリと罪悪感を覚える。
以前、入院した時に会ってから、私は彼女のことで頭がいっぱいになってしまった。
だから、また入院するために、わざと怪我をしたのだ。
そんなことを露とも知らない彼女に世話を焼かれると、とても申し訳なく感じる。
「すいませんね」
「いえ、大丈夫ですよ。それに、また会えて嬉しかったです」
体を拭かれながら言われた言葉に、顔をぽぉっと熱くなった。
もしかしたら両思いかもしれないと、ドキドキと鼓動が速くなる。
「何か困ったことがあったら呼んでくださいね」
そう言って立ち去る彼女を、私はぼんやり見つめた。
※※※
○○さん、また来てくれて良かった。
やっぱり、ご飯に少しだけ興奮剤を入れたのが良かったのかな。
それとも、願掛けのために、夜中に耳元で「あなたは私を好きになる」と唱え続けたのが効いたのかな。
入院でもしてくれないと、接点なんて全くないもの。
まぁ、もし、また退院したのなら、私のしわざだとわからないように上手く怪我をさせて、また入院してもらえばいいか。
1/19/2024, 11:43:14 AM