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6/25/2023, 2:34:05 PM

家に逆らうものには罰を。
裏切りにはその者の血を。
最悪心を壊してしまいなさい。

酷く冷えた手のひらを頬に添えて、僕の瞳をじっと見つめる父は綺麗に微笑んでいた。その綺麗な笑みに魅入られたように僕は無意識に口を開く。

「はい。父上。」

その笑みの裏にある瞳に、僕なんて写っていないんだろうなと知りながら。僕はその答えしか持ち合わせてはいなかった。父上の言ったことはいつも正しいから。父が間違ったことを言うことなんてないんだ。自分に毎日言い聞かせて、周りの声に聞こえないふりをした。

「兄様。人の心は繊細なんですよ。
花と同じくらい丁寧に扱わなければ、直ぐに壊れてしまうのです。だから、無闇に人を傷付けてはいけません。兄様は優しいから、相手と同じくらい傷ついてしまうでしょう?」

周りの声に耳を塞いでも、唯一塞ぎきれない声があった。それは小さな妹の声で、まだ両手の指で数えられる程しか生きていないというのに。僕よりも一歩進んだ考えをするような。誰よりも純粋で身体の弱い妹だった。
暖かい手のひらで僕の両頬を包み込み、ニコリと心からの笑みを零す小さな妹。まだ成長段階の彼女の手のひらは肉付きがよく、モチモチで触り心地がいい。
腕から伸びる一本の管さえなければ、普通の健康な女の子だ。

「兄様、今日はメイドに頼んで少しだけ散歩させてもらいました。今日は5分間も歩けたんですよ!」

僕の血に染っていた掌を躊躇いなく掴み、そうだ!と語りかけてくる妹に、情けないけれどものすごく泣きたくなった。暖かい。とても暖かいんだ。
病人だからと離れに連れてこられたというのに、父と母は元気ですか。なんて心配してくる健気な妹が。僕には眩しすぎて辛くなる。もちもちした柔らかい手のひらは僕の冷えた身体に熱を取り戻してくれる。キラキラと輝く青い瞳は空のようで、僕に元気を与えてくれた。

「…そうか。すごいな。」

もっと気の利いた事を言える性格なら良かった。もっとこの子にとって良い兄でいられたら良かった。ぐるぐると巡る思考を取り払うように、僕はその場から立ち上がる。もう行くのですか?と少し残念そうな妹の丸い頭を撫でてから、また来るからなと微笑んだ。

「兄様。私の言ったことを忘れないでくださいね。
兄様の心を、壊さないでくださいね。」

いつもなら待ってます。と笑いかけてくる妹が、今日は複雑な表情で小さく呟く。花のように丁寧に扱う。先程の彼女の言葉を反芻して、わかったと頷いた。

「僕はお前さえいれば心を壊すことは無いよ。」

じゃあ大人しく待ってるんだぞ。妹に背を向け、病室の扉を後ろ手に閉めた。帰り際の妹の顔はどうも苦手で、いつも見ることない。けれど何故か今日は無性に見た方が良かったかもしれないという考えがあった。

「いや、行こう。」

後ろ髪を引かれる思いで僕は再び歩き出す。離れから出て、本館へと続く長い道を歩いている途中、白い小さな花が目に入った。なんとなく手を伸ばし、根元から折って手に取ってみる。綺麗な花だな。と考えながら本館まで辿り着くと、僕はその繊細な花を握りつぶした。
嗚呼、妹よ。気を悪くしないで欲しい。僕は確かにお前にわかったと伝えた。それはお前の目に見える範囲内だということは僕しか知らないだろうが、これでも妥協した方なのだ。この家で生きるには、残酷でなくてはならない。
残酷なのは僕だけでいい。妹はあの綺麗な瞳のまま生きていればいい。何にも汚れていない手で、その暖かな体温で、笑っていればいいのだ。
お前だ。お前こそが僕にとっての繊細な花。
だから僕は、お前を何よりも丁寧に扱うと約束しよう。


【繊細な花】

6/23/2023, 7:04:22 AM

俺は友人のことを何でも出来るやつだと学生時代から思っている。
学生時代のテストではいつも一位を取っていたし、運動も本人はできないと喚いていたが、普段スポーツをする俺から見ても人並みにできていた。生徒会長という役職に就いてからは生徒や先生からの人望も厚かったし、生徒会長は優しいと生徒達が話していたのもよく知っている。
卒業をしてからも偶にお互いの家を行き来するが、何度訪れても部屋は綺麗に片付けられているし洗濯も丁寧にされている。手先が器用で裁縫もできるという若干引くほどのステータスの持ち主。それが俺の友人。

そう思っていた。今日までは。

「なんだこれ…。」
「パンケーキ。」

机の上に置かれたどす黒いオーラを放つ硬くて黒い何か。隣で平坦にその何かの名前を口に出す友人に本当に?と凝視してしまった。

「パンケーキ?クソ硬ぇし真っ黒だが?」
「正真正銘パンケーキミックスで作ったパンケーキだけど。」

何その顔。と彼は首を傾げ、俺を本当に疑問に思っているように見つめてくる。
いや、いやいやいや。おかしい。確実におかしい。ふざけてるのか?こんな焦げしかない真っ黒なもの食べたら病気になるだろ。は?え?ふざけてるんだよな?ドッキリとかそういうやつか?

「どうやって食べんだ?」
「黒いやつ削ぎ落としたらちょうどよく焼けてる部分あるからそこ食べる。お前パンケーキ食ったことねぇの?」
「あるに決まってんだろ。」

本気で言っている。この目は本気だ。本気でコイツはこの人間の食べ物とは思えないものを食べる気だ。
ぎこちなくナイフを手に取り、黒い部分を削ってみる。友人が隣でじーっと見つめてくることに居心地悪く感じながら抉ってみると、中が黄色と茶色に染っていた。中の部分なら少しだけ食べれそうだと安心したのも束の間、グチャとした触感がナイフ越しに伝わる。恐る恐るナイフを取り出すと、そこには生焼け状態の生地が張り付いていた。

「おい。これ火の加減間違えただろ。」
「え、IHの10段階のうち8で焼いたけど。」
「強火じゃねぇか!!!」

思わず出たツッコミにえぇ!?火は火だろ!?と混乱する目の前の男。俺はその瞬間やっと理解した。
コイツ料理できないんだ。と。
まずどす黒いものが出てきた時点で察せという話ではあるが、俺からして友人ができないものがあるということが本当に珍しいことなので許して欲しい。
ひとまずこんな黒いもの食べれるわけが無いのでキッチンを貸せと提案した。

「え、あーいや、買おう。うん。出前頼もう。」
「は?食材はあんだろ。俺が作る。」
「いや。ほら、今から作ってももう一時だし、時間かかるじゃん。」
「30分もしない。」
「いやでも食材もあんまり…。」
「じゃああるもので適当に作る。」
待って待って!と渋る友人に違和感を覚えながらもこれ以上話している方が昼食に遅れをとる。目の前に立ちキッチンへの侵入を阻止しようとする友人を引き剥がしてからキッチンの方に回った。

「……何があったらこんなに風になる?」
「だから買おうって言っただろ!!」

他の部屋とは比べられないほどに荒れたキッチンに深いため息が出てしまった。乱雑にシンクへ置かれたフライパンや食器。何故か破けているエプロン。棚に入った食器はピカピカに輝いているのに、真ん中を隔てて別世界のようだ。
色々言いたいことはあったが、とりあえず腹の虫が鳴り止まない友人にリビングで待っているよう伝えて作業に取り掛かることにした。全く、本当にどうしたらそこまで料理がハチャメチャになるのだ。

正直、こんななんてことない日常の一コマで友人のできないことが知れたという事実に嬉しさはあった。いつも完璧な人間様だと感じていた男が実は料理のド下手くそな普通の人間。学生時代同じ学校で過ごした奴らが知れば驚き、嘘だろうと鼻で笑う程の話だ。
ふっと自然と零れた笑みにつられて押しよせる笑いが喉を鳴らす。
きっと、今笑っているところを見られれば友人は何度か言い訳をしたあと。悪いか!?とキレるのだろう。
それを見るのは楽しいが、あとが面倒くさい。
どうせ料理を持っていけば一口食べてから

「お前料理できたのか!?」

なんて失礼にも驚く友人が目に浮かぶ。

今日、また一つ友人の新たな一面をしれたこと。
そして友人の苦手なものが俺の得意なことだという事実に、密かにしたり顔してしまうのだった。


【日常】

6/6/2023, 5:23:18 AM

昔、一つの指輪を友人から預かっていた。
金でできた歪な形の刻印が入っている指輪。砂時計のような模様が異質さを漂わせていたことが印象的なその指輪は、不思議な力を持っていたらしい。
友人が言うには、その指輪は過去に戻ることが出来る力を持っていて、使うことの出来る条件は限られている。一つは明確な過去に戻って何をするかという願望を持っていること。もう一つはソレを発動させるほどの力。ありえない話、魔力を持っていること。
大まかな条件はこの二つ。例外はあるようだが絶対的にその二つを持っていなければ指輪の力を使うことは出来ないらしい。

預かった当初はそんなことは知らなかった。
ただ友人に『死ぬまで持っていて欲しい。』と言われたから約束通り持っていただけ。
四年も失踪していた彼からの最後の言葉が指輪に関することだったからというのもあるけど、捨てる気にもなれなかったから持っていたのだ。

その指輪に違和感を持ったのは、いつも通り過ぎていく日々のほんの一瞬だった。持っていろと言われた手前、そこら辺に置くのは抵抗があった俺は指輪をネックレスにして首から下げていた。正直女避けにもなるしちょうど良かったこともあるが、何より少し目を離したらどこかへ消えていくような漠然とした不安があったのもある。

「その指輪、変な形してますね。」

学生時代の部活の後輩と久しぶりに飲もうとなった時、ふと指輪を見た後輩が言った。

「俺の母親ジュエリーショップで働いてて、昔から色んな宝石を見てきたんですけど。その砂時計の真ん中にある小さな石、今まで見たことないです。どこで買ったんですか?」

後輩はほろ酔い状態なのか楽しそうに指輪を見ている。小さな石?今まで気づかなかったことに驚き、ネックレスを外して、貰った時以来初めてじっくりと見つめた。よく見ると砂時計の砂を表す部分に青い宝石がついていた。
けれど、青い宝石なんて誰でも見た事があるはずだ。サファイアなどは有名な部類ではなかろうか。と後輩の方を見ると、わかってませんねぇと彼は顔を赤くしてニヤリと笑う。

「その指輪、月明かりに照らされると赤く光ってるんすよ。ずっと首につけてるから気づかなかったのかもしれないですけど、街灯のない道で綺麗に光ってて驚きました。べキリーブルーガーネットって知ってますか?その宝石は太陽のもとだと青くなるんすけど、白熱灯に照らされると赤くなるんです。最初はそれかなと思ったんですけどねぇ。どうも、街灯に照らされるとすぐに青くなるんで、俺の知ってる宝石じゃないなって。」

酔いが回ってきたのか、砕けた話し方になってきた後輩に代わって水を頼む。これ以上飲ますのはアルコールに弱い彼に良くなさそうだ。

後輩の言葉に引っかかった俺は、その日から指輪のことについて調べ始めた。
市の図書館、県の図書館、国の図書館、古本屋など手当たり次第に調べてみたが、指輪に関する文献は見つからず。時間がただただ過ぎていくだけだった。


「…?じゃあなんでお兄さんは、指輪のことを知ってるの?調べても見つからなかったんでしょ?」

目の前の少女は小さな頭をこてんと傾げて丸い瞳で俺を見つめている。その瞳に映る自分自身は、指輪を持っていた時よりもだいぶ若かった。
目を瞑ると、今でもまぶたに焼き付いて離れない景色がある。絶望的な状況下、周りからの歓声と悲鳴、その中に取り残された俺を包み込む光。その光の発光場所が自分の首にかけていた指輪だと理解したのは、昔懐かしい実家の天井を見た瞬間だった。

「うん。指輪のことは、誰にも言えない秘密だからね。」

少し頬を緩ませて言うと、少女は少し考えるように唸ったあと、公園の出口の方向を見て花が咲くように笑った。

「お兄ちゃん!このお兄ちゃんもこの前話してくれた物語知ってたよ!でも指輪の話はやっぱり秘密なんだって!」

少女の視線の先に、困ったように笑う友人の姿があった。

【誰にも言えない秘密】

意味わからなかったらすみません。

6/4/2023, 12:40:27 PM

狭くて暗い部屋は無機質で、何の感情も湧かなくていい。部屋に散らかった紙や壊れた思い出の品も、暗ければ見えない。
唯一何も散乱していないベットの上で膝を抱え、俺はただ日々が過ぎるのを待っていた。
もう何もする気が起きなくて、いっそこのままこの部屋で最後を迎えればいいとさえ思った。
振り払われた手と無関心だとでも言うような冷たい瞳、そうなると昔から知っていたはずなのに諦めず縋りついていた自分がその瞬間、無意味とかした。
嗚呼、これから何をすればいいのだろう。
思えば人生の大半を俺は無駄にすごしたのではないだろうか。遠く輝く背中に手を伸ばし続ける日々は、滑稽でしか無かったのではないか。
ぐるぐると回る思考と負の感情が頭を埋めつくし、締め切られた部屋の空気を重くする。
真っ暗だな。何も見えない。もうここで一生を過ごそうか。そうだ。それがいい。そうすれば二度と傷つかずに済む。狭い部屋に一人膝を抱えて過ごし、傷つくこともなければ悲しむこともない。なんと幸せな終わり方だろう。
本格的にそう考え始めて、ならもう眠ってしまおう。そう思った時、
ガチャ
と、扉を開ける音が部屋に響いた。

「うっわ。何この部屋めちゃくちゃ散らかってんじゃん!」

ガコと何かと何かがぶつかる音がするが、光の眩しさで目が開けられない。突然聞こえてきた声に驚きながらも、入ってきた人物を確認しようと薄く目を開く。
視界に飛び込んできた人物に、俺は情けなくも唖然としてしまった。

「君の今の顔、鳩が豆鉄砲食らったってやつだね!」

思い切り歯を見せて笑う男は、後ろからの光も相まってまるで神か救世主のような登場の仕方だった。
その光の眩しさが目に痛くても、まじまじと彼の顔を見てしまう。
ずっと何も言わない俺に流石に気まずさを覚えたのか、男は首に手を当ててから

「げ、元気?」

とはにかんだ。元気なわけねぇだろ。と返そうとした喉は何日も閉じこもっていたためか掠れて声が出ず、それに対し彼は眉間に皺を寄せる。
散らばった紙や物をかき分けるでもなく、彼はズカズカと俺の狭い部屋を進みベットの前まで辿り着いた。
それ、結構値段する物なんだぞ。と床に落ちている踏まれた数々のものを思いながらも彼の顔をうかがう。
近くに来たことで暗くなり見えなくなった彼の顔が、なんとなく歪んでいる気がした。

「…あのさ、君こんな狭い部屋に閉じこもるタイプじゃないでしょ。」

この部屋に入るための鍵はどうしたとか、この狭い部屋はマンションの部屋の一室なんだぞとか。言いたかったことは多くあれど、彼の一言で俺は何も言えなくなってしまう。心配しているんだと声色からでもわかってしまったから。
ボスっとベッドに片膝を乗り上げた男は、這うように俺の近くまで来る。殴られるのだろうかと身体に力を入れたが、衝撃はいつまで待っても来ることはなく。代わりに散乱した部屋がはっきりと見えるようになった。

「君、遮光カーテン禁止ね。部屋くらすぎ。」

隣に片膝を立て座り、後ろの窓に背を預けた男の顔が呆れたように見える。
先程までの暗くてジメジメとした気持ちの悪い部屋が、光と窓を開け放ったことによって爽やかな空気に変わった。
部屋、狭くないな。他に思うとこあるだろと言われるかもしれないが、俺の第一の感想はそれだった。

「君の部屋が狭いわけないだろ。ここ月何万の部屋だと思ってんだ馬鹿。」

その場に立ち上がった男がふんっと鼻を鳴らして窓の外を眺める。ほら絶景だぞ。と言われるままに窓の外へと目を向けた。

「世界は広いんだ。こんな狭い部屋でジメジメカタツムリのように過ごすんだったら、僕のやりたいことリスト第一位の世界一周旅行にでも付き合ってもらうぞ。」

ベットで立つなんて行儀が悪い。よく見ればドアの外にはでかいスーツケースが横たわっていた。
キラキラと輝く太陽が、広くて暖かい青空が、光を反射するビルが、緑の木々が、目の前の友人が。全てが俺の気持ちを軽くするのに十分なものだった。

「ほら用意!飛行機取ったんだからな!」

ベットから降りて振り向き、律儀にも手を差しのべてくる友人に思う。馬鹿はお前だろ。と。そして、いつまで経っても適わねぇなと。
自然とこぼれた笑みに友人が固まっている間に、俺は差し出された手を力強く握った。


【狭い部屋】

6/4/2023, 10:07:27 AM

「好きです。」

目の前に立つ女子の手が微かに震えているのを見て、僕は天を仰いだ。
だってまさか、自分がいるところで友人に告白する者がいるとは思わないだろう。余程自信があったのだろうか。
学年一の美女と思春期の男子共が噂するほどの美貌を持つ彼女は、顔を赤く染めたまま友人と向き合っている。恋愛のれの字も見えない友人に告白する勇気は称えるが何も僕の前じゃなくても良かっただろ。

「お前誰だ?」

ほら、こうなるから。
もう一度言おう。友人は恋愛のれの字もないのだ。
つまり、女の子に興味もなければそういう思考さえ持ち合わせているか分からない。
顔を上げて、え?と笑顔を引きつらせる女子に心の中でドンマイと囁きながら、現実逃避をすべく僕は彼らから目を背けた。隣からは名前を名乗る声と、で、誰?という無慈悲な言葉が聞こえてくる。
こうなるから嫌なんだよ。友人の告白現場は。
パンッと静かな会話に一際甲高い音が響いた。
小さいうめき声と共に走り去っていくような足音が聞こえてきて、僕はやっと友人に視線を戻す。

「いってぇ。」

頬を擦る友人に、つい重いため息をついてしまった。

「なんでいつもそういう告白の断り方すんの?」

本当は知っているはずなのに、どうして知らないふりをするの。そう続いた僕の言葉に、友人は彼女が走っていった方向を見つめたまま。

「振られんなら最低なヤツからの方がスッキリすんだろ。」

と呟いた。友人の恋愛遍歴など知りはしないが、どうやらそう考えるほどの情はあったらしい。
へー。モテ男は違うね。と言おうと口を開いて、彼の顔を見た瞬間その言葉はただの呼吸とかした。

「心臓が握りしめられて何も出来なくなるよりは、めちゃくちゃ幸せな失恋の仕方だろ。」

歪な微笑みと共に揺れる瞳は、彼が失恋の経験者なのだと物語っていた。

【失恋】

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