『大好きな君に』
時計の針を逆に回しても
去年のカレンダーをそのままにしても
花弁を一枚ずつ千切っても
三次元が四次元になろうとも
何かが歪まない限り
きっと君には逢えないだろう
流れる時に笹舟を流しても
二度と戻ってくることはない
宇と宙の間にでも行けば
何か痕跡があるだろうか
僕は空を眺めながら
そんな夢想をしているのだ
夢に出てくれとまでは言わない
せめて僕が観ている間に
一筋星を流してほしい
『ひなまつり』
我ここに在りと咲く桃は
艶やかな香と色で惹きつける
君の泣きそうな
でも嬉しそうな姿を
教会のある丘の上から
ただぼんやり見つめていた
君は桃の節句の主役になれるだろう
気弱な僕は主役は張れない
下段の笛吹きで構わない
世界一の笛吹きになろう
迷惑でないのならば
少し君の隣で吹かせてほしい
その時は微笑みを湛え
耳を澄ましてほしいのだ
『たった1つの希望』
暗く冷たい空間に
ただただじっと丸まっていた
光という概念すらない
空っぽの場所を
目を閉じて揺蕩っている
光が無いなら目を開ける必要もない
眠るわけでも覚醒するわけでもなく
ただただそこに「在った」だけ
でも何処かから音がする
音はそのうち声となり
僕に話しかけている
それに気がついた時
僕の宇宙は晴れ上がり
ついに光が一筋見えた
『欲望』
向上心が野心に変わらぬよう
望みが執着とならぬように
志を野心としないように
律して生きていくのは
少々窮屈だが
10年後の僕に
胸を張って生きていけと
そう言える道を歩みたい
『遠くの街へ』
漕いで漕いで
手が止まった
そこには空に大きな月
走って走って
足が止まった
そこには穏やかなせせらぎが
歩いて歩いて
息を呑んだ
そこには
そこには
全てを包む御来光が
これを君と見たかったのだ
君が何処にいるのかは知らないが
吹き荒ぶ寒風に乗って
きっと君はそこに居る
やっとやっと
未来を見据える勇気を得た
僕は自分を信じてみる