『見つめられると』
あおによし
奈良の桜を
見る僕を
見極めるがごと
鹿の一鳴き
『My Heart』
いつだって後ろを向いて
陽の光から隠れていた
世の中は自分には眩しすぎて
ひたすら暗がりで
膝を抱えて生きてきた
これじゃだめだと
何も変わらないと
心がそう自分を急かす
一歩踏み出そう
そろそろ闇も冷えてきた
冷たい場所から
暖かな場所へ
渡り鳥のように
温もりを追いかけよう
毛布のように包んでくれる
お日様の優しさで心を満たそう
『ないものねだり』
一夜一夜に人見ごろ
富士山麓にオウム鳴く
意味もわからず覚えたものが
時々脳に蘇る
何故か覚えさせられた
平家物語に方丈記
枕草子に徒然草
あの頃の思い出も蘇るが
あまり嬉しいものでもない
記憶に深く焼き付いたもの
謎の呪文とともに覚えたもの
君の笑顔もその一つ
手は離してしまったけれど
今一緒に飲めたなら
思い出話に花が咲くだろうか
そんなことを思いながら
また平方根の呪文を思い出している
『好きじゃないのに』
君が燻らしてた煙草
臭いが妙な安らぎがあった
見よう見まねでコンビニで
君と同じ255番
マルボロアイスブラスト8mg
吸い込んだ瞬間めまいがした
ゴホゴホむせかえる僕を
君はケラケラと
歯を見せて笑ってくれた
君を失くしてから
メビウスの5mgに変えてみた
前のよりもマイルドで
むせることも無くなった
正直未だに
舌の痺れる感覚は慣れない
好きでもないのに今日も火を点ける
マッチ売りの少女の気分だ
のぼる煙が懐かしく
真っ黒になってるであろう肺も
今は何だか愛おしい
『ところにより雨』
「降水確率40%
ところにより雨が降るでしょう」
花見の日の予報を見て
僕はくすりとしてしまう
「雨女でごめん」と笑う君を
また見ることができるだろう
雨女でもいいじゃないか
雨を引きつける人は
何かを引きつける力があると
誰かに聞いたこともある
それでも少し悲しいなら
僕が傘を差し出そう
君の心が曇っても
そこには雨は降ってこない
君に惹きつけられた僕ができる
ただ一つのことだから