『無色の世界』
風を色で表すならば
春は桃色
夏は青
秋は橙色
となるだろうか
僕にとって
冬の風に関しては
無色透明ではないかと思う
身を切るような風圧を
ただ身体で受け止める
寒さに頭が冴えていく
その感覚に身を任す
日ごとに柔らかくなっていく風が
また桃色に近づいていく
それを少々惜しみながら
火照った頭を冷やしてくれる
無色の風が
吹いてくるのを待っている
『桜散る』
優しげな空気の時期は過ぎ
花散らしの雨の降る
そんなに急がなくてもと
思う自分の髪に
ひとひらの花びら
どこか崩れそうな心は
もう次の季節へ向かう
じきにツバメが飛ぶだろう
春の空とはまた違う
くっきりとした夏が来る
『夢見る心』
夢を見た
白く霞む空気の中
幼い私が
小さな宝石を探していた
自分だけの石を探し
見つけたと同時に目が覚めた
あの頃もこれだけ
キラキラしていただろうか
なりたい大人に成るのだと
疑うことなく生きていた
もう意識は醒めている
次は大人の自分の番だ
好きなものを探しに行こう
『届かぬ想い』
雨に打たれて濡烏
一筋の涙が雨に溶けて消えた
どうにもならないこの想いを
抱えきれずに立ちすくむ
ここは冷たく暗い場所
唇を噛んで耐えていた僕の
一人きりの舞台
その舞台に
一つ小さな陽だまりができた
この温もりになら託せるかもしれない
口から漏れ出た
確かな本当の願いを
闇から光へ
しっかりと送り出してみた
雨に溶けた涙ではない
暖かさを秘めた涙が
確かにそこに落ちている
『神様へ』
「かみさま おねがいです」
そう心から祈っていた
幼き自分
小さな小さな望みだったのか
子供らしからぬものだったのか
何をお願いしていたのか
もはやそれは分からない
でも今も
何かと神様に祈っている
「神様 お願いです」
そう心に呟くこともある
当時のように
純真無垢な願いではないかもしれない
でも今日も
「お天道様が見てるよ」
という母の言葉を
どこか信じて生きている