『たった1つの希望』
暗く冷たい空間に
ただただじっと丸まっていた
光という概念すらない
空っぽの場所を
目を閉じて揺蕩っている
光が無いなら目を開ける必要もない
眠るわけでも覚醒するわけでもなく
ただただそこに「在った」だけ
でも何処かから音がする
音はそのうち声となり
僕に話しかけている
それに気がついた時
僕の宇宙は晴れ上がり
ついに光が一筋見えた
『欲望』
向上心が野心に変わらぬよう
望みが執着とならぬように
志を野心としないように
律して生きていくのは
少々窮屈だが
10年後の僕に
胸を張って生きていけと
そう言える道を歩みたい
『遠くの街へ』
漕いで漕いで
手が止まった
そこには空に大きな月
走って走って
足が止まった
そこには穏やかなせせらぎが
歩いて歩いて
息を呑んだ
そこには
そこには
全てを包む御来光が
これを君と見たかったのだ
君が何処にいるのかは知らないが
吹き荒ぶ寒風に乗って
きっと君はそこに居る
やっとやっと
未来を見据える勇気を得た
僕は自分を信じてみる
『現実逃避』
逃げて
逃げて
逃げ続けていた
夢の中なのは
ぼんやり分かっていた
捕まったらダメだと
立ち止まってはダメだと
どこか物陰に隠れなくてはと
誰かがこちらにやってくる
笑みを湛えて何かを喋る
『 』
飛び起きてみれば
滝のような汗と
荒い息
机の上には
進路志望表
こいつのせいかと
安堵と恨みが交錯する
机の上の魔物を片付けなければ
そしてこの先の道を見据えた
逃げるのはもう止めよう
何かが喋りかけてきた『 』を
もう2度と聞くものか
『君は今』
過去に
現在に
未来に
僕は今怯えている
ひたすらに布団をかぶって
過ぎ去るのを待っている
北風と太陽など関係ない
一人寂しく震えている
君も震えているのだろうか
それとも
青空の下駆け抜けているだろうか
震えているならば
一緒にコタツにでも入ろう
駆け抜けているのなら
僕の手を引っ張っていって欲しい
僕は今
気の抜けた炭酸のような心で
ぼんやりと庭の雪を眺めている