『物憂げな空』
木枯らしには至らない風の中
日の沈む
遠くの山だけが燃えている
寂しさの中に痛みを感じ
痛みの中に愉悦を見つける
このまま星を観て
月が上がりきるまで待ってみようか
冷え冷えとした夜の帳が下りていく
流れ星でも落ちてこないか
かじかんだ手先を誤魔化せるだろう
やや後悔してきたが
南中していく満月を見る頃には
寂しさも
痛みも
その中の愉悦も
綺麗に眼から流れていった
『小さな命』
野原に咲くカタバミも
蜜に誘われるアゲハ蝶も
夜に鳴き鳴らすスズムシも
北の海に住むクリオネも
みんなきっと同じ命
本当に小さな命たち
僕はそれよりずっと大きいけれど
命の価値は同じだろうか
無機質な宇宙の彼方には
何か蠢くものがあるだろうか
太陽の下に命があるとは限らなくて
深く冷たく暗い海の底にも命はある
平等なものとは思わないが
煌めくものはきっとある
そうだと僕は信じたい
『Love you』
「もういいかい」
「もういいよ」
夕暮れの近い校庭で
いつも通りのかくれんぼ
見つけてくれるのかという不安
見つけて欲しいという希望
せめぎ合う僕の心
心理学などは分からない
でもきっとここなら
すぐに見つけてくれるだろう
不安をかき消して息を潜める
できれば
真っ先に見つかりますように
君の笑顔を最初に見たい
ほら
言っただろう
「みーつけた!」
『太陽のような』
騒がしいほどの昨日の記憶
今日に向かって薄まっていき
明日に向かってまた色濃く
君の笑顔も昨日は騒ぎ
今日は穏やかな凪のよう
明日は風が吹くだろう
雲の流れる大空の下
堂々と咲く向日葵の如く
今日の記憶を刻み付ける
『0からの』
ビッグバンが起こる前
宇宙という言葉さえ無く
ただそこには
ひたすらに無が広がっていたらしい
少しのゆらぎが発生し
そこから宇宙が始まった
そんな話を本で見た
一体いつのことだっただろう
無から有は生まれない
そんな価値観は壊れてしまった
そんな僕は
まだ無を見つめる勇気はない
そこから何か生まれるとしても
いつ起こるか分からないのだ
でも顔を背けることはできない
これは僕の物語だ
いつか
そのうち
僕は君の事を
考えることができると信じる