#海へ
次の日、剛輝と出会った海へ向かった。
あの時はものすごい寒い冬の夜。
今は夏へ移り変わろうとしていた。
「ねー剛輝?あの時この場所で歌ってた曲ってなに?」
『あの曲?まだ作詞途中なんやけどな
なんか頭にたくさんの文字が現れたんよなー。
それを頭に浮かんだメロディに乗せただけなんや』
「あの曲、、、すきだよ?最後までできたら
絶対に聴かせてね?」
『冬までには完成させたいなぁー。
題名は、梨雪と出会った時は冬の寒い時期で
雪が降ってたなぁー。そして満月、、、
題名を考えるのって難しいんやで?笑』
とぐしゃっと笑い頭をかいてる顔がとても愛おしかった。
「ねー?剛輝?またここに来よう?」
『当たり前なこと言わんで?
梨雪をまた連れてきたる。安心せい。
俺はどこにも行かんよ』
と言い肩を強く抱き寄せ頭をそっと撫でてくれた。
またここに来ようと約束をした。
#突然の別れ
私が幼い頃両親が交通事故に遭い、突然の別れとなった。
親戚もいない、兄弟もいないただ孤独な生きてきた。
そして、高校系の時初めて彼氏ができた。
だけどその人も帰らぬ人となった。
私が死神なのかと思い、心を閉ざした。
今私の傍にはとても大切な人がいて、やっと心を開けた。
剛輝は、音楽をしていて人気。
だからひっそり2人で暮らしている。
歌って居る時、ギターを持っている時の剛輝は力強く
歌詞ひとつひとつに魂が込められている。
嘘にぶたれる音は好きじゃない。と口癖なように言う。
何かを守るために愛を伏せるなんて不細工だ。
「置き換えるとな、自分を守るために今の愛を失くすなんて
俺不細工になるやろ?それが嫌やねん。」と言った。
別れは突然やって来るけど、突然にならないように
1日1日を積み重ねお互い尊敬尊重をし合い
2人で乗り越えよう。と言ってくれた剛輝に感謝しているよ。
#真夜中
お墓参りをあとにして、おうちに帰った。
少し眠りについて自分の耳の違和感に気がついた。
『あーあー』
(なんか左耳が変。)
『あー!』と大きな声で叫んでも聴こえずらい。
剛輝「どうした?おい!莉世?」
『こっちの耳聴こえずらい』
剛輝「え、、?とりあえず病院行こう!」
病院着いて、聴力検査などをした。
先生「莉世ちゃん、なんでここまで放置したの?」
剛輝「どうゆうことですか?え?莉世、お前、、」
『ごめんなさい。行く勇気がなくて不安で、』
先生「莉世ちゃん、よーく聞いてね。
左耳の聴力は戻ることないと
『はい。わかりました』
剛輝「莉世、、」
『剛輝、ごめんなさい。』
自宅に戻り、私は部屋に閉じこもった。
剛輝からもらったイヤモニを耳に当て、剛輝が作った
曲を聴こうとしたら、左耳に残る雑音。
涙が出た。
剛輝「開けんで」
『剛輝、ごめんなさい。黙ってて』
剛輝「莉世の耳が聞こえなくなっても離れんし
お前の左耳になるから、泣くな」
真夜中、剛輝に抱きしめられながら眠りについた。
#後悔
剛輝と暮らし始めて1週間があっという間に過ぎた。
剛輝は仕事終わって帰ってくるのは夜中。
私も剛輝が帰ってきたのを確認をして眠りにつく。
そしたら剛輝はいつも寝室を覗いて自分の部屋に戻る。
朝起きたらいつもいない剛輝がいた。
『いい匂いする〜』
剛輝「おはようさん!フレンチトースト好きやろ?」
『なんで知ってんの?笑』
剛輝「寝言でフレンチトースト、、って言うてたで?笑」
『んな、バカな!言ってるわけないでしょ笑』
剛輝「あはは笑 ほらはよ食べて出かけんで!」
『どこに?出かけたらまずいよ、、お家にいなよ!』
剛輝「いいから出かけんで!」
剛輝の強引さには負けるなぁと思いながら
フレンチトーストを食べて支度を始めた。
(剛輝とでかけるの初めてだな、緊張する。)
支度が終わり、車に乗り込んだ。
剛輝「んんんー!外の空気はうまいなぁ!
最近スタジオにずっと居たから息苦しかったんやで?」
『そうだよね、大変だよね!おつかれさまです!』
剛輝「あ!仕事は楽しいんか?
話全然聞いてやれなくてごめんな?」
『あーうん!慣れてきた!』
剛輝「よかった、安心した。」
お昼ご飯を買ってブルーシートを敷いて
ピクニックをした。
たくさんお話をして、バトミントンしたり
フリスビーをしたりして遊んだ。
一息ついた時、言葉が漏れた。
『こういうの初めて、、、』
剛輝「ん?あー、そうか。初めてがいっぱいそうやな」
『あ、うん。』
剛輝「、、、お墓参りは最近したんか?」
『ううん、してない。行けてないの。』
剛輝「んー。行くか?」
『え?いいよ、今度一人で行くから。』
剛輝『それは心配ー!よし行こう!』
剛輝は思い立ったら即行動するタイプ。
だから思い立ったら歌詞を書きながら鼻歌をする。
すごい人だなぁ。
『お母さん、お父さん。』
剛輝「初めまして、藤堂剛輝です。」
『お母さん、お父さん。会いたいよ、、会いたい。』
私は泣き崩れてしまった。
そうしたら剛輝はいつものように抱きしめてくれる。
いつも助けられてる。
後悔はしたくない。
だから、私はこの人の手を離したくない。
失って気づくのは遅いと、養母が教えてくれた。
今傍にいてくれる人を大切にしなさいと。
だから私はこの人の傍で笑おうと神に誓った。
#何もいらない
私は、ソファーの上でTVを観ずにボーッとしていた。
(これは夢なのか、幻想なのか。)
そのままソファーで眠りについて朝になっていた。
今日は仕事の面接。
親も早くからいなく、兄弟も祖父母もいない。
だから私が頑張らないといけない。
私は孤児院にずっといた。
いつも独りだった。
高校にはなんとか行けて、彼氏もできたけど
事故で帰らぬ人となりまた1人。
私も死のうと思った。だから海へ行き死のうとした。
なんて思いながら面接も終わり帰ろうとしたら
涙がひとつ、またひとつと零れ
(あ、苦しい。胸が痛い。張り裂けそう。)
と思って目の前が真っ白になった。
(あ、周りに人がいる。大丈夫、大丈夫。)
と自分に言い聞かせた。
剛輝「あの人溜まりなんなん?」
光汰「あーなんかあったんかな」
光汰が人溜まりに行った。
光汰「剛輝!この子って!」
剛輝「なんなん?なにーよ。」
剛輝は近くに行くと
剛輝「梨雪?!おい、目開けろ」
そのまま救急車に乗り込むと
光汰「お前も行ってやれ、そばに居てやんな」
剛輝「お、おう。ありがとーな」
1時間後、梨雪は目を覚ました。
梨雪『ん、、、?剛輝さん、、、?』
剛輝が手を握りながら眠っていた。
剛輝「起きたか?どうだ?具合は。」
梨雪『うん、へーき。なんで?いるの?』
剛輝「おーなんでやろなー笑 梨雪が連絡くれないから
探してたらお前を見つけたら倒れてて笑」
梨雪『ごめんね、ついてくれてて』
剛輝「お前、ご飯食ってるか?一人暮らし?家族は?
連絡しやんと心配すんで?」
梨雪『私、親早くに死んでるしおばあちゃんもおじいちゃんも兄弟も親戚も誰もいないから。ひとりなんだ、ずっと』
剛輝「そうか、、、ごめん。変なこと言ったな。」
梨雪『みんな家族いると思うよね、しょうがないよ。気にしないで。ずっと言われ続けてるから慣れてるよ』
剛輝「しばらく俺ん家いろ、飯ちゃんと食うまで家には帰らせん!わかったか?」
梨雪『それは無理だよ、だって。』
剛輝「無理もだってもなし。帰るぞ」
そう言われ、剛輝の家行くことになった。
温かいご飯、お味噌汁、野菜炒めなどなど作ってくれて
ひとりでご飯食べてても美味しくなかったけど
2人で食べるご飯はとっても美味しく感じて
またひとつ涙が出た。
梨雪『ごめんなさい、また泣いちゃってるね』
といい席を立ったら、剛輝に手を引かれ抱きしめられた。
剛輝「泣け、俺がそばにいるから。」
この瞬間、
神様?何もいらないからこれ以上私から奪わないで。
と強く願った。