雪白の月①

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4/18/2023, 11:51:48 AM

#3 無色の世界


久々に買い物でも行こうと、街へ出た。
人が多いのには慣れていない。
イヤフォンをして音楽を聴きながら人をかき分け進む。


考え事をしていて、ボーッと歩いていたら
聞いたことある声がした。


「おい!」と肩をたたかれそのまましゃがみこんで
顔を上げると、考え思っていた人がいた。


「大丈夫か?」と手を差し伸べてくれた。
その手は大きかった。
『どうしてここにいるの?』と聞いたら
髪の毛をかきながら
「いや、事務所が近くにあって仲間と
ご飯向かおうとしてたんやけど
お前を見かけたから追いかけてきたんや」と
照れくさそうにしていた。
私はその照れくさそうな顔を見て笑った。
「なに、笑ってんだよ!
てかお前、笑うと可愛いなぁ〜。笑え!」
それを言われてまた真顔に戻ってしまった。


〈剛輝さーん、剛輝ー〉


『あのぉー、な 名前、お 教えて』
「あれ?言ってなかったけ? 剛輝(こうき)お前は?」
『こうき、、、私は、梨雪(りせ)』
「梨雪!いい名前やなぁー!
あ、みんな待たせてるから俺行くわ!
これ俺の連絡先やから連絡してーや!じゃーな!」


と言い、人混みに消えて行った。


もう会えないかと思った。
と思い、ビルのビジョンに目を向けたら
(え、?剛輝……?)
そう彼は有名なミュージシャンだった。


私の周りは無色の世界へ引き込まれた。

4/17/2023, 1:48:13 PM

#2


気がついたら私は車の中で眠っていた。
その時外から歌声が聞こえた。


歌声が聞こえる方へ自然と足が向かう。
その歌声はスーッと私の耳へ入ってくる。
(あ、、、助けてくれた人だ。)


「起きたか?」と優しい声。
『ごめんなさい、迷惑かけて。』と伝え
「もうあんなことをするな。生きてればいい事はある」


その言葉に涙が止まらなくなってしまった。


「また泣いてんのか?目が腫れるぞ。
家まで送る、どこに住んでるんだ?」
と言われ、自宅まで送ってもらった。


『あ、ありがとうございました。』
「早くお風呂に入れ、風邪ひくぞ。じゃーな」
『あの!名前!!!』


名前を聞く前に、去って行ってしまった。


自宅に戻り、シャワーに入った時
(あの人の歌ってた曲ってなんだろ、、、)
と頭の中でリピートされる。
その歌声は優しく人を包むような声だった。


気がつくとその歌を鼻歌で歌ったりしていた。


時が過ぎ、季節は春に移り変わり桜も散り始めた。

4/14/2023, 5:40:15 PM

#1 どうして私から大切な人を奪うの?



教えて。--神様



私は、絶望の淵に立たされたどり着いたのは
思い出のある海辺だった。



真冬の夜の海辺は寒く、このまま海へ入れば
この苦しい気持ちは楽になれるのかな?



私は海へ一歩一歩近づいた。



そのとき


「戻ってこい!おい!聞いてんのか?戻れ!!!」
と言われ手を引かれ砂場へ戻された。



『どうして助けたりするの?どうして、、、どうして!!』
と砂浜で泣きじゃくり訴えると



「死んで何になる?何にもなれないやろ!」
と言い放たれた。



その人の友人らしき男性に、
「車から毛布を持ってきてくれんか?」と言い
泣いている私に、そっと毛布をかけてくれた。



私はその人の胸に抱き寄せられ、
雪が降り始めた満月に照らされ眠りについた。