雪白の月①

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#3 無色の世界


久々に買い物でも行こうと、街へ出た。
人が多いのには慣れていない。
イヤフォンをして音楽を聴きながら人をかき分け進む。


考え事をしていて、ボーッと歩いていたら
聞いたことある声がした。


「おい!」と肩をたたかれそのまましゃがみこんで
顔を上げると、考え思っていた人がいた。


「大丈夫か?」と手を差し伸べてくれた。
その手は大きかった。
『どうしてここにいるの?』と聞いたら
髪の毛をかきながら
「いや、事務所が近くにあって仲間と
ご飯向かおうとしてたんやけど
お前を見かけたから追いかけてきたんや」と
照れくさそうにしていた。
私はその照れくさそうな顔を見て笑った。
「なに、笑ってんだよ!
てかお前、笑うと可愛いなぁ〜。笑え!」
それを言われてまた真顔に戻ってしまった。


〈剛輝さーん、剛輝ー〉


『あのぉー、な 名前、お 教えて』
「あれ?言ってなかったけ? 剛輝(こうき)お前は?」
『こうき、、、私は、梨雪(りせ)』
「梨雪!いい名前やなぁー!
あ、みんな待たせてるから俺行くわ!
これ俺の連絡先やから連絡してーや!じゃーな!」


と言い、人混みに消えて行った。


もう会えないかと思った。
と思い、ビルのビジョンに目を向けたら
(え、?剛輝……?)
そう彼は有名なミュージシャンだった。


私の周りは無色の世界へ引き込まれた。

4/18/2023, 11:51:48 AM