EL2

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12/25/2024, 4:05:16 PM

9 クリスマスの過ごし方

なにも特別な日ではない。
今日もただただ平凡な日常に感謝する。

カーテンの隙間から月明かりに照らされたソファーにふんぞり返っているのは、癖毛のある黒髪の青年。
どこか世の中を斜めに見ているような印象を与える切れ長の目は、雪のように白い、二つの小さな膨らみに釘付けになっていた。しかし、その肌には皮膚を強く吸うことでできる赤いアザが。

「なんだよ。『付け足りない』とか言うんじゃないだろうな?」

その青年の上でしなだれているのは、可憐な少女だ。
少女は着ている服のボタンを外し、前をおもむろに開いてる。

「そう、足りない」

少女は口の端を吊り上げて意地悪く笑う。
だが愛くるしいその顔は天使のようだ。
天使のような少女の手は青年の胸を弄りながら、ゆっくりと下へとずらしていく。

「……ったく、もっとロマンチックに誘えないもんかねぇ?」

そう言うと青年は、少女の後頭部に手を回して、強引に引き寄せた唇を重ねる。

ああ、神様。
明日も明後日もずっとこの先、平凡な日常でありますように。

12/24/2024, 2:30:10 PM

8 イブの夜


タイミング良く降りはじめる雪は恋人たちを騒がせた。
ふわりと舞う雪は月明かりに照られて光り輝く。天使の祝福を受けた小さな光りが、永遠の愛を誓いあった者たちへの幸せを願ったプレゼントだ、と肩を寄せあい語りあう。
そう、本日は聖夜――クリスマスイブ、ってやつだ。
どこもかしこも煌々と明かりが灯り、行き交う人々であふれている。

「うっぜぇ……」

丈の長いコートを羽織りフードを目深に被った男は、うっとうしそうに、抱きあう恋人たちを見やった。
だが、神聖な夜とは不釣り合いな格好をした少女が、こちらを見ていることに気づいた。

「……?」

ところどころ破れている薄手のワンピースから覗く肌は血の気がなく蒼白い。腰まである金色の髪……、いや、前髪も腰まで伸ばしており、時折揺れる髪のあいだから、うつろな黒い瞳と見合ったことで、男の方に向いているとわかった。
だが、明らかに場違いである少女の姿が見えていないのか、人々は存在を無視し通りすぎて行く。
これはやばい――!男の本能が警告して引き返そうとした瞬間、

「アハハハハh、mっツツツツケエeeエェェエアアaア、djd339238133333342429720423469la91**aeidaもr―ダッダッd」

無機質で抑揚のない笑い声が頭の中で響いた。

――男の運命を変えたイブの夜の話し。

12/23/2024, 3:06:17 PM

7 プレゼント

エロしか綴ってません。R18です……。
このような日に、こんな場所でごめんなさい(震)。
大丈夫な方だけ、楽しんでいただければと思います。








視界が涙で霞む。
背後からゴツゴツと突かれるたびに、容赦ない快楽に襲われた。思いとは裏腹に、嬌声が漏れる。
あまりの気持ち良さに抗うことはできない。むしろ、子宮が下りて……。
私の身体が受け入れていると知るや否や、男はさらに興奮して、より一層硬く膨らんだ欲望を、勢いよく何度も何度も子宮の奥に叩きつけるように当ててきた。擦られるたびに溢れ出る粘液は、ピチャピチャと卑猥な音を立てて耳朶に残した。
最後に激しく腰を打ち付けられた次の瞬間、ビクビクと何度か強く脈打ったのを感じた。快楽の絶頂にいた私の粘膜は痙攣していた。男はそれを嘲笑うかのように、そして吐き出した欲望の余韻に浸っている。

「特別な日に、リア充に種付け最高」

十分堪能したあと、萎んだモノを引き抜いた。と同時に、ドクドクと白濁した粘り気のある液体がこぼれた。
男は卑しげに笑い、私の秘部を指で広げて満足そうに、

「彼氏とお幸せに」

12/22/2024, 12:44:45 PM

6 ゆずの香り

ふわりとほのかに甘い香りが漂う彼はいつも上品で優雅な雰囲気を漂わせる。
もの腰優雅で誰にでも慈悲深い微笑みは、〝まさしく天使様のようだ〟と皆から慕われていた。
うっとりするような甘い声音は耳に心地よい。

キッチンに立つエプロン姿の彼を眺める。すらりとした長身は、じっと見つめる女性も多いだろう。
料理に柚子をあしらった、手の込んだ温かな料理が器に盛られた。材料の持ち味を生かした料理は、目に訴える美しさも大切にしているようだ。

私には作れない。無理だ。

ずーんと落ちこんでいると、料理を手にした彼が心配そうに顔を覗きこんだ。だが、その良い匂いに誘われてお腹がなってしまった。

「ふふ、お待たせしました」

にこっこり笑って、テーブルに器を置いた。
馥郁たる柚子の香り――。

『汚れなき人』

彼にぴったりな柚子の花言葉である。

12/21/2024, 12:28:10 PM

5 大空


雲一つない空が嫌いだ。
晴天が嫌いだ。
どこまでも続く青い空が嫌いだ。

――ああ、血が飲みたい。

燦々と照りつける太陽の光を、いまいましげに睨みつけた。
漆黒の細い糸を綺麗に織りこんで作られた大きな傘に、縮こまって苛立ちをあらわす。
ついで、アスファルトに照り返す陽光にも腹立つ。

この不自由な身体になって、まだ、五日目の朝のことである。

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