9 クリスマスの過ごし方
なにも特別な日ではない。
今日もただただ平凡な日常に感謝する。
カーテンの隙間から月明かりに照らされたソファーにふんぞり返っているのは、癖毛のある黒髪の青年。
どこか世の中を斜めに見ているような印象を与える切れ長の目は、雪のように白い、二つの小さな膨らみに釘付けになっていた。しかし、その肌には皮膚を強く吸うことでできる赤いアザが。
「なんだよ。『付け足りない』とか言うんじゃないだろうな?」
その青年の上でしなだれているのは、可憐な少女だ。
少女は着ている服のボタンを外し、前をおもむろに開いてる。
「そう、足りない」
少女は口の端を吊り上げて意地悪く笑う。
だが愛くるしいその顔は天使のようだ。
天使のような少女の手は青年の胸を弄りながら、ゆっくりと下へとずらしていく。
「……ったく、もっとロマンチックに誘えないもんかねぇ?」
そう言うと青年は、少女の後頭部に手を回して、強引に引き寄せた唇を重ねる。
ああ、神様。
明日も明後日もずっとこの先、平凡な日常でありますように。
12/25/2024, 4:05:16 PM