こんな夢を見た
※霊的なものが苦手な方は控えてください。これは自分の実体験になります。
夢なのかわからない
真っ暗闇の中、目を瞑っていても部屋の景色がわかるのである
そして体は動かない
どんなに頑張っても動かせない
夢というよりも金縛りってやつなのかもしれない
人生初の金縛りに胸が高鳴った
へえ、金縛りってこんな感じなのか〜と感心していた
が、ふと気づく
自分の足元に誰かがいるのがわかった
白い死装束を着たボサボサ髪の老婆が床に這いつくばっていたのだ
その老婆の背後は真っ赤に燃えている火がみえる
そして老婆は自分の顔まで這ってきて遠く真っ直ぐ指さして言った
「おまえもあそこに連れていってやる」
そう言われたとき、老婆の指さした場所の景色が映像として脳内に流れた
その場所は『墓場』だった
墓場とわかった瞬間、自分は何故かぶち切れたのだ
「ああ?逆にもう一度墓場に送りかえしてやろうか!!」
「もう一度●ねぇぇぇえい!!」
などなどの花も恥じらううら若き乙女の罵詈雑言である
普段の生活では多分……言っていないはずだ
声は出なかったが心の中でありったけの暴言を浴びせた
口汚い底辺人間の顔をしばらく見つめていた老婆はそのまますっと消えた
そして動かなかった体は自由を取り戻し体を起こした
戦いは終わったのだ
自分は金縛りになると暴言を吐く人間だったのかと落胆するのと同時にあの老婆の指さした場所がどうしても気になった
知らんばあさんと仲良く墓場に入るつもりはないが、何故か行ってやらねばな、と謎の使命感
消える寸前の老婆は一瞬だが、ほんの一瞬悲しそうな顔をしたのだ
だが行ったところで霊感なんてないし、訴えられてもわからんし、何もしてやれることなんてないのだが
それでも花と水でも持っていってやってもいいか、と
君に会いたくて
君にもう一度会いたくて
君を作ってくれた
君のお父さんとお母さんを食べたんだ
そうしたら君に会えるような気がして
そうしたら君を感じられるられるようになって
そうしたら君と一体化したような気がして高揚するんだ
美味しすぎた君が悪いんだ
行かないでと、願ったのに
あなたは今ある幸せを捨てた。
そして誰も手の届かない遠い遠い場所へひとり行ってしまった。
……ごめんなさい。わたしのせいでごめんなさい。
あなたの運命を大きく狂わせてしまった。
わたしはやっぱり疫病神だ。
うっすらと目を開けば小さな光が見えた。
それにそっと手を伸ばすと輝くなにかが指先に触れる。
――――あなたが残した懐中時計だ。
そっと懐中時計をなぞりながらあなたと過ごした時間を思い起こす。
どれも陽だまりのように優しくて穏やかで、どこか甘い。
あなたがわたしの肌に触れるたびにあなたの温度を感じて心が安堵した。
でももうそれもなくて。
『愛』を知らなかったわたしはこれが『愛』と知ってしまった。
贅沢なことにわたしのようなモノが『永遠の愛』というものに焦がれてしまう。
当然に『愛』はわたしに振り向くことはなかった。
それでもあなたといたいと思うのは我儘ですか?
モノクロ
色のない世界を彷徨い続けてどのくらい経ったのだろう?
だけど3110日目で数えるのを辞めた。
どこまでも続く白と黒の世界。
きっと死ぬまで延々と続くモノクロの世界。
諦めて光のない住人になったほうが楽と感じた。
手放したら意外と居心地がいいことに気づいた。
過去も未来もどうでもいいと思っていたのに。
塵のような小さな希望も捨てたのに。
それなのにきみが現れて魔法をかけていく。
白と黒の世界に色が付き始める。
青、黄、赤。
そしてそれらが混ざり合って橙、緑、紫と色が増えていった。
遥か昔に希望を捨ててきた僕。
捨てた場所は覚えてない。
見つけだして拾おうとも思ってない。
だからきみは僕を惑わす魔女にしか見えなかった。
コーヒーが冷めないうちに
白く霞がかった月がぼんやりと姿を隠して夜明の訪れを知らせにきた。
ピピピ……と繰り返される控えめな音。
それを細く長い指が止める。
「んーー……。もう朝ですか。準備しましょうか」
毎朝起床したらまずやること。
それは豆から挽く一杯の至福(コーヒー)。
ぼんやりしながら麻袋を開ける。スケールで生豆を測る。そして豆を挽きドリップペーパーを湯通しと、手際良くこなしていく。
ティーカップに注がれる淹れたてのコーヒー。そっと口づけて。
ふわりと漂う芳しい香りを楽しみながら。
一日が始まる合図。