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僕と一緒に


聖夜の夜に舞い降りた一人の天使。

「僕と一緒に運命を変えてみない?」

フランス人形のような端正な顔立ちをした少年は甘く微笑みかけて。
彼女の指先をそっと取り手の甲に口づけをする。
そして艶やかな唇をゆっくりと動かして詠うように言葉を紡いでいく。

「君は選ばれたんだ。運命をまるごと変えるという魔法の切符を手にしたんだよ。それを使うか使わないかは君次第だけど。でもこのチャンスを棄ててしまえば君は一生檻の中で過ごすことになると思うけど。嫌じゃないの? こんなチャンスはもう二度と訪れない」

柔らかく微笑むその表情はまるで太陽のように輝く天使様にしか見えない。が、ぶるりと体が震える。この得体の知れない少年からとてつもない恐怖を感じるのだ。すぐに逃げ出さなくては、と本能が警鐘を鳴らす。
どこか歪で剣呑な光を宿す美しい少年。
このまま甘くにっこり笑む天使の手を取ってしまえば引き返せないのは明白だ。

だが……。

「うんうん。それでいい。いい子だね」

ふわりと微笑む天使は乾燥してる彼女の頬を優しく触れた。そして彼女のひび割れた唇と重ね合わせて。

「契約成立〜。じゃあ変えようか」

一縷の光は彼女に奇跡を起こした。

9/24/2025, 6:08:59 AM