EL2

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コーヒーが冷めないうちに

白く霞がかった月がぼんやりと姿を隠して夜明の訪れを知らせにきた。
ピピピ……と繰り返される控えめな音。
それを細く長い指が止める。

「んーー……。もう朝ですか。準備しましょうか」

毎朝起床したらまずやること。
それは豆から挽く一杯の至福(コーヒー)。
ぼんやりしながら麻袋を開ける。スケールで生豆を測る。そして豆を挽きドリップペーパーを湯通しと、手際良くこなしていく。
ティーカップに注がれる淹れたてのコーヒー。そっと口づけて。
ふわりと漂う芳しい香りを楽しみながら。
一日が始まる合図。

9/26/2025, 12:17:10 PM