かたいなか

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3/3/2026, 6:46:35 AM

前回投稿分からの続き物。
「ここ」ではないどこか、別の世界に、「世界線管理局」なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
ここに都内在住の稲荷子狐が立派な御狐となるために、修行に来ておったのでした。

期間は最短だいたい1年。
初日を楽しく終えた子狐は、
どっどっど、ゴシュゴシュゴシュ。
管理局内を走る機関車風列車に乗って、管理局内に建てられた個室寮に帰ります。

で、何が困ったかと言いますと、すなわち子狐は子供なのです。初めての独りぼっちなのです。
コンコン稲荷子狐、一気にさみしくなりました。

「こわいよ、こわいよ、かかさん!」
くわぁー!くわぁーぁ!ここココンコンコン!!
だあれも居ない、静かな部屋です。
「さびしいよ、さびしいよ、ととさん!」
ここココンコンンコン!ここココンコンンコン!!
途端に子狐、自分が誰にも守ってもらえていない気がして、お母さんとお父さんを呼びます。
よく「狐の鳴き声は実はギャー」と言われますが、
意外と子狐が親狐を呼ぶ叫び声は、ちゃんとコンコンだったりするのです。

「かかさん!ととさん!おじーじ!おばーば!」
ここココンコンンコン!ここココンコンンコン!
子狐は寂しくて寂しくて、だいたい5分か10分くらい、お母さん狐を呼んでおったのでした。

ところでそんな今回のおはなしのお題が、
寂しん坊な子狐にとって幸いなことに、
ちょうど、「たった1つの希望」でして。

「かかさん、かかさん……」
鳴いて吠えて、喉を痛めて、すっかり疲れてしまった稲荷子狐です。
泣き疲れて眠ってしまう、ギリギリの頃合いに、
おやおや、夢か幻でしょうか、
優しそうな声が、子狐を呼ぶのでした。

『おいで おいで こっちだ』

子狐は耳を動かして、鼻を動かして、姿が見えない声の主の場所を探します。
『おいで おいで こっちだ』
悪霊や邪念じゃなさそうです。
稲荷子狐は心魂の匂いが分かるのです。
『さあ ここだ』

コンコンコン、独りぼっちで寂しい子狐にとって、誰だか知らない優しい声は、
まさしく、「たった1つの希望」でした。

『やあ。はじめまして』

ガコン! 個室寮の部屋の壁の、ブロックのひとつが隠し扉であったようです。
隠し通路をトテトテトテ、通って隠し部屋に到着すると、そこはよく整備されたハイテクキッチン。
ふわっとミカン、文旦の香りがする幽霊が、
優しい笑顔をして、子狐を待っておりました。

「おばけだ!」
稲荷子狐は幽霊なんて、怖くありません。
なによりその幽霊、善良な魂の匂い(と食べ物の良い香り)がしておりますので、
間違いなく、子狐に害は加えないのです。
「おばけ!おばけ!」

ああ、自分はもう、独りぼっちじゃない!
間違いなく、隠し部屋に現れたその幽霊は、寂しさ解消に適切な、「たった1つの希望」です。
子狐は一気に寂しさが吹き飛んで、安心しました
が、
そうです、子狐、子供で狐なのです。

『僕は、君の部屋を何年も昔に使っていた、いわば先住民だ。君のk』
「おばけ!おばけ!あそんで!」
『待って。まず話を聞いて。自己紹介させt』
「おばけ!おばけ!」
『やめて噛まないでっていうか幽霊を噛まないd
わぁわぁわぁ、あわうわうあうあ』

ぶんぶんぶんぶんぶん!
元気になったコンコン稲荷子狐は、幽霊が幽霊でありましたので、完全におもちゃにしてしまって、
噛みついて心のままに振りまくって、大満足!
気持ちが落ち着くまでだいたい1時間ほど、幽霊で遊んで遊び疲れて、
そしてぐっすり、眠りました。

子狐が起きた頃には幽霊は消えておって、
文旦の良い香りの痕跡だけが、残っておったとさ。

3/2/2026, 4:15:00 AM

2023年の3月から投稿開始したこのアカウントも、とうとう4年目。シーズン4の始まりです。
「ここ」ではないどこか、別の世界に、「世界線管理局」なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
そこに都内在住の稲荷子狐が、立派な御狐となるため、修行に出されておりました。

期間は最短1年程度。
稲荷狐の不思議なチカラで、管理局の仕事のお手伝いをしながら、いろんな勉強をするのです。

今日のお手伝いは、滅んだ世界からこぼれ落ちたチートアイテムを保管しておる「収蔵部」。
管理局に収蔵されておるところの、解錠困難なチートアイテムを解錠するのです。

「えい!えい!」
コンコン、稲荷子狐が、鍵を失った施錠アイテムに、稲荷秘術を振りかけます。
稲荷狐の四宝のひとつ、稲荷狐の鍵は神秘の鍵。
商売繁盛諸願成就、五穀豊穣神秘開運、困難打開の鍵にして、あらゆるロックを外します。

秘密、財宝、ドアに記憶。
狐が知りたいと思えばそれこそお題のように、
表面に決して出してはならぬ、食欲金欲ダイエット欲、その他諸々の欲望までも。
稲荷狐の鍵の前に、隠し事はできないのです。

「えい!えい!」
まだまだ稲荷狐のひよっ子なので、秘術のチカラはまだまだ弱い子狐ですが、
これも、立派な御狐になるための修行です。
一生懸命秘術を使って、成功率を上げてゆきます。

コンコン稲荷子狐の修行1日目の朝は、
半分くらいお仕事を残して、終わりました。

ところで狐というものは
特に子狐は食欲旺盛のやんちゃっ子でして。

「おしごと、おわった、おわった」
とってって、ちってって、
お昼ご飯の時間になりましたので、コンコン子狐は管理局の優しいお嬢さんに連れられて、
とってって、ちってって、
廊下をすれ違う別の局員から挨拶を受けたり、頭を撫でてもらったり、おなかを撫でてもらったりしながら、管理局員専用の食堂へ向かいます。

「ごはん!」
世界線管理局は、ガチモンの多種多様組織。
人間だけでなく獣人も、妖精に幽霊も勤務中。
なんなら宇宙タコに深淵スライム、ゴーレムなんかもオンデューティーです。
そんな管理局の局員食堂は、美味がいっぱい!

「ごはん、ごはん!」
コンコン稲荷子狐は、朝にいっぱいお手伝いをした分だけ、まさしく「欲望」に従って、
しかし事前に注文方法は勉強しておりましたので、
アレくださいコレください、そこからそこまで1個ずつくださいと、尻尾ぶんぶん。
あらゆる子狐にとっての美味を、注文しました––

––…そんな子狐のグルメ探訪の裏側で
数時間前、管理局の局員食堂では、壮絶っぽいドラマが繰り広げられておりました。
せっかくなのでそちらの「欲望」のおはなしも、
すなわち食欲に立ち向かう者たちのおはなしを、
ひとつ、ご紹介しましょう。

『ランチ担当の諸君。おはようだぬ』
お昼ご飯の数時間前、管理局員専用食堂の厨房は、
いつもより大量の食材を並べて、物語の最終決戦に挑もうとしている精鋭たちのような空気でした。

『今日から管理局員に、1匹、食べ盛りの稲荷子狐が増えるだぬ。
責任者の法務部執行課からは、ホト級と同等、ないしニア・ホト級の食いしん坊との情報が、既に厨房に届いてるだぬ』

おお……。
厨房で調理を担当する、緑のエプロンをしたタヌキたちから、声が漏れます。
彼等には「ホト級の食いしん坊」という言葉の意味が、分かるのです。
それはドチャクソに規格外な食いしん坊であることを意味しておるのです。

『諸君』
厨房長タヌキが、前に出て言いました。
『諸君。我々は局員の食欲に対して、美味を提供するのが職務だぬ。
我々は欲望に、屈しては、ならないのだぬ。
よって今日は、まず相手の食いしん坊指数を見極めるため、キツネたちにも協力を要請したぬ』

どうぞ。入ってくれ。
厨房長タヌキの言葉とともに、ぞろぞろ!
稲荷子狐の欲望と対峙すべく、難民シェルターで個人レストランをそれぞれ経営しているキツネたち、
赤いコックスカーフを巻いたキツネの精鋭たちが、
食堂に集合したのでした。

『諸君!まずは今日1日!
巨大な欲望に、共に立ち向かうのだぬ!!』

おう! おお! キューン! くわぁー!
緑エプロンのタヌキと赤スカーフのキツネは皆みんな、共通の課題を前に、
大きな欲望に立ち向かってゆくのでした……

3/1/2026, 4:18:29 AM

本日3月1日で、連載風で続けているこのアカウントも、初投稿からまるまる3年。
日数としては1096日。まったく遠くの街というか、遠くの投稿期間まで来たものです。
と、いうハナシは置いといて、3年目最後のお題のおはなし、はじまりはじまり。

「ここ」ではないどこか、別の世界に、世界線管理局なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
その敷地内には文字通り、地球規模にデカい移民シェルターが、
主に、滅んだ世界からこぼれ落ちた難民のために、
美しい自然と豊富なレクリエーション、レジャー施設と多種多様な住居環境が、
それぞれ、用意されておりました。

「きしゃぽっぽ!きしゃぽっぽ!」

今回のお題の回収役は、新しく難民シェルターの使用を期限付きで許された、都内在住の稲荷子狐。
立派な稲荷狐になるために、管理局に最短1年、週休完全2日の、修行に出されたのです。

「きしゃぽっぽ、たのしいなあ」

稲荷子狐はコンコン、シェルターの中に作られた、局員専用寮の山間タイプに移動中。
滅んだ世界のチート技術で整備された、滅んだ世界の蒸気機関車風レトロ列車で、
どっどっど、ゴシュゴシュゴシュ。
遠くの街へ、向かいます。

「あら、新しい難民さん?」
難民シェルターで難民人生をドチャクソに謳歌しておるウサ耳獣人と、
「えろう災難じゃったべの。けんどココに来れば、もう安心だきゃん」
同じく難民シェルターで難民タコ生をバチクソ謳歌しておる宇宙スライムが、
それぞれ翻訳機を使って、子狐に話しかけます。

「キツネ、ナンミンじゃないもん。
キツネ、カンリキョクに、しゅぎょーに来たの」
子狐は尻尾をぶんぶん!
宇宙スライムとウサ耳獣人のボックス席に行って、
くんくん、くんくん。魂の匂いをかぎました。

わあ、人間じゃないぞ。
子狐は思いました。
東京と違って、人間じゃないひとが、そのまんまの姿で何も隠さないで、汽車に乗ってるぞ。
本当に遠くの街へ––遠くの世界へ来たんだなぁ。
都内在住の稲荷子狐はコンコン、新しい世界に心を踊らせました。

どっどっど、ゴシュゴシュゴシュ。
レトロ列車は子狐と、その他の乗客たちを乗せて、山間ルートをゆっくり走ります。
人間じゃない乗客が乗っている車内、東京では見かけない木々に大きな大きな河川と花畑。
キラキラお目々で車窓を眺めておると、子狐は山の中に開けた屋外キャンプ施設で、
誰でしょう、すごく見慣れた野郎1人とヒョロヒョロ見知らぬお兄さん1人が、ドラム缶風呂など体験しておるのを見つけました。

「なんだ、なんだ」
「難民と管理局員が無料で使えるキャンプ場よ。
坊や……お嬢ちゃんかしら?子狐ちゃんも、申し込めば使えるのよ」
「ちがう、あれ、アレ。なぁに」
「そこの滝行してるマッチョふんどし?」
「ちがう。ちがう。あそこ」

コンコン子狐が聞きたいことは、ことごとく聞けなかった道中ですが、
それでも、いろんな景色を見て、いろんな車内サービスを楽しんで、おしゃべりもいっぱい。

だいたいそれから1時間程度列車に揺られて子狐は、ようやく自分の新しい住処がある遠くの街へ、
ゆっくり、ゆっくり、到着しました。
ここから1年、子狐の修行が始まるのでした。
ここから1年、子狐の冒険と探検と、お仕事の手伝いと美味探訪が、始まるのでした。

2/28/2026, 3:10:03 AM

前回投稿分に繋がるおはなし。
「ここ」ではないどこか、別の世界に、「世界線管理局」なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
そこでは管理局に勤めている不思議なハムスターたちが、ギーギー!ちゅーちゅー!
複数匹して小さなデモ行進をしていました。

というのも明日、
すなわち来月から
ハムズの天敵たるキツネが最短1年
管理局に「修行」の名目で解き放たれるのです。

子狐です。好奇心旺盛です。
まだまだ我慢を知らないお年頃です。
ハムズの基本的鼠権を侵害してはなりません
(現実逃避)

「我々ハムスターの!
安全に仕事をする権利を守れー!」
ギーギー!ちゅーちゅー!
先頭をトトトト歩くのは、法務部所属のハム。
ビジネスネームをカナリアといいます。

「狐の横暴を許すなー!」
ギーギー!ちゅーちゅー!
カナリアの後ろをタタタタ歩くのは、カナリアと同じく法務部所属のハム。
ビジネスネームをムクドリといいます。

「配慮を!我々ハムスターへの、配慮を!」
ギィー!ギィー!
ムクドリの後ろをトタトタタ歩くのも、カナリアやムクドリと同じく法務部所属のハム。
そうです。彼等は皆みんな、同じ法務部、同じ執行課実動班、特集情報部門の職員なのです。

なんなら修行に来るという子狐の、責任者としての部署が法務部執行課実動班、特殊「即応」部門。
すなわち自分たちのご近所部署でして。
「狐の受け入れ延期を!受け入れ延期を!」
「暴力ハンタイー!!」

2匹して横断幕を咥えたり、背中に旗を括り付けたり、ハムズのデモ行進は本格的。
あらあら可愛い。人間局員や理性と常識ある肉食獣人局員たちが、行進を見守ります。

可愛らしくもドチャクソ必死なデモ行進に参加せず、自分の仕事を虚ろ目で続けるのが、
今回のお題回収役ハム、ヒクイドリです。

「ああ、今日も平和だな」
現実逃避ハム、ヒクイドリの担当は、管理局内に作られた全世界図書館の分館、通称「図書室」。
ここの室長をしておるのです。
「カナリアたちは、仕事をしてるだろうか」

ヒクイドリにカナリアたちの叫びは聞こえません。
聞こえないったら、聞こえません。
いまヒクイドリの耳は、圏外なのです(現実逃避)
近距離の無線波でお送りしています(お題回収)

図書室に生息して一緒に仕事をしている魔法生物たちは、虚ろ目ヒクイドリが珍しくて興味津々。
おちょくりに来てはヒクイドリに、仕事しろと小突かれています。
チチッ、チチチ、魔法の木ネズミなどはモフモフ尻尾をピラピラしながら、ヒクイドリにちょっかいを出しておりました。

「知らん。知らん。俺は何も聞いてない」
ウソつけ、ウソつけ。チチチ。
「お前もサボってないで、やることをやれ。
昼休みはもう少し先だぞ」
現実逃避が見えてるぞ室長。チチチ。
「おいそこ、なにをしてる。扉を閉めろ。今は妙なパレードを見る時間じゃないぞ」

仕事しごと。ああ、シゴト。
不思議なハムスター、ヒクイドリは現実逃避中。
その逃避はだいたい2時間程度、続きましたとさ。

2/27/2026, 4:38:08 AM

「君は今!
カントーちほうへの だいいっぽを ふみだした!」
26〜7年前に御三家の水タイプを連れて冒険したのが、懐かしい思い出の物書きです。
手持ちに某バイオな危機のキャラ名を付けておったのも、懐かしい思い出。
というハナシは置いといて、今回のおはなしのはじまりはじまり。

「ここ」ではないどこか、別の世界に、「世界線管理局」なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
来月からその組織に都内某所在住の稲荷子狐が、最短1年の修行に出されることになりました。

体験入学ならぬ、体験入局も無事終了。
お母さん狐やお父さん狐、おじいちゃん狐におばあちゃん狐を含めた面談・相談もスムーズに、
契約手続きまで全部終わりまして、
ちょっと早めに、ささやかな入局式が、稲荷子狐のために執り行われたのでした。

「君は今!
君の世界を別の世界による侵略から守る、最前線の組織に、正式な協力者としての籍を得た!」
ピシッとした制服を来たイケボさんが、よく通る活力たっぷりな声で、子狐に言いました。
「来月から君は、世界線管理局の法務部執行課に所属して、そこから環境整備部に出向するカタチで、私達の仕事を手伝ってもらうことになる」

コンコン子狐にはイケボの言葉が、難しくてサッパリ分かりませんでしたが、
入局式に集まった収蔵部のお嬢さん、
経理部のエンジニア、
法務部執行課のいち部署の部門長と副部門長、
それから環境整備部のイケボさんと白ヤギ獣人さん&黒ヤギ獣人さんタッグが、
それぞれ子狐を温かく歓迎しておったので、
コンコン子狐はそれだけで、嬉しくなりました。

「これが、君が1年使う局員証。
そして君が使っても良い局員寮の個室のカギだ」
紛失したら、法務部でも、私にでも、すぐに正直に相談するのだぞ。
イケボ制服さんが子狐用に、ヒモの長さを調節したストラップを、すっと、かけてくれました。
「他に君が必要なものは、既に、君のご両親に渡してある。心配しなくて良いぞ」

少しずつ慣れていこうね〜。
収蔵部のお嬢さん、子狐の頭を撫でて言いました。
ひとまず初日は、まず俺様のコタツに来いや。
経理部のエンジニアさんも、笑って言いました。
イケボ局員による説明が終わった後は、法務部所属の野郎2人のおはなしです。

「さて、子狐」
部門長が難しいハナシを云々するのを、副部門長が要約して、子狐にも分かるように翻訳します。
「君は今から……厳密には来月からだけれど、
私達の仲間として、私達の仕事のお手伝いをしてもらうことになる。
分からないことも多いだろう。困りごともでてくるだろう。誰でも良いから、頼るんだよ」

キツネ、たよる!こやこや!
ちょっと偉くなった気のする子狐は、胸を張って、尻尾をピタピタ、ぱたぱた。
元気よく返事して、イケボ局員から貰ったカギと局員証を、じっくり、観察しましたとさ。

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