かたいなか

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2023年の3月から投稿開始したこのアカウントも、とうとう4年目。シーズン4の始まりです。
「ここ」ではないどこか、別の世界に、「世界線管理局」なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
そこに都内在住の稲荷子狐が、立派な御狐となるため、修行に出されておりました。

期間は最短1年程度。
稲荷狐の不思議なチカラで、管理局の仕事のお手伝いをしながら、いろんな勉強をするのです。

今日のお手伝いは、滅んだ世界からこぼれ落ちたチートアイテムを保管しておる「収蔵部」。
管理局に収蔵されておるところの、解錠困難なチートアイテムを解錠するのです。

「えい!えい!」
コンコン、稲荷子狐が、鍵を失った施錠アイテムに、稲荷秘術を振りかけます。
稲荷狐の四宝のひとつ、稲荷狐の鍵は神秘の鍵。
商売繁盛諸願成就、五穀豊穣神秘開運、困難打開の鍵にして、あらゆるロックを外します。

秘密、財宝、ドアに記憶。
狐が知りたいと思えばそれこそお題のように、
表面に決して出してはならぬ、食欲金欲ダイエット欲、その他諸々の欲望までも。
稲荷狐の鍵の前に、隠し事はできないのです。

「えい!えい!」
まだまだ稲荷狐のひよっ子なので、秘術のチカラはまだまだ弱い子狐ですが、
これも、立派な御狐になるための修行です。
一生懸命秘術を使って、成功率を上げてゆきます。

コンコン稲荷子狐の修行1日目の朝は、
半分くらいお仕事を残して、終わりました。

ところで狐というものは
特に子狐は食欲旺盛のやんちゃっ子でして。

「おしごと、おわった、おわった」
とってって、ちってって、
お昼ご飯の時間になりましたので、コンコン子狐は管理局の優しいお嬢さんに連れられて、
とってって、ちってって、
廊下をすれ違う別の局員から挨拶を受けたり、頭を撫でてもらったり、おなかを撫でてもらったりしながら、管理局員専用の食堂へ向かいます。

「ごはん!」
世界線管理局は、ガチモンの多種多様組織。
人間だけでなく獣人も、妖精に幽霊も勤務中。
なんなら宇宙タコに深淵スライム、ゴーレムなんかもオンデューティーです。
そんな管理局の局員食堂は、美味がいっぱい!

「ごはん、ごはん!」
コンコン稲荷子狐は、朝にいっぱいお手伝いをした分だけ、まさしく「欲望」に従って、
しかし事前に注文方法は勉強しておりましたので、
アレくださいコレください、そこからそこまで1個ずつくださいと、尻尾ぶんぶん。
あらゆる子狐にとっての美味を、注文しました––

––…そんな子狐のグルメ探訪の裏側で
数時間前、管理局の局員食堂では、壮絶っぽいドラマが繰り広げられておりました。
せっかくなのでそちらの「欲望」のおはなしも、
すなわち食欲に立ち向かう者たちのおはなしを、
ひとつ、ご紹介しましょう。

『ランチ担当の諸君。おはようだぬ』
お昼ご飯の数時間前、管理局員専用食堂の厨房は、
いつもより大量の食材を並べて、物語の最終決戦に挑もうとしている精鋭たちのような空気でした。

『今日から管理局員に、1匹、食べ盛りの稲荷子狐が増えるだぬ。
責任者の法務部執行課からは、ホト級と同等、ないしニア・ホト級の食いしん坊との情報が、既に厨房に届いてるだぬ』

おお……。
厨房で調理を担当する、緑のエプロンをしたタヌキたちから、声が漏れます。
彼等には「ホト級の食いしん坊」という言葉の意味が、分かるのです。
それはドチャクソに規格外な食いしん坊であることを意味しておるのです。

『諸君』
厨房長タヌキが、前に出て言いました。
『諸君。我々は局員の食欲に対して、美味を提供するのが職務だぬ。
我々は欲望に、屈しては、ならないのだぬ。
よって今日は、まず相手の食いしん坊指数を見極めるため、キツネたちにも協力を要請したぬ』

どうぞ。入ってくれ。
厨房長タヌキの言葉とともに、ぞろぞろ!
稲荷子狐の欲望と対峙すべく、難民シェルターで個人レストランをそれぞれ経営しているキツネたち、
赤いコックスカーフを巻いたキツネの精鋭たちが、
食堂に集合したのでした。

『諸君!まずは今日1日!
巨大な欲望に、共に立ち向かうのだぬ!!』

おう! おお! キューン! くわぁー!
緑エプロンのタヌキと赤スカーフのキツネは皆みんな、共通の課題を前に、
大きな欲望に立ち向かってゆくのでした……

3/2/2026, 4:15:00 AM