かたいなか

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10/16/2025, 9:54:48 AM

愛から恋を除外するって、それ慈愛じゃね?
と結論づけた物書きです。
利他特化、究極のフィリアないしアガペー、
前頭前野活動低下とドーパミン過多を伴わないオキシトシンとバソプレシンの作用と結果、
顔知らぬ都会の疲労困憊フォロワーに、雪国フォロイーが、風に揺れる静かな木々と花畑を送るような、深々と降る雪の穏やかさを送るような。
それっぽいおはなしを、3個ご用意しました。

ひとつ目は最近最近の都内某所、某稲荷神社敷地内の一軒家に住む、稲荷狐の子供とお母さん。
コンコン子狐がおうちのテレビで、大好きな戦隊アニメを観ておったところ、
大好きなアドミンジャーの、アドミンブルーが、こんなことを叫びました。

『悪しきワルモノダーよ。何度お前が人の心を歪めても、彼等の真の愛を汚すことはできない!』

「かかさん、かかさん」
「おや、どうしたの?」
「マコトノアイ、真の愛ってなーに」
「真の愛とは、愛から恋を引いたものです」
「アイカラコイをヒイタモノってなーに」
「人間それぞれによって、異なる形のものです」

「なんで?」
「実際に、人間に聞いておいで。それがいちばん、分かりやすいでしょう」

晩ご飯までまだまだ時間があるから、
ちょっと行って、お勉強してらっしゃい。
お母さん狐はそう言って、稲荷子狐を信頼の置ける、常連参拝者のところへ、遊びに行かせました。

ふたつ目はこの稲荷子狐と、雪国出身のお得意様。
お得意様は名前を藤森といいまして、子狐の稲荷神社にちょくちょく、花を撮りに来る常連です。
雪の人が茶を淹れて、その香りに癒やされておったところ、ロックも警備も無視して子狐がこやん!

「おとくいさんマコトノアイってなーに!」

ぶふぅッ!!
稲荷子狐の超絶ストレート爆弾に、藤森、ちょうど口に含んでおった緑茶を高速射出です。
「ゲホッゲホッ、げほ、げほ!
……なんだこぎつね、アイが、なんだって?」

「あのね、アドミンブルーがね、マコトノアイはワルモノダーでもケガスことができなくて、
かかさんが、それは、アイカラコイをヒイタモノのことで、ニンゲンによってカタチがちがうって」
「はぁ、なるほど、愛引く恋?」

「おとくいさん、おとくいさんの、アイカラコイをヒイタモノってなーに?なーに?」

お、おお。なるほ……ど?
藤森はジンジン痛む鼻をクシクシ、つまんでこすって、言葉をいろいろ選んでから、
「つまり、『愛 − 恋 = ?』の数式だな」
すごく難しそうな顔して、言いました。
「そもそも、頭の中での、愛と恋という状態は、ある意味別物と言える状況であって、
……私より分かりやすく説明できそうな人を探してあげるからちょっと待ちなさい」

トントントン、たしたしたし。
藤森はスマホをタップして、スワイプして、
藤森の後輩さんにメッセージを送ったり、
その後輩さんから聞いた相手に連絡したり。

「おとくいさん、おとくいさん、
アイカラコイをヒイタモノってなーに」
「すごく難しいことをそのまま言うと、
PFC活動が鈍化せず、ドーパミンやコルチゾールも急増しない、純粋にオキシトシンとバソプレシンが主に作用する精神状態、なんだが……」

要するに、お得意さんの「愛引く恋」は、すごく難しいカタチをしているんだな。
コンコン子狐はよくよく理解して、メモしました。

最後のおはなしは、この子狐と、子狐のお友達。
子狐と同じく美味しいものが大好きで、
時々子狐と一緒に美味フェスティバルを巡回し、
子狐と一緒に、幸福タイムを共有する同志です。
ビジネスネームを、ドワーフホトと言いました。

「ピエフシがナントカでドパナントカとコチナントカがジュンスイオキシンとバシンってなーに!」

えぇ……なにそれぇ……むずかしいぃ。
ドワーフホトは子狐の質問に、目が点々。
ただでさえPFC活動鈍化だの、血中ドーパミン濃度がどうだのドチャクソに面倒なハナシなのに、
その面倒を子狐が理解してないので、
ドワーフホトは更に読解困難状態です。

「コンちゃぁん、なにそれぇ、なにその呪文……」

「んとね、アドミンブルーがね、マコトノアイはワルモノダーでもケガスことができなくて、
かかさんが、それは、アイカラコイをヒイタモノのことで、ニンゲンによってカタチがちがうって」
「うん、」
「それでね、おとくいさんに、アイカラコイをヒイタモノをきいたら、おとくいさん、
ピラフがナンでドネルケバブとチキンナンが、ジューシーチキンなバシンなの」
「うー、 うぅー???」

「おねーちゃん、ピラフがナンってなーに?」
「ピラフとナンは主食だねー……」
「アイカラアゲをヒイタモノは?」
「なんだろねぇ……」
「おねーちゃんも、わからないんだ」
「分からないねぇ……」

お姉ちゃんにも、分からないものは、あるんだな。
やっぱり「愛引く恋」は、難しいカタチをしているのだ。コンコン子狐は理解しました。
「むずかしい、むずかしい!」
コンコン子狐、結論づけて、こやん!
「アイカラコイは、むずかしいカタチ!」
よくよく納得して、おうちに帰りましたとさ。

10/15/2025, 3:32:18 AM

ネット情報によると、梨の生産地というのは、それが和梨か洋梨かで地域の特徴が違うようです。
和梨の生産ランキングの上位は、千葉・茨城・栃木・福島と関東を中心としてその近辺、
対して洋梨のランキング上位は、山形・新潟・青森・長野とガッツリ雪国の布陣。
和洋で違うモンですね。

と、いうハナシは置いといて、「梨」をお題とした今回のおはなしの、はじまり、はじまり。

最近最近のおはなしです。
都内某所、某稲荷神社敷地内の一軒家に、
人に化ける妙技を持つ化け狐の末裔が、家族で仲良く暮らしておりまして、
そのうち末っ子の子狐は、美味しいものが大好き!
稲荷狐の長年の努力と、稲荷狐の不思議なチカラで、チョコもタマネギもニンニクも、全部ぜんぶ、子狐はへっちゃらです。

そんなコンコン稲荷子狐は、美味しいもの好きな人間の同志、ドワーフホトという女性と一緒に、
秋の食べ物の絵本を、ぱらり、見ています。
日本語の授業です。スピーキングの授業です。
今日は秋の食べ物の名前で、たのしく、ゆっくり、スピーキングするのです。

「さてさて、次に出てくるのは、なーにかなぁ?」
床に置いた大きめの絵本を、ぱらり。ドワーフホトがゆっくりと、持ち上げて、広げました。

「なし!ナシ!」
その本を何度も何度も読んでもらった子狐は、次のページに何が待っているか、お見通し!
「なし!ナシ!」
尻尾をぶんぶん振り倒して、お目々をキラキラ、輝かせます——が、コンコン子狐、「梨」のイントネーションが、イマイチ違うようでした。
なにより、少しだけ、たどたどしいようでした。
しゃーない。子狐、まだ子供なのです。

「梨だよぉ」
正確なイントネーションで、ドワーフホト、コンコン子狐の目を見て言いました。
「なし!NaShi、……Наси?」
子狐も真似をして、こやん!こやん!
ドワーフホトに続いて言いました。

「梨。なーしぃ。コンちゃん、言ってごらぁん」
「NaShi!なし!」
「梨。なーし」
「ナシ! 梨! 梨!」
「言えたぁ!コンちゃん、梨、言えたー!」

わしゃわしゃわしゃ!
NaShiでもНасиでもなく、ハッキリ「梨」と言えた子狐を、ドワーフホト、幸福に撫でてやります。
「言えたねぇ、コンちゃん、言えたねー」
「いえた!キツネ、いえた! なし!梨!」
子狐も嬉しくて嬉しくて、尻尾をさっきよりビタンビタン!高速も高速で振り倒しています。
あんまりはやく振るので、高速回転の類です。

「よぉし!この調子で、次、言ってみよ〜」
さてさて、次に出てくるのは、なーにかなぁ。
穏やかで優しい笑顔のドワーフホトが、ぱらり。
大きめの絵本のページをまた1枚。
梨の次に出てくる食べ物も、コンコン子狐、知っています。「りんご!」「林檎〜。言ってごらぁん」

コンコン、こやこや!
稲荷子狐はドワーフホトと一緒に、秋の美味の絵本を読んで読んで、もう一度読み返して、
楽しく、平和に、幸福に、日本語のお勉強を20分くらい、頑張りましたとさ。

稲荷子狐と梨のイントネーションのおはなしでした。おしまい、おしまい。

10/14/2025, 9:54:10 AM

歌いながらグッバイ。なかなか難しいお題です。
そこで今回は画面の奥で、ころころ、コロコロ。ダイスが転がっているようなおはなしをご紹介。

最近最近の都内某所、某稲荷神社敷地内の宿坊兼一軒家に、人に化ける妙技を持つ化け狐の末裔が、家族で仲良く暮らしておりまして、
その家には昔々から、「こっち」の世界と「こっち」ではない別の世界とを行き来できる黒穴が、
ぽっかり、あいておりました。

稲荷神術、狐の巣穴、と言います。
稲荷狐の不思議なチカラで、空間と空間の間に「狐の巣穴」を掘りまして、繋いでしまうのです。
要は某青いたぬきの四次元ドアみたいなモンです。

ここの稲荷神社の狐の巣穴はとっても強力で、
空間と空間どころか、宇宙と宇宙、世界と世界の壁までブチ抜いて、「ここ」ではない別の世界の厨二ふぁんたじー組織に繋がっておりまして、
その組織は、「世界線管理局」といいました。

で、その世界線管理局、
たまに狐の巣穴の技術を応用したゲートを使って「こっち」の世界で仕事をしておるのですが、
別世界人の局員と、こっちの世界の人類が、バッタリ不用意に出くわしますと、
時折、困ったことが発生するのでした。

それがすなわち「LaLaLa GoodBye」でして。

「こんにちは。連絡頂いた藤森です」
「ああ、藤森さん。さぁさぁ、こちらです」

その日、稲荷神社の宿坊を訪問したのは、心優しい雪国出身の、藤森という人間。
藤森の職場の後輩の高葉井が、稲荷神社で子狐と遊んでおった最中、
「非常に大失敗な確率」で、大失敗なシチュエーションに出くわしてしまったそうで。
先輩たる藤森に、「非常に大失敗な」高葉井を引き取っていってほしいとのこと。

「ちょっと、ここで待っていてください」
稲荷狐の一家のお父さん狐、藤森を座敷に通して、どうやら高葉井を呼びに行く様子、
なのですが。
「『ここで』待っていて良いのですか」
「はい。待っていてください」
どうにもこうにも、藤森が居る座敷の隣の隣の、隣あたりがコズミックに騒がしいのです。

隣の隣の、隣あたりの部屋から、
高葉井が歌う声がします。
ららら、ラララ、LaLaLa GoodBye。
ららら、ラララ、LaLaLa GoodBye。
妙な調子で妙な歌を歌う、高葉井の声がします。
そして高葉井の歌声に、
みょっみょ、みょみょん、みょっみょ、みーみょ。
コズミックで不思議で奇妙な声が、合いの手をかましておるように聞こえます。

藤森、高葉井が心配になって、部屋から出ました。
「ちょっと失礼」
「あっ、ダメです藤森さん、藤森さん!」

ららら、ラララ、LaLaLa GoodBye。
ららら、ラララ、LaLaLa GoodBye。
藤森が部屋に近づくにつれて、高葉井の声は事実として大きくなり、コズミック合いの手もハッキリ。
「高葉井!何があっ、 あ……」

高葉井。無事か。何があった。
ふすまを開けてそう言おうとした藤森は、途端、
【世界線管理局の法務部】の【部長】であるところの【オネェな宇宙タコ】と
ナニカに取り憑かれたように虚ろな笑顔でラララらららLaLaLaと踊り歌う高葉井と
高葉井を円形に取り囲む【ダンシングヒマワリばりなファンキーダンスを踊るコズミックな】草を、
それぞれ、目撃したのでした。

きっと正気度とグッバイとかそういう意味だったのでしょう。多分。おそらく。ひょっとしたら。

「いいわ、いいわぁ!もっとよ!」
【オネェな宇宙タコ】、高葉井のダンスと歌声に大満足!なかなかノリノリです。
「もっと、もっと!アタシの美しさを、アタクシの光り輝く美貌を、たたえるのよ!」

多分この【オネェ】、ドチャクソに上機嫌であったのでしょう、感情を表すように、冗談抜きで、文字通り、「美しく光り輝いています」。
なんならその【オネェ】のそばで、ドゥンドゥンなファンキーダンスが楽しいのか、
稲荷の子狐も一緒になって【ダンシングコズミック草】の真似をしています。
「おういぇ!おういぇ!」
子狐は完全に正気のようです。普通に、楽しい雰囲気を受け入れて、ピョンピョン跳ねています。

「こう、はい……??」

ふらり。
それらすべての光景を見て、藤森、フッとめまいがして、気絶してしまいました。
しゃーないのです。とてもコズミックなものを、怒涛の情報量で目の当たりにしたのです。
藤森が目を覚ましたのは30分後。
高葉井は歌っていたLaLaLa GoodByeの記憶を、すっかり、サッパリ、失っておったとさ。

10/13/2025, 9:57:40 AM

どこまでも続く地平線、どこまでも続く斜陽の赤。
実にノスタルジック、エモい光景です。
「どこまでも」のお題には、丁度良い景色です。

エモい景色を背景に、エモいことをしてるものを置いとけば、今回のお題はハイ完成。
最近最近の、「ここ」ではないどこかの世界、とある厨二ふぁんたじー組織を舞台にして、
どこまでも平和なおはなしをご紹介しましょう。

その日の世界線管理局の、夕暮れはどこまでも続く美しい茜色で、雲が良い味を出していました。
茜色の向こうの向こうは、あと5分10分もあれば沈んでしまいそうな人工太陽が、
運行プログラムに従って、落ちてゆきます。

それを見ておるのが今回のお題回収役。
「カモ」のビジネスネームを持つ法務部局員です。

夕陽を眺めて、手すりに腕と体重を預けて、
コーヒーの紙コップなどに唇を寄せるカモさんは、
コップの中身を飲み終えると、
長いながい、ため息を吐きました。

ひとり、たそがれてるカモさんです。
ドワーフホトという局員に、恋にも似た、忠誠を誓っておるカモさんです。

「ハァ。 ホト様」
たそがれカモさん、言いました。
「やはりあなた様は、聖母、仙女、悪を知らない」
ホト様、ホト様。だからこそ俺は、いや、私は。
再度ため息など吐くカモさんは、
どこまでも、どこまでも続く茜色を、
ずっとずっと、見ておったのでした。

で、そのタソガレっぷりをカモさんの同僚にガッツリ見られまして、ズルズル、ずるずる。
実はサボっておったところのカモさんを、どこまでもどこまでも、引っ張ってってしまいました。

「ホト様」
「はいはい。仕事の続きしようね」
「ああ、ホト様……」
「法務部長たちが戻ってくるまで1時間だよん」

たそがれカモさんがタソガっておったのは、
カモさんの推し、ドワーフホトが、敵対組織の尋問を任されておったのを、たまたま見たからでした。

『こんにちは〜。機構さん、はじめましてぇ』
本来の尋問担当・スフィンクス査問官の到着が20分送れる予定であったので、
「これを言え」とスフィンクスに渡されたメモを手に、ドワーフホトが果敢にも、
専門外ながら、尋問に入ったのでした

が。

『えとね、お紅茶とぉ、お抹茶と、お煎茶〜』
ドワーフホトが始めたのは、管理局を敵視しているスパイへの追求ではなく、まず湯沸かしでした。
『ヤマカガシさんみたいに、毒とか薬とか、ヤバい薬とかは入れてないから、だいじょぶだよぉ』

お菓子もヨリドリみどり、揃えてきたからテキトーに取って食べてねー。
ドワーフホトは尋問相手に、お茶とお菓子を振る舞い始めたのでした。
これには尋問対象も目が点々。
これじゃ、ただのお接待です。来客対応です。

「だって、お客様だよぉ」
ドワーフホト、どこまでも澄んだ、美しく光る目で素直に言いました。
「スフィちゃんから『管理局が管理してる航路に、勝手に未知の交差点を敷設した』って聞いたけど、
アレだもん、推定無罪だもん、まだ悪い人って、決まったワケじゃないもん」
さぁさぁ、お茶、どーぞ。
どこまでも透き通る、美しい瞳で対象を見つめて、ドワーフホト、言うのでした。

それを、たそがれカモさん、見ておったのでした。
その様子をいつまでも、いつまでも、
スフィンクスが尋問のためにドワーフホトと交代するまで、見て、おったのでした。
『ホト様……』

どこまでもノスタルジックで、どこまでも平和なおはなしでした。 おしまい、おしまい。

10/12/2025, 7:04:50 AM

最近最近のおはなしです。
都内某所、某稲荷神社敷地内の一軒家は、
人に化ける妙技を持つ化け狐の末裔一家の自宅にして、神社参拝者の宿坊にもなっており、
なにより今は、人外用の避難所。
台風接近中の伊豆諸島から、忘れられた神社の御神体だの一族の宝物だのを背負って、
主に稲荷神社に奉仕する人外どもが、身を寄せて、台風通過を待っておったのでした。

ぶっちゃけ、避難してきた子供たちの半数は、台風なんて理解していません。
お父さん狐やら、お母さんタヌキやら、おばあちゃんネズミやらに「本土へ行きますよ」と、「2泊3日の予定ですよ」と言われて来たのです。

で、22号台風をやり過ごそうと思ったら23号まで発生からの通過らしいので
まさかの2泊3日が6泊7日、または7泊8日。
皆みんな、人外子供は互いを覚えて、グループを作って、頭の良い人外は勉強など教え始めて、
「向こうに帰っても忘れないよ」などと、言い始めるモノも居る始末でした。

ところで今回のお題は「未知の交差点」です。

ある日、人外子供たちの2グループほどが、
一緒にお餅だのジャーキーだの持ち寄って、戦隊アニメ、管理局戦隊アドミンジャーを視聴中、
「部屋の半分を貸してくれ。20分で良い」
「失礼するよ。少し騒ぐけど、怖いおばちゃんおじちゃんじゃないから、許してくれ」
「んーまっ!おばちゃんなんて!訂正なさい」
なんということでしょう、
どこからどう見てもアドミンジャーの隊員にしか見えない大人が普通のどこかの制服スーツを来て
子どもたちが占領する大部屋に入ってきたのです!

「あどみんじゃだ!」
「ホンモノだ!ホンモノだ!」
「アドミンブルーだよ!隊長もいる!」
「あどみんじゃ、あどみんじゃ!」
「レッドー!」

昔々、リアル世界に住む人間がゲーム世界やアニメ世界を訪問するというジャンルがあり、それを「トリップもの」とよく言いましたが、
まさか令和の現代に、アニメの登場人物が具現化!
なんてハナシでもなく、
普通に、別の世界に実在する組織、別の世界に実在する人物等々の、設定やら組織名やらを変えて戦隊モノのアニメに改変しただけのこと。

ちゃんとお仕事しとるのです。
元々は、世界線管理局なる組織だそうです。

現代に生きる人外子供と、
別世界で仕事しておる管理局員。
まったく未知の組み合わせ、未知の交差点です。
未知の交差点、なのです。

「航路管理部からの情報は?どうなってるの?」
「まだ未確定らしいが、複数の航路上に、外部の手で未知の交差点が敷設されている可能性が、と」
「外部って、そんなの……」
「まぁ決まってますよね」

れっど!れっどぉ!
今まで戦隊アニメ、管理局戦隊アドミンジャーを観ておった人外子供たちは、テレビから一直線!
世界線管理局の局員さんに飛びつきます。
ねーねーヘンシンして!げんちゃくして!
アニメはクライマックスですが、もはや子供たちには関係ありません。
本物です。本物が、居るのです。
この奇跡の交差を放っとくワケにはいかぬのです!

「実害は?」
「一応、事故や事件『は』、未確認らしいです」
「いずれ出てくるわよね。特に事故」
「ですよね」

「そろそろワサビ茶などどうじゃ?」
「「結構です」」
「飲むのじゃ。ノムノジャ」
「「結構です」」

わーわー、きゃーきゃー!
2次元と3次元、人外と別世界人の交差です。
それからだいたい20分、特に何もハプニングは発生せず、別世界人のハナシがまとまったところで、
管理局員は部屋から、
出ていこうとしたのですが、戦隊ダイスキーの子狐子狸小鼠たちが、それぞれの推しにしがみついて、
当分、だいたい200mくらい、離れませんでしたとさ。 おしまい、おしまい。

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