ネット情報によると、梨の生産地というのは、それが和梨か洋梨かで地域の特徴が違うようです。
和梨の生産ランキングの上位は、千葉・茨城・栃木・福島と関東を中心としてその近辺、
対して洋梨のランキング上位は、山形・新潟・青森・長野とガッツリ雪国の布陣。
和洋で違うモンですね。
と、いうハナシは置いといて、「梨」をお題とした今回のおはなしの、はじまり、はじまり。
最近最近のおはなしです。
都内某所、某稲荷神社敷地内の一軒家に、
人に化ける妙技を持つ化け狐の末裔が、家族で仲良く暮らしておりまして、
そのうち末っ子の子狐は、美味しいものが大好き!
稲荷狐の長年の努力と、稲荷狐の不思議なチカラで、チョコもタマネギもニンニクも、全部ぜんぶ、子狐はへっちゃらです。
そんなコンコン稲荷子狐は、美味しいもの好きな人間の同志、ドワーフホトという女性と一緒に、
秋の食べ物の絵本を、ぱらり、見ています。
日本語の授業です。スピーキングの授業です。
今日は秋の食べ物の名前で、たのしく、ゆっくり、スピーキングするのです。
「さてさて、次に出てくるのは、なーにかなぁ?」
床に置いた大きめの絵本を、ぱらり。ドワーフホトがゆっくりと、持ち上げて、広げました。
「なし!ナシ!」
その本を何度も何度も読んでもらった子狐は、次のページに何が待っているか、お見通し!
「なし!ナシ!」
尻尾をぶんぶん振り倒して、お目々をキラキラ、輝かせます——が、コンコン子狐、「梨」のイントネーションが、イマイチ違うようでした。
なにより、少しだけ、たどたどしいようでした。
しゃーない。子狐、まだ子供なのです。
「梨だよぉ」
正確なイントネーションで、ドワーフホト、コンコン子狐の目を見て言いました。
「なし!NaShi、……Наси?」
子狐も真似をして、こやん!こやん!
ドワーフホトに続いて言いました。
「梨。なーしぃ。コンちゃん、言ってごらぁん」
「NaShi!なし!」
「梨。なーし」
「ナシ! 梨! 梨!」
「言えたぁ!コンちゃん、梨、言えたー!」
わしゃわしゃわしゃ!
NaShiでもНасиでもなく、ハッキリ「梨」と言えた子狐を、ドワーフホト、幸福に撫でてやります。
「言えたねぇ、コンちゃん、言えたねー」
「いえた!キツネ、いえた! なし!梨!」
子狐も嬉しくて嬉しくて、尻尾をさっきよりビタンビタン!高速も高速で振り倒しています。
あんまりはやく振るので、高速回転の類です。
「よぉし!この調子で、次、言ってみよ〜」
さてさて、次に出てくるのは、なーにかなぁ。
穏やかで優しい笑顔のドワーフホトが、ぱらり。
大きめの絵本のページをまた1枚。
梨の次に出てくる食べ物も、コンコン子狐、知っています。「りんご!」「林檎〜。言ってごらぁん」
コンコン、こやこや!
稲荷子狐はドワーフホトと一緒に、秋の美味の絵本を読んで読んで、もう一度読み返して、
楽しく、平和に、幸福に、日本語のお勉強を20分くらい、頑張りましたとさ。
稲荷子狐と梨のイントネーションのおはなしでした。おしまい、おしまい。
10/15/2025, 3:32:18 AM