かたいなか

Open App
7/29/2025, 6:59:40 AM

前回投稿分で放ったらかした、「前回投稿分の物語の裏側」を、今回のお題に絡めてご紹介。
最近最近のおはなしです。完全にフィクションファンタジーで、現実要素2割程度のおはなしです。
都内某所、某稲荷神社から早朝に、雪国出身の藤森と、稲荷神社に住まう稲荷子狐とが、
レンタカーでもって、不思議な不思議な大イチョウを目指して、静かに出発しました。

藤森の目的は、大イチョウの下にあるという、異世界と繋がっている黒穴の封印を解くこと。
その黒穴は藤森の、故郷の雪国にありました。

『この世界と別の世界が繋がれば、先進世界の技術でもって、すぐに気候問題を解決できる』
藤森にヒソヒソ、異世界組織の職員が言いました。
組織は名前を、世界多様性機構といいました。
『お前が大好きな、絶滅してしまった花も、絶滅しそうな花も、救うことができる。
黒穴の封印を解け。この世界と異世界を繋げ』

何か裏は存在する。 藤森、考えてはいましたが、
事実として日本の自然環境は日々悪化の一途。
気温は上がり、水田は干上がり、一部の山はソーラーパネルの過剰な敷設で保水能力を欠き、
そして、一刻の猶予も、許されないのです。

黒穴の封印を解くには稲荷狐の協力が不可欠。
藤森は稲荷神社の狐にすべてを話し、すべてを共有し、そして、子狐を借り受けたのでした。
「何が起こっても得られなくても、すべての結果を受け入れる」と、子狐のお母さんに約束して――

――ここまでが前回投稿分。
そろそろお題回収に行きましょう。

藤森が稲荷子狐と一緒にドライブに出て1時間、
その藤森の動向を注視していた組織が、慌ただしく動き始めました。 藤森が都内に居ないのです!

「藤森の行き先は」
「まだ掴めていません。
高速道路を見張りましたが、引っかかりません」

組織の名前は「世界線管理局」。
世界の独自性を守り、別世界からの違法渡航や技術侵略を取り締まる、公的機関のようなもの。
藤森が封印を解こうとしている「黒穴」は間違いなく日本に昔から存在する現象ですが、
「それ」を、「今の時代」に、「先進世界から技術先進技術を導入するため」に解放するのは、
ひどく、非常に、実に危険なことだったのでした。

「稲荷神社の狐から返事は」
「『末っ子を連れて早朝にドライブに行きました』としか、情報は貰えてないよ。完全にダンマリ。
アンゴラの魔法と占いで何か分からないの?」
「それができてたら苦労しないわ」

「くそッ」

ダン!
管理局法務部の、即応部門はてんてこ舞い。
部門長がこぶしで壁を叩き、色々後悔したり、情報整理したり、部下に指示を出したり。

別世界の技術を東京に持ち込もうとしている組織があるのも、その組織が藤森をそそのかしているのも、部長さん、双方知っていました。
だからこそ、数ヶ月前から藤森を見ていました。
藤森の後輩が人質として使われないように、先手を打って保護もしたし、
藤森がそそのかされないように、藤森と対話もしてきた、つもりでした。

「まるで虹のはじまりを探しているみたいだ」
部長の部下、ツバメが言いました。
「藤森は確実にどこかに行った。ハッキリ見えているのに、その『正確な』『どこか』が分からない。
目的も分かる。行きそうな場所も把握してる。
なのに、その場所に向かっても、それが無い。
どうすれば良いんだ。虹のはじまりは、どこだ」

できるだけ早く藤森を探し出して、藤森の計画を、阻止しなければなりません。
相手の目的と自陣の目標の、両端がハッキリ見えているのに、追いかけても辿り着けないのは、
まさしく、虹のはじまりを探しているのと、似ているようでもありました。

「早く、探し出さないと」
全部が手遅れになる前に。
東京はじめ、独自性を保ってきたこの世界が、
別世界の技術で塗りつぶされてしまう前に。
「どうすれば、どうしたら……」

こうなったら、稲荷子狐の親を捕まえて、徹底的に尋問するしか、もう手がかりが。
即応部門の部門長が、手荒な真似を考え始めた、
まさに、そのときでした。

「こんにちはっ!!」
バン!
即応部門のオフィスのドアを、勢いよく開けて、声を張って入ってくる女性が、おりました。
「あ、あのッ!情報!いりませんか!!」
震える声で、しかし力強い意志でもって叫ぶ女性。
なんということでしょう、彼女はまさかの、藤森をそそのかしていた組織の構成員だったのです!

「私、藤森さんの情報、持ってます。
あの世界を救ってください、あの世界の、古き善き技術を、先進世界の侵略から、守ってください!」

ずいぶん丁度良く出てきますね。
まぁフィクションファンタジーだから仕方ない。

「言え」
震える女性の両肩に手を置いて、部門長さん、真剣な顔して言いました。
「あいつは、どこに向かった」

「あのひとは、藤森さんは……」
今日のお題のおはなしはここまで。
あとは今後のお題の配信次第。
しゃーない、しゃーない。

7/28/2025, 3:29:44 AM

前回投稿分からの続き物。
最近最近の都内某所、某不思議な不思議な稲荷神社をスタート地点として、早朝から都外へ出てゆく、レンタカーがありました。
レンタカーの運転席には、神妙な顔してハンドルを握るお題回収役。名前を藤森といいます。
レンタカーの後部席には、ベルトでしっかり固定した、しめ縄付きのペットキャリー。
レンタカーの、助手席には……?

「おとくいさんと、どらいぶ、ドライブ!」
おやおや。なんということでしょう。
しめ縄付きのペットキャリーから器用に抜け出して、稲荷神社の子狐が、マンチカン立ちよろしくポンポンおなかを見せて、ちょこん!
助手席に座って、シートベルトを締めています!

なんとシュール! なんとファンタジー!
「おとくいさん、まずは、どこまで行くの」
まぁフィクションなのだから気にしない。

「子狐、たのむ、キャリーに入っていてくれ」
「キツネ、ここがいい」
「急ブレーキをして、お前の体が下手に締められたら、ケガをするかもしれない」
「ケガしない。キツネ、ぜんぶ知ってる」

「子狐」
「どらいぶ、ドライブ! キツネ、ここがいい」
「こぎつね……」

早朝といえど、東京の道路。あっちにも、こっちにも、区外ナンバーも都外ナンバーも、
びゅんびゅん、走り回っています。
稲荷神社を出発したレンタカーは、それらの車とすれ違ったり、合流したり、追い越されたり追い越したりしながら、都外を目指して、走りました。

目指すは運転手の故郷の片田舎。
そこに生えている、大きな大きなイチョウの木。
地方は首都圏が置き去りにしてきた、過去と自然と、水と秘匿が残る、在来種のオアシスでした。

「おいしい。おいしい」
「待て。子狐、何を食べ……そのデカい弁当箱いったい『どこ』から出した?!」
「かかさんが、『車の中で食べなさい』って」
「質問に答えてくれ子狐、そのデカい重箱の弁当箱、どこに隠してどうやって持ってきた?!」

「おとくいさんも、どうぞ」
「あのな、あのな……」

――稲荷神社から稲荷子狐を借り受けるとき、藤森は子狐のお母さんから言われました。

『たとえ望んだモノが手に入らなくても、どのような結末になっても、すべてを受け入れなさい』

『目的地までは一般道を使うのが良いでしょう。
高速道路は見張られています。ハイウェイオアシスは待ち伏せされていると思いなさい。
そして可能なら、子狐に様々なものを見せなさい』

藤森が稲荷子狐を連れて故郷を目指すのには、藤森なりの、目的がありました。
藤森は、花咲き風吹く雪国の、片田舎の出身。
自然を愛し、気候変動を悲しみ、花々が生息地を追われて消えゆく昨今に、心を痛めておりました。

そんな藤森に幸か不幸か、異世界の組織がヒソヒソと、吹き込んだ情報が「異世界技術」。

『異世界の先進世界の技術を導入すれば、気候変動も、花の保護も再生も、たちまちに解決できる』

『丁度、お前の故郷のイチョウの下に、異世界へと通じる穴が封印されている。 封印を破れ』

藤森の故郷には、「イタズラ狐の大イチョウ」という、不思議な昔話を持ったイチョウがあって、
「昔々、そのイチョウが生えている下に、あらゆるおばけが湧き出る黒穴があった」と、
「その黒穴を、狐がイチョウに化けて塞いだ」と、
言われて、おったのです。

そのイチョウの封印を解くために、稲荷神社の稲荷子狐の協力が必要とのこと。
藤森は稲荷神社に行き、子狐と対話し、お母さん狐とも長く話し合い、お父さん狐から許しを得て、
そして朝早く、稲荷神社から出発したのでした。

「あげる」
「なんだ」
「ととさんが焼いた、おにく」
「完全に炭じゃないか??」
「おいしくない。あげる」
「うん……うん」

「これもあげる」
「それは?」
「キツネ、つくった!もちきんちゃく」
「それは美味そうだ。ありがとう」

稲荷子狐を乗せたレンタカーは、高速道路を避けて、一般道へ入り、そして、遠くへ、遠くへ。
日本の在来種のオアシスに向けて、すなわち藤森の故郷であるところの地方、片田舎へと、
ゆっくり、着実に、進んでゆきます。

藤森が誰に、「何」に追われて、「何」を避けて高速道路ではなく一般道を選んだかは、
それはまた、次回以降のおはなし。
しゃーない、しゃーない。

7/27/2025, 9:58:26 AM

最近最近、都内某所のおはなしです。
某深めの森の中に、本物の稲荷狐が住まう不思議な稲荷神社がありまして、
ただいま、「涙の跡」のお題に丁度良く、
稲荷子狐が1人の大好きなお得意様、ゲホゲホ!……もとい、常連参拝客の話を聞きまして、
ぎゃんぎゃん、ぎゃんぎゃん!
文字通り、ギャン泣きしておったのでした。

「わぁん!わぁん!」
稲荷子狐、涙を龍神様の噴水のように、じゃんじゃん流して、大きな声で泣いています。
「おとくいさん、フーイン、封印されちゃう!
おとくいさん、キツネのおうちの、めしつかいになっちゃう!わぁん!わぁん!」

子狐が参拝客から聞いた話は、こうでした。

その参拝客、名前を藤森、旧姓を附子山といいまして、花咲き風吹く、雪国の出身。
昨今の気候変動と、それから一部の国内外資本の暴挙によって、次々と数を減らしていく日本在住の花たちに、すごく心を痛めておりました。

消えゆく日本の花を、救いたい。
心を痛めておった藤森に、幸か不幸か、勧誘の言葉をヒソヒソ流し込んだのが、子狐の知らぬ「外の世界」から来た異世界人。

『異世界の技術を使えば、この世界を救える。
異世界の技術に頼るには、お前の故郷の「黒穴」――異世界と通じている穴を、
完全に、開通させる必要がある』

藤森は日本の美しい景色を、よき花を、今まさに消えようとしているものを救うために、
藤森の故郷にあるという、「イタズラ狐の大イチョウ」の下の大きな黒穴を、稲荷狐のチカラを借りて開通させようとしておるのです。

「うわぁぁぁぁぁん!!!」
「子狐、こぎつね。どうした」
「わぁぁぁ、わぁぁああああん!!!」
「何故泣いているんだ。封印とは、なんだ?」

「おとくいさん、おとくいさぁぁん、
おとくいさんが、ゲボクになったら、キツネ、毎日、あそんであげるぅぅ、うわぁぁぁん」
「げぼく……???」

で、そのハナシと子狐のギャン泣きと、どう繋がるかと言いますと。
実は子狐住まう稲荷神社に、藤森のハナシとよく似たシナリオを辿って稲荷神社に鎮められた、昔々の花の亡霊がおるのです。
「たたり白百合の祠」とか、「附子の祠」とかいう石碑に封じられた亡霊です。
旧姓附子山と、附子の祠。あら偶然。

白百合の亡霊も、花が大好きな亡霊でした。
昔々、その亡霊が鎮まっておった花畑を、当時の人間が壊してならして、メチャクチャにしたので、
それを怒って怨霊になって、
日本の美しい景色を、よき花を、今まさに消えようとしているものを救うために行動した結果、
子狐のおじいちゃんと、おばあちゃんにエイッとやっつけられてしまって、
そして亡霊は、石碑に鎮め直されたのでした。
ゆえに亡霊は、今でも稲荷神社の草むしりやら雑用やらを、させられておるのでした。

白百合の亡霊は、
消えゆく花のために行動して、子狐のおじいちゃんおばあちゃんに封印されました。
藤森もきっと、
消えゆく花のために行動するので、子狐のおじいちゃんおばあちゃんに封印されるに違いありません!

コンコン子狐、考えました。
なんということでしょう。大好きなお得意さんが、子狐の稲荷神社に封印されてしまいます!
「おとくいさぁぁぁん」
それで子狐、ギャンギャン!泣いておるのです。

が、そういう背景を、藤森さっぱり知りません。

「こぎつね……」
「おとくいさぁぁぁん!!わぁぁぁぁん」

涙の跡も乾かぬうちに、次の涙が流れてきて、
わんわんわん、わんんわんわん。

あんまり子狐が泣きますので、子狐のお母さんがやってきます。
「どうしたのです」
お母さんが言いました。
「実は、」
藤森、決心して言いました。
全部ぜんぶ、子狐のお母さんに、打ち明けました。

その先のことは詳しくは言いません。
あとは、今後のお題次第なのです。
しゃーない、しゃーない。

7/26/2025, 9:53:08 AM

真面目な先輩が、突然私用で長期の有給をとった。
私、永遠の後輩こと高葉井は、藤森先輩とずっと8年くらい、一緒に仕事してきたけど、
この先輩が突然私用の休みをとる時っていうのは、だいたい先輩自身に酷い悩み事があって、その悩み事に先輩自身が1人で立ち向かって、
それで、妙な解決策が、見つかったときだ。

先輩は真面目で、人に頼るのが苦手で、
仕事の問題はすぐ他の人と情報を共有するくせに、
自分の問題になると、1人で抱え込んで、1人で解決策を探して、全部ぜんぶ、内側に隠して、
それで、先輩としての解決策が見つかってから、
やっと、「いつもと違う行動」や「先輩らしくない行動」でもって、一気に答え合わせをしてくる。

それこそ有給を突然とるような。

一昨年も、先輩は突然私用で長期の有給をとった。
一昨年の10月、夏の残暑が微妙に残ってるんだか、そろそろ秋に向かうんだか分からない頃、
半袖と長袖の狭間のような時期に、
先輩は、1人で自分の問題に向き合って、1人で答えを出して、1人で全部解決しようとした。

当時の先輩は、所有欲が超強火で、超粘着質な、理想押し付け厨の元恋人に追われてた。
その元恋人がドチャクソに粘着しまくって、私達の職場にまで押し掛けてきたから、
先輩はこれ以上、元恋人が自分の職場に、友人に、多分私にも迷惑がかからないように、
とった有給の間に、元恋人を連れて、遠い遠い故郷に戻ろうとした。

一昨年の先輩の有給は、半袖長袖の狭間の10月。
今年の先輩の有給は、半袖真っ只中の7月。
なんとなく、先輩と半袖の時期の相性は悪い。
先輩は雪国出身だから、暑い日は思考が悪い方向に落ちやすいのかもしれない。

いつもと違う行動、先輩らしくない行動。
真面目な先輩が、突然私用で長期の有給をとった。
先輩がまた1人で何か勝手に悩んでるらしい。

先輩にメッセ飛ばしてカフェに呼び出して
それで先輩を問い詰めたけど、
先輩は「お前に迷惑はかからない」「安心しろ」の一点張りで、でも確実に何か決心決意してて、
それで、「またな」、って。「ちょっと行ってくる」って。そう言って先輩は私から離れてった。

雪国出身の先輩は、その日もリネンで薄手の半袖サマーコートを羽織ってた――…

…――「……っていうことが、あったんです」
「うん。非常に、ウチの部長によく似てますね」

先輩と別れて十数分、私は先輩を呼びつけたカフェのテーブルから離れられなくて、
それで漠然と、先輩が歩いてった道を見てたら、
パッ と目の前に、私の推しが現れた。
「ツバメ」っていうビジネスネームで活動してる、某管理局の局員さんだ。
ツー様と呼んでるけど本人には頑張って「ツバメさん」と言いたい(多分難しい)

ツー様は、先輩が何に対して悩んでて、何を理由に有給をとったか、分かってるようだった。
ところでツー様今日も美しいですね(合掌)

ツー様は、先輩が見つけてしまった自分だけの解決策を、知っているようだった。
あのねツー様今日に限って半袖なんですね(尊い)

うん(課金)
ところでツー様、ツー様の上司の部長様、
今、どこにいらっしゃるんですか(好き)

「部長なら、ワケあって、今は私と別行動中です」
「別行動中」
「ちょっと、色々あってね。これから忙しくなりそうだから、ちょっと警戒と監視を」
「何の監視ですか」

「黙秘です」
「私に、 先輩に、関係あることですか」
「それも黙秘だ」
「ツーさま」
「ただ、いつか、あなたも『この事件』に巻き込まれる可能性がある。そのときは……」

そのときは。ツー様がその先を言おうとした直後に、ツー様の個人端末がマナーバイブで鳴った。
「……まぁ、うん。そうなるだろうと思った」
ツー様が言った。
「高葉井さん。あなたも一枚、絡んでみるか?」

7/25/2025, 4:17:58 AM

過去に戻って何かをやり直せるなら、やり直したいことが1個や2個、なんなら10個くらい存在するのが、多くの人の心の中と思います。

金が安いうちに財産全つっぱ、
爆死確定ガチャへの課金中止、
もう見られないあんな景色、こんな景色、
まだ「酷暑」が存在せず、熱中症が「日射病」なんて名称だった、涼しき善き昭和に避暑トリップ。
今回のお題回収役も、そうでした。
「もしも過去へと行けるなら」、守りたい花が、救いたい草木が、残したい風景が、あったのでした。

お題回収役は、旧姓を附子山、今の名前を藤森といいまして、花咲き風吹く雪国の出身。
ひょんなことから不思議な不思議な、異世界系厨二ふぁんたじー組織と交流するようになりまして、
その組織は、東京を含む地球のような、それを内包する世界のような、発展途上の世界に対して、
先進世界の技術を伝授したり、滅亡世界から避難してきた難民を連れてきたり、
そういう活動を、しておったのでした。

組織は名前を「世界多様性機構」といいまして、
藤森が出会ったのは、世界多様性機構が東京に設置した支援拠点、出先機関、滅亡世界からの難民のための領事館。
領事館の館長さん、藤森に言いました。

『先進世界の技術を使えば、お前が守りたい花を守れるし、残したい風景も残せる。
だがそれは、世界の法に少しだけ引っかかる。
お前が罪に問われる可能性もあるだろう』

「それでも」
故郷を、日本の花を、それらが芽吹く自然を愛する藤森は、気候変動の異常さを思って言いました。
「それでも、私は故郷の花を、守りたい。
消えてしまった花を、もう一度、咲かせたい」

さぁ、ここからお題回収。
心優しい藤森、異世界系厨二ふぁんたじー組織の領事館へ、それが建っている都内某所の杉林の奥へ、
ひとり、入ってゆきました……。

――「既に完全に消滅してしまった花を、現代に蘇らせる方法は、あるのですか」
異世界組織の領事館に到着した藤森は、木漏れ日の入る談話室に通されまして、
そこで、領事館の館長さんに、聞きました。
「たとえばつまり……、
もしも過去へと行けるなら、1株だけでも、救い出して現代に植え直したい花があるのですが」

「この世界では、無理だ」
そう、「この」世界では。
再度強調する館長さん。小さく首を横に振ります。
「『もしも過去へと行けるなら』というか、『確実に、過去へは行ける』。
他の世界で技術は確立しているし、それを観光産業にしてる世界もある。
ただ、それは特殊過ぎる世界だ。あらゆる偶然と資源と、特定の物質とエネルギーと、それから、技術が揃う必要がある。

『この』世界に関しては、過去へは原則として行けない。例外があるとすれば、それは神の大魔法か、
あるいは、俺達の敵、世界線管理局の技術だ」

ただな。 ただ。
お題の「もしも」を聞いた藤森に、領事館の館長さん、1枚の画像を見せました。
「この国には、この世界の過去、そのものへ行く方法は無いが、この世界の過去の、平行世界に続く穴なら、既にある。 お前の故郷のイチョウだ」

お前も、見覚えがあるだろう。
領事館の館長さんが藤森に見せたのは、藤森の故郷の隣の隣の、とりあえず遠く離れた町に立つ、大きな大きなイチョウの木でした。
「これは」
藤森はそのイチョウを、よく知っていました。
「イタズラ狐の、大イチョウ」
それは地元で、「そのイチョウは、大きな黒穴を塞いでいるのだ」と言われている、不思議な不思議な昔話を内包したイチョウでした。

「もしも、過去へと行けるなら、と言ったな」
館長さんが言いました。
「過去へは行けない。だが、お前のやりたいことは、おそらくこのイチョウの下の黒穴にある。
詳しく聞くか? 管理局を敵に回す覚悟は?」

「私は、」
藤森の心は、ほぼほぼ、決まっていました。
「わたし、は……」
藤森は館長さんを、まっすぐ、見つめました。

といったところで「もしも過去へと行けるなら」のお題はおしまい、おしまい。
その先は今後のお題次第なのです。 しゃーない。

Next