かたいなか

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3/12/2025, 4:55:00 AM

「銃星は銃の照準をあわせるための星、星宿は二十八宿のひとつ、白星は相撲の勝敗。……他は?」
これで何個目の「星」のお題だろう。某所在住物書きは過去投稿分を確認しながら、ぽつり、ぽつり。
「流れ星に願いを」では桜吹雪を星に見立てた。
「星空」のお題はフクジュソウを星にした。
今回は「星」である。

意外と色々アレンジ可能なので悩ましい。

「銀星石とかいう単語もあるらしい」
検索窓に「星石」と入れた物書きが気付いた。
そういえば「◯星石」なるアニメキャラが……

――――――

前回投稿分からの続き物。
「ここ」ではないどこかの世界のおはなしです。
「世界線管理局」という厨二ふぁんたじー組織がありまして、現在、環境整備部で使用されているチートアイテムの適正利用点検中。
仕事に対して過剰にオーバースペック過ぎるものが使われていないか、逆にもう少しアップグレードしたアイテムを搭載すべきか、
数年かけて、じっくり検証して、交換すべきものを交換したり、提言すべきことを提言したり。

稼働中のチートアイテム搭載機器に近づくこともあるので、時折、危険をともなう作業です。
チェック作業を担うのは、元々チートアイテムの収蔵部に居た奥多摩出身の通称「奥多摩君」。
彼を危険から守る相棒として任命されたのが、
環境整備部いちのベテラン、ビジネスネームを「キリン」といいました。

このキリンさんがまさかのイケボふんどしマッチョさんだったというのが前回投稿分のおはなし。

「奥多摩君。まずは、環境整備部空間管理課の心臓部、『保存空間生成装置』からだ」
さぁ、チェックを始めましょう。チートアイテム搭載機器の点検を始めましょう。
低音イケボのキリンさん、チートアイテム点検員のに任命された奥多摩くんを、大きな大きな機械の前に案内しました。
「これは、世界線管理局の長年の課題、土地不足を解消する目的で最近完成したものだ。
主に局員1名、ないし2名を『鍵』に指定して、半永久的かつ小さな空間を作り出す」

要するに、セキュリティー対策万全な完全防音防塵防爆、パーフェクト空間発生装置というワケだ。
低音イケボキリンさんは、軽く管理局の制服を腕まくりして、美しい筋肉で小さなチートアイテム格納隔壁を開放しました。
美しい水晶玉1個と、ミカンが2個入っています。
水晶玉は空間と局員を関連付けて、セキュリティー関連を処理してくれるチートアイテム。
2個のミカンのうちの1個、日向夏の方は、大きな大きな保存空間生成装置にエネルギーを供給してくれるチートアイテム。
はて、残りの1個は……?

「俺が提供した水晶のレプリカも、スフィンクスさんが提供してくれた日向夏のイミテーションも、
オーバースペック過ぎず、力不足にもならず、適切に稼働してますね。よしよし」
奥多摩君、履歴やらメーターやらグラフやらを総合的に確認して、「問題なし」と結論づけました。
「で、こっちの水晶文旦のレプリカは……?」
確認しないと。評価しないと。
奥多摩君が仕様書に書かれていない、美しい水晶の文旦について、「本物」を持っている局員に連絡を入れようとしたところ……?

ここでようやくお題回収パート。
保存空間生成装置を置いているフロアに、奥多摩君やキリンさんの組織と敵対している別の組織、
「世界多様性機構」の下っ端が、勝手に入ってきて、管理局所蔵のチートアイテムを略奪すべく、襲いかかってきたのです!

「この空間生成装置は、我々多様性機構が頂く!」
敵対組織の下っ端さんは武装しておって、奥多摩君のような非戦闘局員じゃ太刀打ちできませんが、
それでも何か、抵抗しなければ、大事なチート機械が機構に奪われてしまいます!

「キリンさん!」
奥多摩君、イケボキリンさんに叫びました!
「特殊即応部門と総務部総合案内課に通報お願いします!ここは俺に任せて!」
マッチョなキリンさんの方が、通報ボタンまでダッシュしたり近くの局員の避難誘導をしたりするのが向いていると思ったのでしょう。

ああ、なんという勇気、なんという自己犠牲!
イケボマッチョのキリンさんは、奥多摩君に感銘を受けて、まず奥多摩君を救うことにしました!!

「心配いらない。任せたまえ奥多摩君!!」
どぉん!ばぁーん!!イケボのキリンさんが声を張り上げ、ビシっと決めポーズをとると、
キリンさんの制服が大胆パージ!!
イケボキリンさんは、イケボふんどしキリンさんになったのです!

「君を危険から守るのが私の仕事だ。
いくぞ、活力10倍!お仕置キリン!!」
イケボふんどしキリンさんの純白にまぶしいふんどしが、キリンさんの活力開放で薄紅色に輝きます。
そしてここで、お題回収。
イケボふんどしキリンさん、自慢の筋肉とチートアイテムふんどしのチカラで、
敵対勢力をどぉん!ばーん!吹っ飛ばしてお空の彼方へ。お星さまにしてしまったとさ。

3/11/2025, 4:17:11 AM

「『流れ星に願いを』とかなら、去年書いたな」
願いが3個叶うランプ、願いの映像だけ見せるマッチ、それからあとは何だろう。
某所在住物書きは願いを1つ「叶えてくれる」方の媒体を探して、検索して、
結果、そっち方面で書くことを断念していた。
この2〜3年の間、どこかでそのネタを投稿したような気がしないでもないのだ。

「つっても、どうせ2〜3年だし、
コピペしてもバレないか……??」

物書きはふと考える。願いが1つ叶うなら、昔々の投稿をコピペしてズルして、執筆をサボって……
「サボって時間作っても、その時間で、やることが何も無いんだよな……」

――――――

願いが1つ叶うならば。
なかなか悩ましい仮定であり、同様に、そこそこ難しいお題な気がしないでもない物書きです。
「夏が涼しかった過去に戻りたい」と「5000兆円欲しい」の両端で迷い指をずっとしている物書きが、こんなおはなしをご用意しました。

「ここ」ではないどこかのおはなしです。
「世界線管理局」という、いわゆる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
世界から世界への渡航申請を受理したり、違法な密入出を取り締まったり、
あるいは、滅んだ世界からこぼれ落ちたチートアイテムが、他の世界に流れ着いて悪いことをする前に、回収して保管したり、活用したり。

要するに、その世界が「その世界」として、独自性を保ったまま他の世界と交流できるように、
色々多種多様、せっせこ頑張っておったのでした。

その世界線管理局の環境整備部、空間管理課に、
お題回収役の奥多摩出身者も勤務しておりまして。
まぁ仮に、奥多摩君と名付けておきましょう。

奥多摩くんは、過去投稿分3月3日のおはなしで、
環境整備部所有のチートアイテムが、「仕事に対してオーバースペック過ぎる」と突き止めまして。
一人で頑張って、適切なスペックにダウングレードする偉業を達成したのでした。

奥多摩くんの次の仕事は、ダウングレードしたアイテムの再総点検と、再評価。
管理局の財産にして、「滅んだ世界の遺言」とも「遺産」とも言えるチートアイテムが、
適切な場所、適切な仕事に使われているかを、
数年かけて点検して、それぞれ不具合が発生してないかどうか、評価する仕事を任されました。

『ひとりで良いので、一緒にチェックしてくれる熟練者さんを寄越してください』
奥多摩君にとっての「願いが1つ叶うならば」は、
一緒に環境整備部をまわってくれる先輩の存在。

奥多摩君に総点検を任せた上司さん、「ならば」とイチバンのベテランを用意しました。
「キリン」というビジネスネームで、環境整備部すべてのセキュリティーに責任を持ち、
なにより、確実に奥多摩君を、ありとあらゆるヒヤリハットな状況から守ってくれる局員だそうです。

『シェルターの山奥で毎朝滝行をしてい筈である』
キリンさんに挨拶したくて、どこに居るか訪ねた奥多摩君。 上司は「山奥に居る」と言いました。
『滝までの道は舗装され、手入れも為されているから、気軽に行ってくるが宜しいである』

今の時代に早朝から毎朝滝行???
奥多摩君は宇宙猫の表情。
それでもこれからの相棒ですので、翌日の早朝、
世界線管理局内に作られている「滅んだ世界の人々を収容するための超巨大難民シェルター」の中にある、山の中に入ってゆきまして、
チュンチュン、ちぃちぃ、ギャァン、ぽんぽこ!
いろんな鳴き声がする舗装済みの山道を、森林散歩同然に歩いてゆきました。 すると……、

「待ちかねたぞ、奥多摩君!」
なんということでしょう。大きな大きな滝の下で、
めっちゃ体格の良い細マッチョさんが、まぶしい純白に輝くふんどし一丁で、
本当に、滝行をしているではありませんか!!
「部長から話は聞いている。何も心配はいらない。
私が君を、点検中の危険から守ってしんぜよう!」
謎にイケボ、よく通る低音の声を張って、
ビジネスネーム「キリン」さん、言いました。

「ち、ちぇんじ、 チェンジ……」
イケボふんどしキリンさん。 パワーワードならぬパワー局員とエンカウントした奥多摩君です。
奥多摩君、さっきまでの「1つ願いが叶うならば」を取り消したくなってきましたが、
ここまで来たら、もう止まりません。

「さぁ、奥多摩君。きみも精神統一、心身鍛錬!
共に活力100倍、滝行をしようではないか!」
「俺、着替え持ってきてないので結構です!
失礼します!明日からよろしくお願いします!!」

「私のふんどしを貸してあげよう」
「結構ですぅぅぅぅぅぅ!!」

さぁさぁ、やぁやぁ、ぎゃーぎゃー。
難民シェルターの滝の下で、大きな大きな声が響いて、今回のおはなしはおしまい。
最終的に奥多摩君が、キリンさんと滝行したのかしてないのかは、今後のお題の配信次第……

3/10/2025, 3:57:56 AM

「昔はよく使ってたな。格好良いから」
懐かしいねぇ。何年前だろう。某所在住物書きは黒歴史となった二次創作を、久しぶりに読み返す。

嗚呼(ああ)、一寸(ちょっと)、巫山戯(ふざけ)た、五月蠅(うるさ)い、科白(せりふ)。
いわゆる「知らないと読めない」単語といえる。
あるいは「使うと格好良いが、読めない人は読めない」文字とも言える。当て字の類だ。

昔々の純文学、たとえば太宰治が筆を執っていた時代の物語にはよく使われていたかもしれないが(※個人の偏見です)、
いわゆる新聞記者必携、『記者ハンドブック 新聞用字用語集 第12版』においては、そのことごとくがひらがなに直すよう指示されている。
使いたいならば、ルビを振るのが親切であろう。

ところで「夜露死苦」は今も通用するのだろうか。

――――――

前回投稿分の翌日が舞台。
最近最近の都内某所、某稲荷神社のおはなしです。
不思議な不思議な稲荷神社は、少し深めの森の中。
いつか昔の自然を残して季節の花が咲き誇ります。

最近は絶滅危惧種、キバナノアマナという小さな花が、神社の庭を少しずつ、少しずつ、黄色く染めてゆきまして、稲荷の神様の御力を示します。
「今日はどれだけ増えたかな」
そのキバナノアマナを、毎日見に来て、写真に収めている者が在ります。
風吹き花咲き誇る、雪国の田舎出身者です。
田舎者は名前を、藤森といいました。

「ああ。嗚呼。 美しい」
藤森が稲荷神社に、まずお賽銭して、きちんとお参りして、参道をてくてく歩いていくと、
ぽっかり日だまりの落ちるあたりに、キバナノアマナの花畑が見えてきます。
「今年も、よく咲いてくれた」

東京では数を劇的に減らしつつあるこの黄色。
藤森の故郷では、そこそこ、よく見かけるのです。
よって藤森、この黄色を見るたび、
自然あふれる片田舎の早春を、思い出すのです。

ところで今日は、花畑に先客が居ますね??

「ああ、嗚呼、ダメ、だめ、」
昨日も花畑に来ていて、突然逃げ出してしまった、
たしか、「アテビ」と名乗った女性です。
「おねがい、枯れないで、嗚呼、あっ……」
キバナノアマナの花畑の、すみっこにしゃがみこんであわあわ、ふたふた。
とても、悲しそうにパニクっています。
どうしたのでしょう?

「アテビさん」
あんまりアテビが不憫なもので、藤森、誠実に、静かに声をかけてやりました。
「こんにちは。どうしたんですか」
アテビが見ているあたりのキバナノアマナは、小さな範囲で異常に、葉が色あせておりました。

「あっ、嗚呼、あの、わたしッ、違うんです」
あわあわ、ふたふた。酷く困った風のアテビです。
「この黄色い花、昨日、とっても貴重と聞いたから、私、お花を、大きく増やす結晶を持ってるから、
それで、それでっ、ああ、嗚呼……」
ただ、ただ、この貴重でキレイな花を、増やしてやりたかっただけなんです。
アテビはとうとう涙を流してしまいました。

あー、なるほど。分かった。
藤森、科学的な思考を停止しました。
このひとも、非科学的な魔法か何かを使うのだ。
この「不思議な稲荷神社」に住まう「不思議な子狐」と同じように、非科学的な術を行使するのだ。
藤森は物理法則的反論を、完全に、放棄しました。

「キバナノアマナの成長を、うながした?」
「はい。はいッ。よく育つように、願いを込めて」
「そうしたら、すぐに花が終わった?」
「そうなんです。すぐ、すぐ」

「それが『春の妖精』、キバナノアマナです。
あなたが何か間違えたのではない。彼女たちは、ほんの数日、1週間程度美しく咲いて、実を結んで、
すぐ、葉を枯らして土の中に戻るんです。
夏を迎える前に早々に寝床に戻り、次の春を待つ。
だから、『春の妖精』なんです」

「はるの、ようせい。 数日だけ……」

数日をどうぞ、楽しんで。愛でてやってください。
藤森はそう言い終えると、少し花畑を撮って、周囲のゴミ拾いをしてやって、
それで、アテビを置いて立ち去ろうとしました。
「あ、あッ!あの!!」
去っていく背中に、アテビが声を投げます。
「なまえ、お名前!聞いてもいいですか!!」

「藤森です。今の時期は、ほぼ毎日来ます」
藤森は立ち止まって、少し振り返って、
軽く会釈して去ってゆきます。
「フジモリさん。ふじもりさん……」
アテビは自分に、黄色い花のことを教えてくれた藤森の名前を、よくよく、心に残しましたとさ。

3/9/2025, 3:18:19 AM

「秘密基地、穴場、地元民しか知らない系。
あとは、別の言い方としては『例の場所』?」
地元の絶景スポットとかは、それこそ悪質な方の観光客から守りたいから、秘密にはしておきたい。
某所在住物書きは桜のシーズンを想起した。
オーバーツーリズム問題が全国的に顕在化してきたこの頃である。秘匿は金にはならないが、その場所を保全保護する絶対条件だ。
「でも最終的にバレるんだろうなぁ……」

秘密。ひみつねぇ。
物書きはため息を吐き、天井を見る。
何億・何十億のスマホカメラがひしめく昨今、「秘密」にできている地域は残っているだろうか。

――――――

前回投稿分からの続き物。
最近最近の都内某所、某稲荷神社敷地内の花畑から、ひとりの女性が必死に逃げてきました。
女性は、ビジネスネームをアテビといいまして、
「ここ」ではないどこかに本拠地のある厨二ふぁんたじー組織、「世界多様性機構」の支援拠点、
通称、「領事館」の職員でした。

「はぁっ、はぁ、はぁ……!!」
領事館のアテビが必死で逃げておるのには、「機構」の職員ゆえの、理由がありました。
「はやく、にげなきゃ、逃げなきゃ!」
アテビは某稲荷神社敷地内の花畑で、
アテビの「機構」が敵視している組織、「世界線管理局」の局員と、出会ってしまったのでした。

機構は、あらゆる世界を平等に救うため、
滅んだ世界からこぼれ落ちた難民に、「他の世界」という避難場所を提供します。
それは「まだ滅んでいない世界」への密航という手段でもって、異世界渡航を管轄する管理局の目を盗んで、秘密裏に為されます。
管理局はこの仕事が、気に入らないのです。
滅んだ世界の全部を救って、全員を他の世界に避難させ続けていては、
いずれ、すべての世界が「滅んだはずの世界の難民」で、パンクしてしまう、というのです。

アテビを見つけた管理局員は、アテビを拘束して、きっと尋問することでしょう。
アテビが務める「領事館」の位置、そこに務める異世界人の数、東京に潜伏している滅亡世界の難民のリスト、それから、それから。
ありとあらゆることを、尋問するでしょう。

アテビは逃げて、逃げて、逃げ続けました。
そして、管理局に知られていない、アテビたち世界多様性機構の職員だけが知っている秘密の場所へ、
全力で、逃げ込んだのでした。

「はぁ、これでもう、大丈夫」
そこは、「この世界」がまだ到達できない、先進世界の技術で作られた、不思議で秘密の場所。
空間を捻じ曲げて作る、非科学の場所。
アテビがここに逃げ込めば、管理局員は原則として、絶対に、アテビを見つけられません。
「あれが、世界線管理局。なんておそろしい」

こわい、ああ、怖い。
アテビは秘密の場所で、ころんと倒れ込んで、
ぜぇぜぇ、はぁはぁ。乱れた息を整えながら、
「おそろしいけど、あのとき出会った現地住民さんの方は、優しそうだったなぁ……」
管理局員に見つかる前に、アテビが稲荷神社の花畑で出会った、「この世界」のネイティブさんを、
ポワポワ、ほわほわ、思い出しました。

「はるのようせい、キバナノアマナ」
この世界のネイティブさんの、名前をアテビ、聞き忘れてしまいました。
「とっても貴重で、珍しい花、」
名前を知らないネイティブさんは、アテビが見ていた花畑の花の、名前を教えてくれました。

『黄花の、甘菜。『春の妖精』のひとつです。
このあたりでは、とても貴重で珍しい花です』

『きっと、良いことがありますよ』

「明日もあのひと、来るかな」
管理局の局員は怖いものの、花の名前を教えてくれたネイティブさんの名前を、アテビは知りたくて知りたくてたまりません。
「花が、好きな人なのかな」
明日、また会えますように。
だけど、明日、見つかりませんように。
アテビは秘密の場所で息を整えながら、
またこの世界のネイティブさんと会えるように、そして今度は管理局の人間と会わないように、
ひっそり、誰かにお祈りしたのでした。

3/8/2025, 3:00:01 AM

「アラララ、オラララ、ららら。
ゲームキャラの鳴き声ネタとか、歌のタイトルとか、それから映画やアニメの名前にもあるわな」
個人的に第一印象は某モンスター、灰色の抜け殻さんだわな。某所在住物書きは昔を懐かしんだ。
なお、未プレイである。第4世代と、飛んで第6世代で、アラララ、物書きの時は止まっている。
今の図鑑は全何匹??

「ご当地キャラの名前にもなってんの?」
ららら、ラララ。「らららとは」の検索結果に出てきたのは、某氏のPRキャラクター。
ポケ◯ンもそれぞれ、ご当地キャラもそれぞれ。
双方、急激に個体数を増やしたのは、それこそ「あららら」の驚愕かもしれない。

――――――

前回投稿分から、続くかもしれないおはなし。
最近最近の都内某所、某稲荷神社敷地内には、かつて昔の東京に当たり前のように在った美しい花畑が残っており、今まさに春の花が咲き誇る頃。
雪国では冬終了を宣言し、ここ東京では春到来を告げる「スプリング・エフェメラル」が、
敷地に黄色と白と、少しの薄紫を散らしている。

フクジュソウは丁度、見頃のピークを過ぎ始めた。
今の主役はキバナノアマナ。
ユリ科の小さな黄色い星型。都内のレッドデータブックに掲載され、神奈川等では既に絶滅したとされている、春の妖精である。
「今年も、よく咲いたな」
そのキバナノアマナを、毎年見に来ては写真を撮って、愛でる者が在る。
「新芽もある。来年はもっと、花が増えそうだ」

名前を、藤森という。
風吹き渡り花咲き誇る、雪国の田舎の出身で、
東京で珍しいキバナノアマナは、藤森の故郷の春の日向で、その黄色を温かい陽光に向けていた。
キバナノアマナは望郷の花のひとつであった。

パシャパシャ、ぱしゃぱしゃ。
数を著しく減らしつつある黄色に、ひざまずき、スマホを離して近づけて、また離す。
寂しそうに笑うのは、その黄色が将来、東京からも姿を消す可能性があることを知っているから。
「綺麗な黄色だ」
その綺麗な黄色が、外来種の侵略や人間の心無い開発によって、いずれ姿を消すのだ。
キバナノアマナはAランクの絶滅危惧種であった。

「ん?」
と、しんみりムードのところで唐突にお題回収。
「うた?」
神社敷地内、キバナノアマナの花畑、
片隅で見慣れぬファッションの女性が小さな声でラララ、ららら。花に声を聞かせている。
「誰だろう」

ラララ、ららら。
小さい声に誘われ、藤森は花畑をフララ、ふらら。
歌っている女性は藤森に気づかない。
藤森の退廃的なそれとは反対に、幸福そうな笑顔でもって、ラララ、ららら。
彼女は藤森の知らない歌を、キバナノアマナに嬉々として、聞かせていた。

「わわ!ここ、こんにちわッ!!」
こんにちは。 歌、お上手ですね。
そんな藤森の声がけに、不思議な歌姫はコテン!
尻もちをつき、起き上がって、相当に慌てている。

「あ、あの、アテビといいます、『領事館』で、今年から、働いてますッ」
「アテビ」と名乗った女性は、藤森が聞いてもないことをアラララ、あららら。
「あのっ、私の故郷の世界、黄色は幸福の色で、
その年の春、外で見つけた黄色い花に歌を聞かせると、良いことがあるって言われてて」
それで、この、星みたいな黄色い花に、歌を。
アテビは握った右手を左手で隠し、すりすり。さすって照れ隠し。心細いのだ。

「私の故郷の『世界』」なる言葉は引っかかる。
日本にルーツを持つ人ではないのだろう。
藤森は想像し、誠実に言葉を渡した。

「キバナノアマナです」
「きばな?」
「黄花の、甘菜。『春の妖精』のひとつです。
このあたりでは、とても貴重で珍しい花です」
「はるの、ようせい」
「きっと、良いことがありますよ」

「あっ、あの!私の世界にも!」
私の世界にも、「春の黄色」って言葉が。
アテビの瞳が友好に輝き、藤森をまっすぐに、
「あ、 ア……!!」
見つめたと思うと、すぐ「藤森の背後」に視線が釘付けとなって、アラララ、あららら。

「どうした」
藤森の背後から、静かな男性の声がした。
「気にするな。おまえの世界に、なんだって」

藤森が振り返った先に居たのは、3月から藤森の部屋の隣に越してきた「条志」と名乗る男。
藤森が振り返っている間に、アテビは一目散。
走って遠くへ逃げてしまった。

「『機構』の人間だ」
藤森が尋ねる前に、条志が解説を始めた。
「きこう?」
「ここの人間ではない。『ここ』を、発展途上の難民シェルターか何かと勘違いしている連中だ」
「はぁ」

「何かあれば、すぐ俺に言え」
アテビを追うように、条志も藤森から離れていく。
「相談には乗る。俺に、隠し事をするなよ」
ひとり残された藤森は、何が何だか分からない。
ただキバナノアマナと一緒に、風に吹かれて、
小さく、首を傾けておったとさ。

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