かたいなか

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「『流れ星に願いを』とかなら、去年書いたな」
願いが3個叶うランプ、願いの映像だけ見せるマッチ、それからあとは何だろう。
某所在住物書きは願いを1つ「叶えてくれる」方の媒体を探して、検索して、
結果、そっち方面で書くことを断念していた。
この2〜3年の間、どこかでそのネタを投稿したような気がしないでもないのだ。

「つっても、どうせ2〜3年だし、
コピペしてもバレないか……??」

物書きはふと考える。願いが1つ叶うなら、昔々の投稿をコピペしてズルして、執筆をサボって……
「サボって時間作っても、その時間で、やることが何も無いんだよな……」

――――――

願いが1つ叶うならば。
なかなか悩ましい仮定であり、同様に、そこそこ難しいお題な気がしないでもない物書きです。
「夏が涼しかった過去に戻りたい」と「5000兆円欲しい」の両端で迷い指をずっとしている物書きが、こんなおはなしをご用意しました。

「ここ」ではないどこかのおはなしです。
「世界線管理局」という、いわゆる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
世界から世界への渡航申請を受理したり、違法な密入出を取り締まったり、
あるいは、滅んだ世界からこぼれ落ちたチートアイテムが、他の世界に流れ着いて悪いことをする前に、回収して保管したり、活用したり。

要するに、その世界が「その世界」として、独自性を保ったまま他の世界と交流できるように、
色々多種多様、せっせこ頑張っておったのでした。

その世界線管理局の環境整備部、空間管理課に、
お題回収役の奥多摩出身者も勤務しておりまして。
まぁ仮に、奥多摩君と名付けておきましょう。

奥多摩くんは、過去投稿分3月3日のおはなしで、
環境整備部所有のチートアイテムが、「仕事に対してオーバースペック過ぎる」と突き止めまして。
一人で頑張って、適切なスペックにダウングレードする偉業を達成したのでした。

奥多摩くんの次の仕事は、ダウングレードしたアイテムの再総点検と、再評価。
管理局の財産にして、「滅んだ世界の遺言」とも「遺産」とも言えるチートアイテムが、
適切な場所、適切な仕事に使われているかを、
数年かけて点検して、それぞれ不具合が発生してないかどうか、評価する仕事を任されました。

『ひとりで良いので、一緒にチェックしてくれる熟練者さんを寄越してください』
奥多摩君にとっての「願いが1つ叶うならば」は、
一緒に環境整備部をまわってくれる先輩の存在。

奥多摩君に総点検を任せた上司さん、「ならば」とイチバンのベテランを用意しました。
「キリン」というビジネスネームで、環境整備部すべてのセキュリティーに責任を持ち、
なにより、確実に奥多摩君を、ありとあらゆるヒヤリハットな状況から守ってくれる局員だそうです。

『シェルターの山奥で毎朝滝行をしてい筈である』
キリンさんに挨拶したくて、どこに居るか訪ねた奥多摩君。 上司は「山奥に居る」と言いました。
『滝までの道は舗装され、手入れも為されているから、気軽に行ってくるが宜しいである』

今の時代に早朝から毎朝滝行???
奥多摩君は宇宙猫の表情。
それでもこれからの相棒ですので、翌日の早朝、
世界線管理局内に作られている「滅んだ世界の人々を収容するための超巨大難民シェルター」の中にある、山の中に入ってゆきまして、
チュンチュン、ちぃちぃ、ギャァン、ぽんぽこ!
いろんな鳴き声がする舗装済みの山道を、森林散歩同然に歩いてゆきました。 すると……、

「待ちかねたぞ、奥多摩君!」
なんということでしょう。大きな大きな滝の下で、
めっちゃ体格の良い細マッチョさんが、まぶしい純白に輝くふんどし一丁で、
本当に、滝行をしているではありませんか!!
「部長から話は聞いている。何も心配はいらない。
私が君を、点検中の危険から守ってしんぜよう!」
謎にイケボ、よく通る低音の声を張って、
ビジネスネーム「キリン」さん、言いました。

「ち、ちぇんじ、 チェンジ……」
イケボふんどしキリンさん。 パワーワードならぬパワー局員とエンカウントした奥多摩君です。
奥多摩君、さっきまでの「1つ願いが叶うならば」を取り消したくなってきましたが、
ここまで来たら、もう止まりません。

「さぁ、奥多摩君。きみも精神統一、心身鍛錬!
共に活力100倍、滝行をしようではないか!」
「俺、着替え持ってきてないので結構です!
失礼します!明日からよろしくお願いします!!」

「私のふんどしを貸してあげよう」
「結構ですぅぅぅぅぅぅ!!」

さぁさぁ、やぁやぁ、ぎゃーぎゃー。
難民シェルターの滝の下で、大きな大きな声が響いて、今回のおはなしはおしまい。
最終的に奥多摩君が、キリンさんと滝行したのかしてないのかは、今後のお題の配信次第……

3/11/2025, 4:17:11 AM