かたいなか

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1/13/2024, 6:37:58 AM

「『ずっと』シリーズ、たしかこれで5回目よな」
「ずっと隣で」、「これからも、ずっと」、「誰よりも、ずっと」、「これまでずっと」。
さすがに6回目は来ないだろうな。某所在住物書きはため息ひとつ吐き、フラグめいた呟きをポツリ。
だいぶ書き尽くした感のある「ずっと」の、今回掲載分にでき得るネタを探した。
商品棚のド定番な陳列順、クソな職場で継続勤務するリスク、長いことそこに住み続けている家族、職場の先輩の過去話……他に「ずっと」で書けるハナシは?

「ソシャゲの画面が『通信中』とか『Loading』とかから次に移らなくて、それこそ『ずっとこのまま?』と思ったことは何度かあったわな」
ただそれを物語にできるかというと、微妙である。

――――――

最近最近、都内某所某稲荷神社敷地内の一軒家に、人に化ける妙技を持つ化け狐の末裔が、一家で仲良く暮らしておりまして、
その内美しく賢い母狐は、神社近くで茶っ葉屋さんを開き、そこそこじゃんじゃかお金を稼、もとい、心魂すさみがちな現代人に寄り添い続けておりました。

今日は、お得意様だけが利用できる個室の飲食スペースに、数量限定の季節メニューが加わる日。
「新春の薬膳小籠包スープ」といいます。
フードロス削減活動の一環に、ご近所のスーパーや八百屋さんから、売れ残った春の七草パックをまとめて受け入れて、稲荷神社の薬草園で育った生姜だの牛蒡だのと混ぜ混ぜミックス。
稲荷のご利益と狐のおまじないをちょっと振って、おいしいスープでいただきます。

運が良ければ看板狐の、末っ子子狐が個室にお邪魔するので、コンコンのモフモフを眺めたりパシャパシャしたりしながらお食事が可能。
ちょっと、その光景を覗いてみましょう。

「おまえ、随分気に入られているな」
一番奥の個室では、藤森という雪国出身のお得意様と、藤森の職場の後輩が、ふたりして小籠包を楽しんでおりました。
「ちゅーるか何かでも、仕込んできたのか?」

後輩の膝の上には、薄手のひざ掛け毛布がのっかって、更にその毛布の上で、コンコン子狐がまんまる狐団子になったり、おなか出してヘソ天したり。
ずーっとそこから、動きません。
ずーっとこのまま、藤森の方へ行きません。
たまに後輩が藤森を気遣って、膝から子狐を降ろしますが、コンコン、すぐさま後輩の膝によじ登り、定位置で丸くなるのです。

「毛布に好きな匂いとか付いてるのかも」
コンコンにせよ、ワンワンにせよ、勿論ニャンニャンも、ともかくモフモフはことごとく好きな後輩です。
エキノコックスやら狂犬病やらを気にせず、思う存分子狐をモフり倒せるのは、願ったりかなったり。
「それとも、アレかな」
子狐のおなかを撫でつつ、米粉生地と小麦生地の小籠包を交互に楽しみながら、後輩が言いました。
「前回今月の8日頃ここに来たとき、私が子狐ちゃんにペット用七草粥頼んであげたの、覚えてるのかな」

「そういえば、そんなこともあった」
「私のとこに来れば美味しいもの頼んでもらえるって学習したとすれば、子狐ちゃん、おそろしい子……」
「どうだろうな?」
「きっとそうだよ。かわいーな、もう……」

ほらほら、今日は何食べたいの、お姉さんが頼んであげるから言ってごらん。
後輩はそれはそれは嬉しそうに、注文用のタッチパネルをトントン。ペット用メニューなど開きます。
藤森がジト目で後輩を見ていると、頭を上げた子狐と目が合いまして、そのキラキラお目々は、なんとなく、気のせい程度になんとなく、
何かを、藤森に伝えようとしてるように、見えなくもありませんでした……

1/12/2024, 2:04:41 AM

「身に、『しみる』って、『染みる』の他に『沁』の字もあるんだな」
「沁」は常用漢字じゃないから、「しみる」で平仮名表記にする場合もあるのか。
某所在住物書きはネットの検索結果を見ながら、コンビニで購入した肉まんを温め直していた。
昨日のバラエティー番組の影響である。寒さ身にしみる時期の美味に、酢醤油をプラスする価値観は無かった。きっと、酢の酸味が幸福に肉に染み渡るだろう。

「気温の他に、『懐の寒さ』とか『心』なんかも、『身にしみる』って言ったりするか」
チン。電子レンジが加熱終了を通知する。
ラップも加水もしていなかった生地は、物書きの「これを食いたい」から随分離れた形状と水分量。
「しみるわ……」
今から霧吹きとかして、復活、するかな。
物書きは大きな、非常に大きなため息を吐いた。

――――――

東京に、最低気温0℃の冬が来た。
極寒だ。日中はなんとなく、例年より少し暖かい気がするけど、朝夕が完全に真冬だ。
通勤時間帯に見る人はだいたい厚手のコートにマフラーで、モフモフ素材の帽子を被ってる人も多い。
素足見せてるギャルのひとりは、鳥肌たってるのを隠そうと、なんか頑張ってた。
薄手のオータムコートな人は多分某コニク□のヒートなんちゃらとか着込んでるんだと思う。
冬だ。
寒さが身にしみて、街路樹の葉っぱが全部落ちて、
そして、雪国出身の先輩がバチクソ元気になる冬だ。

なんで先輩気温3℃とかでもピンピンしてるんだろ。
薄着でも平気そうだし。ズルい。

「じゃあ、私の耐寒性をくれてやるから、お前の耐暑性と交換してくれ」
朝。出勤してきてすぐ。
相変わらず私より先に席について仕事捌いてる先輩に、「今日寒かった」って、「先輩平気そうでズルい」って言ったら、先輩、「お互い様」だって。
「私からすれば、お前の方がうらやましいんだ。寒さは着込めば対処可能だが、暑さはもう、溶けるだろ」

先輩は、気温3℃でも4℃でも、なんなら道路の水たまりが凍ったって、元気にしてる。
いっそ冬の方が仕事中のスペック高いまである。
かわりに暑さに弱いのだ。
早春3月4月は20℃以上で「暑い」って言うし、
27℃近辺超えると弱り始めて、30℃で溶ける。
まるで雪女とか雪だるまとかだ。去年も7月10日あたり、でろんでろんに溶けた。
忘れもしない。当時の先輩は、完全にSAN値チェック失敗してファンブル出した人のそれだった。

「私、今日寒さに負けないで仕事やりきったら、先輩に味しみしみのおでん奢ってもらうんだ。身にしみる寒さを、おでんのスープとうどんでやっつけるんだ」
「宇曽野から聞いた。重要な仕事の開始前に未来の約束をするの、『フラグ』と言うらしいな」
「フラグじゃないもん。大丈夫だもん」
「大変申し訳ございませんが、本日、ゴマスリ係長からの当てつけにより残業確定となっております。晩飯勧誘は明日以降でご検討ください」

「けち」
「文句なら係長か課長に言ってくれ。お前も3時間4時間仕事追加コースになって、一緒の時刻の退勤でお望み通りになるかもしれない」

牛すじ。卵。がんもどき。ウィンナー巻きと餅巾着。
ぷーぷーゴネて、おでんの具材を連呼してみたけど、
先輩は我関せず、淡々と係長から押し付けられた仕事を片付けてる。
「寒い日は、おでん、おいしいと思うけどな……」
私がポツリ呟くと、
「否定はしない」
タブレットをポンポン叩きながら、先輩が言った。
「鍋、ラーメン、シチュー。中華まんもか。
……明日であれば、私のアパートの近くの茶葉屋が、新メニューで薬膳小籠包スープを出すらしいが」

「しょーろんぽー、すーぷ」
「和風ポトフも出すらしい。安いのはポトフだ」
「ぽとふ」
「身にしみるな」
「しみる。ゼッタイしみいる……」

1/11/2024, 6:55:47 AM

「成人の日から数日遅れての出題とは、予想外だな」
とはいえ、今は18歳から成年なんだっけ?
某所在住物書きは迫る次のお題の配信時刻に苦しみながら、しかし何の物語のネタも思い浮かばないので、
ネット検索なり自室の本棚なり、せわしなく、捜索の作業を継続していた。20歳――はて何年前の話か。

「アレか?新成人に贈る言葉でも書きゃ良いのか?」
物書きの視線が、1冊の本に留まる。
「……ねぇな。何もねぇ」
強いて可能な助言は「酒と課金とクソ上司の世話は、それに病む前にスッパリ手を引け」程度である。

――――――

『I suppose
 every one has some little immortal spark
 concealed about him. 

 私はね、思うのだよ
 すべてのひとが、なにか小さな不滅のかがやきを
 彼等のその中に、秘め持っているのだと』

コナン・ドイル『The Sign of Four』第十章
上段シャーロック・ホームズのセリフ原文
下段かたいなか意訳(により、誤訳バチクソ注意)


1月11日の都内某所某アパート、夜。
部屋の主を藤森といい、職場の後輩と一緒に、生活費節約の手段として、シェアディナーをしている。
後輩の膝の上には、いわゆる「ヘソ天」でスピスピ寝息をたてる子狐。
アパートの近くの茶葉屋の看板狐なのだが、
藤森の言によると、実は餅売りで、今日も稲荷神社で鏡開きした餅を、それで作った様々な味のあられ菓子に仕立てて、持ってきたという。
事実かジョークかは藤森のみぞ知る。

「昨日、バチクソ久しぶりに、お母さんに会ったの」
後輩が藤森に対して、おもむろに話題を提示した。
ふたりが囲むのは、材料費と調理費が5:5想定で割り勘された、鶏手羽元メインの煮込み鍋。
粉末スープのトマトポタージュを流用して整えられたスープは手軽で、なにより原価が比較的優しい。
「何年ぶりだろう。最後に会ったの20歳の成人式だから、10年経つか経たないかかもしんない」
後輩は鍋の取り箸を手繰り、一緒に煮込まれている低糖質パスタをかき混ぜた。

鍋のシメは、オートミールとクリームチーズをブチ込んで、トマトリゾット風の予定。
鶏と野菜とチーズの旨味を吸ったクラッシュタイプは、さぞ美味であろう。
そのリゾット風とともに、後輩は自分用のビールと藤森が用意したあられ菓子で、幸福に優勝するのだ。

「お母さん、酷い更年期持ちでさ。私が家出る数年前まで、ずっとイライラして、八つ当たりみたいに毎日叱って。それが理由で私、すぐ家出たんだけどさ」
「それで?」
「今はだいぶ落ち着いて、イライラしなくなったみたいなの。で、昨日バッタリ会って、晩ごはん一緒に牛丼屋さんで食べて」
「うん」

「お母さんのスマホが『いきなり、数秒で真っ暗になるようになった』って言うから、画面消灯の設定直して画面の明るさも変えてあげたら、」
「ふむ」
「お金貰ったの。2万円」
「……ふむ?」

ことことこと。
防音防振対策完備の、外音さして届かぬ室内に、弱火設定でゆるやかに煮込まれる手羽元の音が溶ける。
「親心、子心とは、ちょっと違うんだろうけどさ」
後輩が子狐を優しく撫でながら言った。
「こういう風に、金額とか現物とか『目に見えるお駄賃』が無いと分かんないくらい、私とお母さんってバチクソ遠く離れちゃったんだなって」
なんか、うん。 後輩は付け足して、ポツリ呟くと、小さく唇を尖らせた。

「捻くれた別解釈をしてやろうか」
「別解釈?なーに?」
「ずっと、お前の母親は、お前を酷く邪険に扱っていたんだろう。にも関わらず、お前は晩飯を一緒に食って、スマホの設定まで戻してくれた」
「まぁね」
「その優しさに対する感謝と、今までの謝罪としての、2万だったんじゃないか」

「ない。ゼッッッタイない」
「分からないぞ?『人は誰もが心に不滅の火花を秘めている』という言葉もある。意外と、親としての責任だの倫理観だの、愛情だのの火が、歳をとってようやく心に灯り始めたとか」

どうせ、別解釈の話だ。母親の中の可能性だよ。
冗談的に笑う藤森は淡々と鍋をよそって、小さくナイナイナイと首振る後輩にスープカップを手渡した。

1/10/2024, 5:52:37 AM

「おじいちゃん、主に第3世代とか第4世代とか第7世代、旧版が人から結晶とか鏡とか取り出す系、店の名前にホテルの名前。他は?」
どれに反応するかで、だいたいの年代層は、別に分かりゃしないだろうけど、三日月も色々あるわな。
某所在住物書きは今日も今日とて物語のネタに苦戦しながら、スルメイカを炙った。
くるり高温で縮まり丸くなる様子は、三日月に見えなくもない、かもしれない。賞味後は部屋の臭い消しが必要であろう。

「……そういや三日月って『どこ』までが三日月?」
ふと、スルメを炙る手が止まる。
今夜はギリギリ三日月であろう。明日がたしか、新月だから。 では半月近くまで膨れた月は?

――――――

2024年になって、早くも10日。1月が約3分の1くらい過ぎた。
2023年度に関しては残り2ヶ月とちょっと。年度のノルマが終わってない面々は、ベテラン勢に泣きついたり、いわゆる「自爆」したりで、それぞれヒーヒーしてる最中。
『トップが前のやつから今の緒天戸に変わって、少しは楽になった方らしい』って、私より数年長くこの職場に居る先輩は言う。
『嘘か本当か知らないが、昔は今以上に酷い派閥争いがあって、ノルマやら出世やらのために互いが互いを蹴落としてたこともあった』って。
……今とあんまり変わんない気がする。

「病んだやつ、消えたやつ、『辞めた』やつも、今の倍以上だったらしい」
午前の仕事が終わって、昼休憩。
いつもの休憩室、いつものテーブルで、誰が電源入れたとも知らないテレビの情報番組をBGMに、今日もいつもどおり、先輩とふたりで昼ごはん。
「とはいえ、まぁ、所詮人から聞いた話だ。尾びれ尻びれくらいは付いているだろう。いつの世も『販売目標』の悪評は後を絶たないな」
今日の先輩は、青コンビニの低糖質ブランド、2個入りで糖質たったの約14g、クイニーアマン。新発売の最近見かけて、今朝たまたま買えたらしい。

かく言う私はクロワッサン。気になってたパン屋さんの、早朝販売分の奇跡的なラスト1個だ。
「随分、ユニークな形だな?」
「実験商品だってさ。『三日月型クロワッサンの新しいカタチの模索』って。」

「Croissant」の名前どおり、くるっと巻いたカンジの三日月パン。
ぽっかり真ん丸に空いたスペースを、半熟卵の目玉焼きが埋めて、白身がベーコンとかデミグラスソースとかを巻き込んでる。
アレだ。月見バーガーみたいな具のチョイスだ。
「どちらが『月』か分からないな」
先輩が言って、
「月見な卵と三日月クロワッサン?」
私が返す。
「そりゃ、クロワッサンだよ。三日月だもん」

で、この「三日月」、どうやって食べよう。
紙包装の上に置いたクロワッサンを、手で持とうにも半熟目玉焼きを潰しそうで怖い。
さわさわ手を動かして、触って、仕方ないからちょっとクロワッサンの方をちぎってみたりしてたら、
「……使うか?」
先輩が、どこからともなく、未使用の個包装なコンビニお箸を取り出して、私に差し出した。

「先輩四次元ポッケ持ち?」
「たまたま持っていただけだ。箸より、フォークの方が良いか?」
「たまたま持ってるフォーク、とは。」
「金属の方じゃない。コンビニのプラのやつだ」
「それ聞いてるワケじゃない……」

1/8/2024, 4:22:49 PM

「『好きな色』と『無色の世界』は、それぞれ6月頃と4月頃にお題として出てたのな」
で、今回が「色とりどり」か。
某所在住物書きはアプリの通知文を見ながら、今日も今日とて途方に暮れていた。
別段眠くないので就寝をあきらめ、自然な睡魔が来るまでの間に、今回投稿分を仕上げてしまおうとしたところ、目が冴えに冴えてこの時間帯である。
夜どうしよう。朝どうなるだろう。

「ネット検索した限りじゃ、色とりどりの意味、『それぞれ異なること』だの『種類が色々あること』だので、別に色彩関係なく使えそうに見えるけど……」
ネット検索した物書きは小さくため息を吐いた。
「まぁ、一般的には、色の多彩性を言うよな」

――――――

最近最近のおはなしです。現実と非現実がごちゃ混ぜな、人間と不思議な子狐が語らうおはなしです。
最近最近の都内某所に、木々多く花々咲き乱れる稲荷神社がありまして、人間に化ける妙技を持つ化け狐の末裔が、家族で仲良く暮らしておりました。
そのうち末っ子の子狐は、不思議な不思議なお餅を作って売って、人間の世を学ぶ修行の真っ最中。
去年の春、3月頃、ようやく人間のお得意様が、ひとりだけ付きました。
名前を、藤森といいます。雪国出身のぼっちです。

今日はそのお得意様、何か思うところがあったらしく、コンコン子狐の稲荷神社にやって来まして、
完全無人な神社の庭の、石造りな階段に腰掛けて、
葉を落としたモミジだの、なぜか花粉をちっとも出さぬ御神木のヒノキだの、
それからちょっと花を咲かせている小ちゃな植物なんかも、ぼっちで、じーっと、見ておったのでした。

「おとくいさんだ!」
コンコン子狐、お金を落としてくれる気配を察知して、藤森のところへひとっ跳び!
「おとくいさん、おとくいさん。何見てるの」
尻尾をぶんぶん、高速設定のメトロノームのように振り回して、膝の上に陣取りました。
狐が喋るなんて、非現実的ですが気にしません。
童話だの物語の中だのの狐は、エキノコックスも狂犬病も全部対策済みで、誰も彼も言葉が分かるのです。
だいたい、そういうものなのです。

「なんとなく気分転換がしたくなって、な」
物言う狐を何とも思わず――まぁ子狐の餅売りのお得意様なので、そもそも見慣れているワケですが――雪国出身の藤森、言いました。
「ここの自然を少し、見に来ただけだ」
それだけだよ。
藤森はそう結んで、子狐の求めるままに、腹だの背中だの頭だのを撫でくり回してやると、
また、神社の自然に視線を戻しました。

「東京の冬は、色が多いな」
「なんで?」
「雪が降らない。正確には、あまり積もらない」
「なんで?」
「空の高いところにある寒い空気の、一番冷たいところが、ここまで届かない。だから東京の冬は、私の故郷より雪が無くて、暖かくて、草花の色が残る」

「おとくいさんのコキョー、雪いっぱい積もるの?」
「いっぱい積もる。積もって、ほぼ白一色になる。道も、山も、田んぼも湖も、時には空も。……その白がなんとなく恋しいから、2月の最後か3月の最初頃、4〜5年ぶりに帰省するつもりだ」

「テレビの優しそうなおばちゃん、白はいっぱい色があるって言ってた。だからおとくいさんのコキョーも、色、いっぱい」
「いや待て多分白を何種類集めても一般的に『色が多い』とは言いづらいと思う」
「なんで?」

ナンデナンデ? えーとつまりそれはだな。
気分転換のつもりで稲荷神社に来た藤森、コンコン子狐の本日のトレンド、質問攻めに遭いまして、気分転換どころじゃありません。
その後「色とりどり」のお題に従い、色とりどりの稲荷神社の庭を問答しつつ散歩しつつ、
『白に染まる藤森のコキョーは色とりどりか』のナンデは、結局、解決しませんでしたとさ。
おしまい、おしまい。

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