かたいなか

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8/7/2023, 2:36:36 PM

「昨日といい一昨日といい、随分、強敵難題なお題ばっかり続くな……」
「最初から」って。何のネタをいつから、どういう風に決まってたことにするよ。一難去ってまた一難の某所在住物書きは、ガリガリ頭をかき、ひとつため息を吐いた。
「『あらかじめ全部決まってた』、『最後の尻尾から頭に向けてではなく、最初の頭から尻尾に向けて決定していった』、『最初から、それが簡単に予測可能で、決まっているも同然だった』。あとは……?」
明日もきっと、エクストリームハードなお題が来るんだろうな。物書きは今日も悩み、書き、途中でそれを白紙に戻す。

――――――

「今年も私の部屋に来るのか」
「食費と水道光熱費は払ってる。構わんだろう」
「何故お前も一緒に行かない?家族だろう、愛していないのか?」

「藤森。夫婦円満の秘訣は、3個ある」
「?」
「妥協する。自分の悪い部分と、相手の嫌がったり苛立ったりすることを知っておく。それから、たまに離れることだ」

都内某所、某アパート。人間嫌いと寂しがり屋を併発した捻くれ者の部屋。
唯一の親友たる既婚が暇を潰しに来ており、夕食後の茶を飲んでは、冷やしたタケノコ型のチョコを楽しんでいる。名前を宇曽野という。
宇曽野の嫁と娘は、3、4年ぶりの遠い遠い遠出。5泊6日旅行。娘は猛暑酷暑届かぬ地に夏休みの宿題を持ち込み、イッキカセイに終わらせて、残った1日2日を観光と娯楽と買い物と食事、すなわち魂のデトックスに使うという。
家族唯一の異性、父親たる宇曽野は、夏のデトックスには同行しない。それはほぼ毎年のことであった。

「何故離れる必要がある?」
「お前、お前の部署のあの後輩と、毎年毎月毎週、毎秒一緒に居るの想像してみろ」
「宇曽野。毎日から毎分までが抜けている」
「そこに突っ込むのか。後輩じゃなくて」

ぽりぽりぽり。
宇曽野の行動と家族への配慮がよく分からない部屋の主。藤森という。首を傾けて推理推測しては、キノコのチョコをつまみ、ぱくり。
「……で、」
最終的に、「夫婦円満」は己の理解の外にあるのだろうと結論づけて、話題を強引にズラした。
「今日のお説教は?どうせ、それも兼ねて私の部屋に来たんだろう」

「『説教』とは人聞きの悪い。『提案』だ」
親友からの、いちアドバイスに過ぎないが。付け足す宇曽野はタケノコをひとつ、ふたつ。
「お前が7月18日か19日あたりに例の失恋相手とバッタリ会ってから、そろそろ1ヶ月だろう」
ポイポイ口に放り、ポリポリ砕いて茶を含む。
「お前を旧呟きアプリでディスって、お前の心を壊したのに、傷つけられた当の本人は仕返しもせず、ただ縁切って遠くに離れた。
そこからの、先月18日19日だ。また逃げるのか。そろそろ仕返しに転じても、良いんじゃないか」
タケノコをとり尽くした宇曽野は、次の標的をキノコへと柔軟に移し、

「所詮、最初から決まっていたようなものだ」
伸ばした手を、パシリ。藤森に掴まれた。
「私のキノコを食うな」

「『最初から』?『決まってた?』」
「都内の範囲で恋をして、都内の範囲に逃げたんだ。向こうが私を探し続けていたのなら、いずれ足が付くのは当然だろう」

「よもや自分から縁切るきっかけ作った相手が、お前の失踪後にお前を探し続けるとはなぁ」
「だから。私のキノコを食うな。お前自分のタケノコ廃村廃里にしただろう」
「お前のキノコも禿山にしてやる」
「や、め、ろ」

8/7/2023, 4:42:21 AM

「タロットに『太陽』があるから、変わり種のネタ盛りだくさんだと思ったんよ」
台風情報と「いわゆる7号」の予想進路をスマホで確認しながら、某所在住物書きは弁明した。
「『子供』、『対立の融合』、『幸福』、『不調』、『忍耐力の欠如』。あと『気が置けない相手』。色々書ける、と、思ってたんだけどなぁ……」
なんでこんなに物語が閃かないんだか。加齢と己の程度である。物書きはため息を吐き、発想の不調を「太陽」逆位置のせいだとカードに押し付けた。

――――――

多くの都道府県で30℃以上が続く今日このごろ、いかがお過ごしでしょうか。
暑い太陽が憎らしくなってくる夏の盛りに、こんなおはなしをご用意しました。
最近最近の都内某所。不思議なお餅を売り歩く、不思議な子狐がおりまして、
この子狐は週に1〜2回、某アパートに住むたったひとりのお得意様を、コンコン尋ねてくるのでした。

非現実的?気にしません。
防犯意識の強化が叫ばれる昨今?気にしません。
「この捻くれ者の部屋に、太陽の直射日光が苦手な植物の鉢植えがありまして」とか、
「タロットの『太陽』、実は場合によってこういう解釈もありまして」とか、
そんな物語をお送りするよりは幾分かマシです。
しゃーない。

さて。今日もコンコン子狐は、お餅を売りにアパートへ、しっかり人間に化けてお邪魔します。
右手にはお餅を入れた葛のカゴ、左手には赤いホオズキの明かり。それから透明な、ガラスか水晶か金剛石のような飾り玉。
サンキャッチャーといいます。室内に飾って、太陽の光を受けて、キラキラ小さな小さな虹をばら撒く「宝物」です。
キラキラが大好きな子狐は、この美しい宝物を、晴れた猫又の雑貨屋さんで手に入れました。

が、コンコン子狐、サンキャッチャーの「サンキャッチャー」たる仕組みがサッパリ分からない。
土曜日あたりまで朝はキラキラしてたのに、日曜の曇り空からパッタリ。光らなくなってしまいました。
電池が切れてしまったのかしら。
それとも風邪を引いてしまったのかしら。
色々物知りなお得意様に、コンコン子狐、サンキャッチャーを診察してもらうことにしたのでした。

「当分、東京は曇と雨だ」
理由を聞いたお得意様。サンキャッチャーをつまんで、一番大きいキラキラに、手のひらに収めた小さな四角で、光を当て始めました。
ハンディワークライトといいます。500ルーメンのUSB充電式で、なかなか明るいサムシングです。
「サンキャッチャーは、明かりが無いと光らない。くもりや雨の日も、キラキラ、させたいなら……
……光らないな。他のライトにしてみるか」

サムシングを、遠ざけたり、近づけたり。十数秒で諦めたお得意様は、光源を200ルーメンのスティックタイプに変更。
スイッチを入れてキラキラに近づけると、
あら不思議!サンキャッチャーが部屋のあちこちに、小さな虹と光を散らし始めたのです!

「治った、治った!」
コンコン子狐は大喜び。電池切れも、風邪も治ったサンキャッチャーの散らす光を、コンコン跳ねて、追いかけます。
子狐は宝物を救ってくれたお礼に、お得意様に不思議なお餅をひとつ、差し出しました。

「光を当てただけだ。他には何もしていない」
お得意様が、スティックタイプのライトを子狐に渡して言いました。
「USBの、マイクロB規格だ。たまに充電すれば数年は使える」
スマホの充電ケーブルと間違うなよ。付け足すお得意様ですが、コンコン子狐、お顔をコックリ。

「まいくろびー?」
どうやらこの子狐、ケーブルをビー玉と勘違いしているようです。

「太陽」のお題に苦し紛れな、サンキャッチャーのおはなしでした。
おしまい、おしまい。

8/5/2023, 12:11:27 PM

「鐘……かね……?!」
某所在住は鐘をネット検索しながら、どこかに書きやすい抜け道など無いか思考を巡らせた。
「『鐘(しょう)』なら寺にあるみたいな釣り鐘、
『当たり鐘』であれば福引等のガランガラン、
ハンドベル、振り鈴も構造としては『鐘(ベル)』。
ドア開いた時のチリンチリンは『ドアベル』か」
今日も手強い。難しい。なおも鐘を漁る物書きの目に、ウィキの文章、その一部が留まった。
「『風鈴とは、日本の夏に家の軒下などに吊り下げて用いられる小型の鐘鈴』、『鐘』鈴……!」

――――――

明日明後日あたりから、東京は翌週水曜日あたりまで雨の予報。当分出歩けないだろうから、今日のうちに買い出しすべき所に買い出しに出て、補充すべきものを補充して、ちょっと髪整えてもらって、
ある程度気温の下がった夜10時に、ぶらり何か新しい小物を買いに外へ出た。
日中に比べれば6℃くらい下がったけど、それでも完全熱帯夜。東京の夏は本当に暑い。
オーロラガラスのコップとか、新しい携帯ファンとか、涼しい系のサムシングを新調すれば、ちょっとQOLが上がる気がした。

100均、アンティーク、雑貨屋さん。色々見て、最後に行き着いたのが、ガラス製品の専門ショップ。
チリンチリン、チリンチリン。
来店した時の、強化ガラスかもっと別の素材か知らないけど、ともかく風鈴みたいなドアベルが、すごくキレイで、かわいかった。
「そうだ、風鈴!」

ガラスの風鈴買ったら、カワイイし、涼しいかな。閃いた私は早速風鈴のコーナーへ。
私好みの金魚と花火が描かれた水色のやつは売り切れちゃってたけど、
かわりに、職場の先輩が好きそうな、白と青と紫の花が描かれたやつは残ってた。

先輩は、つい数日前熱中症で倒れちゃって、当分仕事はリモートワーク。
室内の、エアコンから離れたあたりに風鈴をつければ、少しは気分上げて仕事できるかもしれない。
嬉しい気持ちを一生懸命隠した先輩が、
「わざわざ私などに金を使う必要も無いだろうに」
とか言いながら、大事に大事に扱ってくれるのを、解像度4K8Kレベルで想像しつつ、花の風鈴を会計に持ってったら、

レジで会計するその先輩本人を見つけて(あっ……)
先輩も何か風鈴を買ってて(そうだよね自分の物くらい自分で買うよね。別に私が贈らなくても)
会計終わってからその風鈴をプレゼント包装までしてもらってて(ん?)
品物の入った小箱を大事に大事に抱えて振り返ると、私を、私の持ってる風鈴を見つけて、途端どちゃくそ何かに失敗したような顔をした(んん??)

先輩何がどうしたの(どしたの)

「先輩?」
「なんだ、好きな風鈴見つけたのか。良かったな」
「どしたの?」
「別に、どうも、なにも、ただ綺麗な、風鈴を見つけたから。自分用に」
「自分用にわざわざプレゼント包装しないでしょ」
「あ、ぅ……」

「あのね」
レジ前で話し込んでてもアレだ。私は自分の持ってきた風鈴を、会計してもらって、せっかくだからプレゼント包装もお願いして。
「コレ、先輩好きそうだな、って思って」
一緒にお店を出た後で、私が買った風鈴の小箱を先輩に渡したら、先輩はバチクソに驚いた顔をして。
それから、同じくらいバチクソに、安心したような長いため息を吐いた。

「なんだ。私は、てっきり」
先輩は小さく言い訳して、ちょっと恥ずかしそうに、もしくは照れてるみたいに咳払いして、
「つまり、お前がお前の気に入ったものを、自分で見つけて購入してしまうのかと」
先輩が買った風鈴の小箱を、私に差し出した。

包装取っ払って小箱を開けて、出てきたのは、金魚と花火が描かれた水色の風鈴。
チリンチリン、チリンチリン。
ガラス製ならではの透き通った涼しさが、日本ならではの鐘鈴の音が、多分先輩の照れっ照れな顔の熱を、冷ましてくれた、かもしれなかった。

8/4/2023, 1:40:07 PM

「『退屈な事』、『流れ続けて詰まる事の無い琴』、『渋滞しない、交通がスムーズな古都』……」
いや、多分今の時期、絶対古都とか観光で渋滞して、詰まってるんだろうな。某所在住物書きは「つまらないこと」の漢字変換パターンを考えながら、カリカリ首筋を掻いていた。
「個人的に、ひらがな系のお題は、どう漢字変換できるかは複数考えるようにしてるのよ。してるけどさ」
「琴」も「古都」も、俺には、ハナシ書くの難しいわな。物書きはため息を吐いて、物語を組み始めた。
普通に、捻くれず正直に、「つまらないこと」を書く方が無難そうである。

――――――

7月31日から今月4日まで、連作の形となった投稿の、これがいわゆる区切りのおはなし。
最近最近の都内某所、某稲荷神社敷地内の一軒家に、人に化ける妙技を持つ化け狐の末裔が家族で暮らしておりまして、その内末っ子の子狐は、花とお星様と、キラキラしたものがとっても大好き。
駄菓子屋さんで買ったビー玉に、母狐から買ってもらったホオズキの髪飾り、誰かが捨てた星のチャームにプラバン細工、それから自分でお餅を売った代金として、たったひとりのお得意様から貰うキラキラ500円コインやら100円コインやら。
子狐はそれらキレイな物を宝箱に大事にしまって、たまにその箱を開けては、幸福に、満足そうにフサフサ尻尾で囲い込んで、一緒にお昼寝をするのでした。

見る人には、それこそ今日のお題そのもの。
ホオズキの髪飾りは別として、さして価値も無いビー玉だのチャームだのを集めて宝箱に収めるのは、つまらないことかもしれません。
それでもコンコン子狐、ありったけのキレイを詰め込んだ自慢の宝箱を開け、それを眺めるだけで、嫌なことも、悲しいことも、大抵全部吹き飛ぶのです。

さて。今週のある日、いつもの30℃を軽く超越した最高気温な予報の朝。
母狐の茶葉屋さんの常連さんにして、いつも子狐からお餅を買ってくれる人間が、コンコン子狐のたったひとりのお得意様が、稲荷神社の近くで倒れて、敷地内の一軒家に緊急搬送されてきました。
熱失神。Ⅰ度の比較的軽い熱中症。
母狐の対処が早かったおかげで、大事には至らず、その日のうちにお得意様は帰ってゆきましたが、「個人的な悩み事」がどうとかこうとか。
表情すぐれず、心が苦しそうな目をしておりました。

(宝物を分けてあげれば、元気になるかも!)
子狐は素晴らしいことを思いつきました。
キレイなものがぎっしり詰まり、見ればたちまち心の悪いのも悲しいのも大抵吹き飛ばしてくれる宝箱。
つらそうな顔のお得意様に、財宝をひとつ分けてあげれば、きっと元気になるに違いありません。
が、
宝箱の中のキラキラを、大好きな誰かに贈って幸福を共有したい仲間意識と、
誰かにキラキラを贈ってしまうと自分のキラキラが減ってしまう独占欲が、
会敵して、くんずほぐれつして、ドッタンバッタン。
子狐はいっちょまえに、頭をかきかき、おでこをクシクシ、しまいには部屋の中をくるくるくる。
大葛藤を始めてしまいました。

「ぎゃっ! ぎゃっ!」
自分の心を、そこそこ複雑な葛藤を、どういう言葉にすれば良いかサッパリ分からぬコンコン子狐。
ただ心のままに、大きな声で、吠える吠える。
「ぎゃん! ぎゃん! ぎゃん!!」
宝物を誰かに贈るのは、とっても素敵なことです。
けれど、誰かに宝物を渡してしまうと、自分の持っている宝物が減ってしまいます。
どうしよう、どうしよう。

「あらあらあら。どうしたの」
くるくるくる、くるくるくる。
いっちょまえに苦悩するコンコン子狐。母狐が声に気付くまで、自分の部屋の中をずっと、ずっと走り回り続けておりましたとさ。
おしまい、おしまい。

8/3/2023, 4:11:48 PM

「『目』のネタなら、2回心当たりがあるわ。4月6日の『君の目を見つめると』と、7月10日の『目が覚めると』」
今回のお題と似てるって言えば、後者の方だろうな。某所在住物書きは呟きックスアプリで投稿された、某スリープアプリ使用の感想を見ていた。
目が覚めるまでに飼い猫が近寄ってきて、喉を鳴らし、それが音声記録として録音されたユーザーがいたらしい。
「『目が覚めると』のハナシは、たしかアレだ。『正気から』『目が覚めると』ってネタで書いたわな」
俺もスリープ入れて寝たら、ウチのペット寄ってきてなんかハートウォーミングのサムシング発生しねぇかな。物書きはひらめき、該当アプリをインストールしようとして、しかし己のいびきしか録音されていない場合を考慮して結局止めた。

――――――

職場の長い付き合いの先輩が、通勤中熱中症で倒れて、近くの稲荷神社にご厄介になった。

「先輩、目が覚めるまでに、めっちゃここの神社の子狐にバチペロされてたよ」
「『バチペロ』?」

第一発見者らしい神社の関係者さんが、丁度先輩行きつけの茶っ葉屋さんの、店主もしてる人。
「長く、良いお付き合いをさせてもらってるから」ってご厚意で、神社敷地内の一軒家の中で、体冷やしたり、涼しい部屋に寝かせてもらったりしたおかげか、
私がその関係者さん兼店主さんからメッセ貰って、稲荷神社に駆けつけた頃には、先輩は落ち着いた穏やかな寝息で、すぅすぅ眠ってた。

「バチクソペロペロ。首筋」
「……記憶に無いな?」
「そりゃ先輩、気絶したように寝てたもん」

睡眠不足が原因のひとつかもしれませんね。
そんなこと言ってた店主さんは、ミネラル補給用と水分補給用に、ほうじ茶使った梅干しのお茶漬けと、ちょっと甘めのモロッカンミントティーを、ひとくちサイズの小鉢数個と一緒に差し入れてくれた。
ゆっくり食べて、ゆっくり休んでいってくださいね、だってさ。
小鉢美味しいです(率直)

「睡眠不足は、自分でも、ごもっともだと思う」
れんげスプーンでちびちびお茶漬けを食べながら、ちょっと元気になったらしい先輩が言った。
「個人的な問題と、悩み事で、夜眠れないのが数日続いていた。体調管理がなってないな」
塩っ気のある、サッパリした梅干しは、濃過ぎない程度のほうじ茶と良い相性で、食欲無くてもちょっとは食べれそうなカンジがする。
「とんだ迷惑をかけた。ここの方々にも、お前にも。睡眠不足が解消するまでは、また倒れたりしないよう、当分出社ではなくリモートワークにしておく」
すまない。ぽつり謝罪を付け足した先輩は、またちびちびお茶漬けを口に運んで、小鉢のたくあんをポリポリしてた。

「悩み事が、睡眠不足の原因かもなんでしょ?まずそっちをどうにかした方が良くない?」
私もたくあんポリポリして、お茶漬けのお茶と一緒に優勝してから、ちょっと偉ぶっちゃったけど、
「たとえばその、先輩の悩み事を、先輩ひとりで抱え込まないで誰かと共有するとか、いっそ悩み事そのものをぶっ潰しに行くとかさ?」
私の提言を聞いてるときの先輩の顔が、
それもそうだよな
だったのか、
それができれば苦労はしない
だったのか、
私には、ちょっと分からなかった。

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