ぱたぱたと打ち付ける雨、
ポップコーンが弾ける様。
縫い付けられたみたいな瞼を剥がして
彩度の落ちた部屋を見ゆる。
じとじとぺたぺた
濁った音の二重奏。
世界にはひとりとふたつ。
耳をすまして、ぼんやりと。
/ 目が覚めると
水音の心地良さに微睡むなかで瞼を持ち上げた。何者も纏わない足が床に接地し音を立てる。こそばゆい、しかしそれで季節を感じた。誰かの生きた音が、耳の奥にこだまする。
繋がる線はどこへゆくか。
あかあおきいろ、どんな色?
人との縁に色素は無く、
同じ色味は否定され。
あなたとつながるこれは、きっと赤色。
見えないものでもいい。
信じたいものだけ見つめた私。
フィクションで彩られた世界に焦がれ、
今日もひとり唾を飲む。
/ 赤い糸
魔法にかければ「古い」も「昔ながら」に化けるもの。言い換えの強要。自由と言いながらも牢獄に囚われる人々。赤と青が混じれば美しい紫に。赤と赤でより情熱を、青と青でより決意を増す。しかしそれもまた、古めかしい考えなのかもしれない。
いやに残る蝉の叫びは昨年のもの。
ぺたりぺたりと足裏がくっつく。
気持ちが悪い、けれど夏日和。
脱いでも脱いでもあつくて、
とうとうできることすらなくなって。
体温の上をゆく空間に辟易する。
ああ、冬が恋しい。
/ 夏
いつだって対極に憧れを抱く。嫉妬、羨望、自らに無いものを首を長くして待っている。過去の自分に対しても例外でなく、あの時ああすれば、お前がこうしていればと己を貶め溺れされる。今の貴方も素敵だと、胸を張って言えるだろうか。
流れゆく景色、
小さな二つの箱は決められた道を進む。
ぎゅうぎゅうと押し込められたその中から
車窓の向こうをぼうっと見つめた。
右から左、色が流れて。
小さな太陽が通り過ぎた。
冬にはわたあめ。はらはら溶けゆく。
強かで、そして、たおやかな花。
/ 繊細な花
あか、みどり、きいろ。ふたつずつ、それは錆びた路の上を走る。揺れ響く音は隣の声を掻き消した。最寄りはきいろ。雨の匂い。しとしとと振る雨はやがて叩きつけられて染み込む。みずいろの傘、あめあめふれふれどしゃぶりに。
貴方は藍でも朱でもない。
切り開いた臓物は赤黒いし、骨は真白。
人は元々に美しい色合いを持たない。
自ら纏い、名乗ることで初めて色を持つ。
貴方の本当の色はなに?
存在しない色彩に、私は囚われて。
ずっとずっと膚を染めるときを心待ちに。
/ 好きな色
「私色に染める」「貴方色に染めて」なんてこれほど陳腐な言葉はないだろう。貴方には貴方の色がある。長い年月をかけてじわりと染み込んだその色はそのものが美しい。他者の色彩の上書きは淀んだ色を産む。私の世界は、私で決める。