8/23/2024, 12:10:50 PM
海は離別の象徴、波はひいてゆく。
あついあつい砂浜、砂の城、打ち上げられた海月。
愛し合う者が永遠足りうる場所。
手からこぼれ落ちて、水を掴む。
けれど全ては海の中。
生まれも消えるも此処にある。
ざざあ、ざざあと心が鳴る。
ひいてはかえす、波の音。
/海へ
7/10/2024, 3:15:16 PM
ぱたぱたと打ち付ける雨、
ポップコーンが弾ける様。
縫い付けられたみたいな瞼を剥がして
彩度の落ちた部屋を見ゆる。
じとじとぺたぺた
濁った音の二重奏。
世界にはひとりとふたつ。
耳をすまして、ぼんやりと。
/ 目が覚めると
6/30/2024, 3:07:31 PM
繋がる線はどこへゆくか。
あかあおきいろ、どんな色?
人との縁に色素は無く、
同じ色の存在は否定される。
あなたとつながるこれは、きっと赤色。
見えないものでもいい。
信じたいものだけ見つめた私。
フィクションで彩られた世界に焦がれ、
今日もひとり唾を飲む。
/ 赤い糸
6/28/2024, 11:02:44 AM
いやに残る蝉の叫びは昨年のもの。
ぺたりぺたりと足裏がくっつく。
気持ちが悪い、けれど夏日和。
脱いでも脱いでもあつくて、
とうとうできることすらなくなって。
体温の上をゆく空間に辟易する。
ああ、冬が恋しい。
/ 夏
6/25/2024, 5:20:19 PM
流れゆく景色、
小さな二つの箱は決められた道を進む。
ぎゅうぎゅうと押し込められたその中から
車窓の向こうをぼうっと見つめた。
右から左、色が流れて。
小さな太陽が通り過ぎた。
冬にはわたあめ。はらはら溶けゆく。
強かで、そして、たおやかな花。
/ 繊細な花
あか、みどり、きいろ。ふたつずつ、みっつの箱は錆びた路の上を走る。揺れ響く音は隣の声を掻き消した。最寄りはきいろ。雨の匂い。しとしとと振る雨はやがて叩きつけられて染み込む。みずいろの傘、あめあめふれふれどしゃぶりに。