信号機

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6/2/2024, 10:51:42 AM

「本当に本当のことを教えて」

友人は俺にそう迫る
俺の幼馴染が好きな友人は
昨日、幼馴染が自分のことをどう思ってるか
と聞いてきてくれと言うから
今日聞いてみれば
「ああ、まあ」
と一言。
かけがえのない友人にどう言うべきか。
家に帰ってから考えようと思っていれば
靴箱で会ってしまった。
俺を見つけた目を輝かせて来るものだから
逃げようと思った先、俺より早いその足で
隣に立って
「うぇーい」
なんて言ってきやがった。
「ところでさ」
この時点で話題は察せた。
「どうだった?」
俺ははぐらかす
「何が?」
「あの件だよ、あの件」
「何が?」
「だーっ、めんどくせぇな
俺の好きなやつ!」
「卵のことか?」
「確かに好きだけど!
お前の幼馴染だよ!俺好きで、
どう思うか聞いてこい言っただろ?」
仕方ない…
「ああ、聞いてないんだ、すまんな」
しかし
「え?聞いてたろ、お前あいつと話してたじゃねぇか。」
「忘れてて、別のことについて話してたんだ」
「本当か?」
「本当だって」
突然、あいつは俺の目を睨んだ
「お前、嘘ついてんな」
「え?」
「お前の目は昔っから嘘をつくと
少しばかり右に寄るんだよ」
「はぁ…?お、俺にそんなのあったのか?」
「いやねぇよ」
「は?」
「これは嘘だけど、お前が嘘をついていることもここでわかった。
なぁ、どうだったんだよ。」
今に至る
「なぁ、
本当に本当のことをおしえてくれ」

4/9/2024, 2:10:49 PM

誰よりもずっと生きてきた。

とある少年がいた。
少年はある時、自分が無限の命を持っていることを知った。歳も老いる。体だって弱る。だが、死ぬことは無いらしいのだ。
少年は周りにこのことを伝えようとしたが、周りは「厨二病」だと笑った。
家族も友達も、誰一人信じるものはいなかった。
少年は独り、自分の部屋で自分の似た境遇のSF漫画や小説を読んだ。結末はそれぞれで異なり、死ぬことを発見出来たもの、結局生きることにしたもの、色々あった。
少年は恐怖を抱いた。読んだ漫画全てに1つ、共通点があった。
それは、「周りが死ぬ事」だった。

少年は自分の話を信じてくれない周りでも、
「家族」や「友達」と呼び、彼らに愛を捨てることは無かった。そんな周りが消えてしまうという恐怖。

少年はいつしか、周りに対してもっと心を閉ざしてしまった。
二度と部屋から出てこず、一日中泣く日もあれば暴れ回る日もあったらしい。精神を安定させるための腕のいい医者や他の人も試したが、少年の暴力による怪我人が続出し、打つ手はなしと考えられた。

4/1/2024, 1:43:05 PM

部屋の隅にあったオンボロの玩具の話

俺が言葉を知った時ぐらいの頃
俺はバカ正直な奴だったから
何でもかんでもわがままを言ってた。
本当に些細な事でもなんでも言って、
すぐに「お願い」って言ってた。
だから直ぐに周りのヤツを困らせた。

ある日、俺の師はこう俺に告げたんだ。
「あなたは長所は誠実なところだけど
誠実すぎて、我慢を知っていない。
いつか、我慢してみて」
その時は俺には何にも響かなかった。

そっから3年くらいの話。
祖母に
「何か一つ買ってあげよう」
と言われ、
「思いつかないよ」
と答えた。
祖母は
「あの玩具屋に行ってみない?」
祖母が向いた方向にあったのは
木製のそこら辺にあるような家の玩具屋
あまり期待はしていなかったが
商品を見るなり
俺は目を輝かやかせた。
そこらにあった玩具は
本当に興味深いものばかりで
どれもこれも喉から手が出るほど
欲しいものだった。
祖母は
「決まったかい?」
と微笑んで言うと
「どれもこれも欲しい」
と答えようと思ったその時、
何故かその言葉を無意識に飲み込んだ。
あの言葉を思い出したのだ。

俺は祖母にこういった
「欲しいものなんてないよ。
さっさとお家に帰ろ。」
祖母は豆鉄砲を食らった鳩のような顔をして
「おや、どうしたんだい。
我慢するなんて、珍しいじゃないか。」
と言った
俺は
「先生に我慢してみてって言われたんだ
だから、我慢したんだ」
祖母は笑って
「ははは、偉いねぇ。
でもね、甘えてもいい時もある。
無理に我慢しなくてもいい。
程々に我慢してみなさい」
俺は
「分かったよばあちゃん」
と告げた。
俺はどれも欲しかったが、
1つだけと決めて
変に動く絶妙に煩い玩具を選んだ。
なんとなく、憧れたんだ。
祖母とそれを買って帰った道は
ふと、未開の道に感じた。

2/27/2024, 12:45:13 PM

現実から逃げるのにはたくさんの方法がある。
だから逃げるのは簡単だ。
でもそれが現実なのかもしれない。

レンガの家の窓から外を見つめる少年。
その背後から忍び寄る少年の友達。
彼が声を張って脅かすと
少年は田舎のカエルの如く響く裏声で驚いて
即座に窓を閉めた。
少年は焦った表情で
「おい、外に聞こえるだろう?」
と怒鳴ったが
友達はヘラヘラして何の後悔も反省もしていないようだった。
でも、少年はそんな友人でも産まれてからずっと過ごしてきた。あまりにも意見が違うことがなかったからだった。
愛と金なら金、秩序か混沌なら混沌、
目玉焼きなら醤油、ラーメンも醤油
ポテトはからし。
二人がこれは自分だけと思っていたことが
同じだった。
生年月日等は違ったけれど
まるで運命だった。
少年と友達はお互いを、周りもその二人を
「前世が同じ二人」なんて言ってた。
ある日、トロッコ問題について二人は話した。
「このトロッコ問題ってタチ悪いよな」
少年は顔をしかめて言った
「分かる」
続けて友人が言った。
「どちらも死ぬんだろ?俺ならどちらでも報われないと思うんだが」
「あー、つまりは」
「『死んでも嫌だし、自分のために他人が死ぬも嫌』」
「ほらな」
「本当に」
「いつか来たりしてな」
「俺とお前か?」
「そうだ。前からトロッコが来て、第三者が勝手に俺とお前の生死を分ける。」
「俺、どっちでも死ぬかも」
「生憎、俺も。」
「なんでこんなにも現実って逃げるのが楽なんだろう」
「それが現実なんだろ」
「ちょっと何言ってるか分からない」
「ごめん」

2/23/2024, 3:34:51 AM

太陽のような

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