雷鳥໒꒱·̩͙. ゚

Open App
12/6/2022, 12:45:34 PM

―夢と現実―

夜、なかなか寝付けそうになかった俺は
ベッドで横になった状態でスマホを弄っていた
すると突然睡魔に襲われたので、
俺はただ意識を手放した

『やっっべっ!!寝過ぎた!!』
ハッと目覚めて飛び起きた俺は、
すぐ近くのデジタル置時計を見てそう叫んだ
いつも家を出発する時間を10分程過ぎている
朝食を食べる余裕などなくて、
制服に着替え、カバンを持つなり
家を飛び出した

ガラガラガラッ
教室の扉を開けて入ると
殆どの人が登校し終わっていた
自分の席に腰を下ろして安堵していると、
友人が話しかけてきた
「珍しく遅刻ギリギリだな
なんかあったか?」
『いや、シンプルに寝坊ww』
「なぁんだ、寝坊かww」
『なぁんだってw
俺、朝飯食い逃してんだけど』
「やばw」
喋っているうちに残りの人たちもチラホラと
教室に顔を見せた

キーンコーンカーンコーン…キーンコーンカーンコーン…
そしてチャイムが鳴り響き、それと同時に
先生が入ってくる
「起立!礼!着席!」
学級委員の挨拶で授業が始まった
みんなが座ったのを見兼ね、先生が一言
「そんじゃーレポート出せー全員提出だー」
…レポー…ト…?
『はッ…!?…レポート!?』
先生の言葉の意味を完全に理解した時、
俺は自分の失態に気づいた
「おい、お前まさか…」
『…スウウウッ…忘れたァ〜〜〜〜〜!!』
「おい牧野〜
このレポートで内申揺れてくるって、
先生言ったろー?」
『え、!えッ…』
聞いてない、そんなの聞いてない
…と言いたいところなのだが、
3日くらい前、友人を遊びに誘ったところ、
大事なレポートが終わってないから、と
断られたことを思い出し、やむを得ず口を噤んだ
「お前…前回のテスト何点だったっけ?」
『32…』
学年平均を点数を遥かに下回る点数
これで提出物を忘れて、内申が無事な筈は全くない
「おまッ…」
『…スウウウッ…オワタ〜!!詰んだーーーーー!!』
俺の叫びを他所に、秒針は規則正しく動く
そして、長針が9の字をピッタリ指した

『〜〜〜…って…え?』
俺は目を覚ました
気がつくとそこはベッドの上
目に映るのは見慣れた部屋
紛れもなく俺の部屋
じゃあこれは、さっきのは、
『あぁ〜なんっだ夢かー!
ビビったぁーww』
思わず俺は笑った
どんなに焦ったことか
デジタル置時計を見ると、出発時間にはまだ
余裕がある
『良かった、間に合う』
俺はレポートをなんとか終わらせ、
朝食もしっかり食べ、制服を着ると、
髪を整えてから、家を出た

ガラガラガラッ
教室に入ると、
自分の席につき、寄ってきた友人と
くだらない話をして、時間を使った
「おは〜」
『おは
ちょ、聞いて、俺さ、今日レポート家に忘れて
提出遅れになる夢見てさ、ガチで焦ったぁww』
「おま、トラウマ化してんじゃんww」
『やべぇよなーまじでww』
その時俺はまだ、違和感に気づけていなかった
「てかさ〜」

キーンコーンカーンコーン…キーンコーンカーンコーン…
チャイムが鳴り響くと、先生が教室に入ってきた
学級委員の挨拶が済むと、
「牧野〜レポート忘れてないだろうなー?」
『やだなぁ、ちゃんと持ってきてますよw』
俺の言葉にクラス中が笑う
「んじゃ出せー」
俺は先生にレポートを手渡し、提出した
「ん、提出完了
遅れだから、C評価な」
『は……え?』
はい、と素直に頷こうとして、思考が止まった
遅れ?なぜだ?あれは夢だった筈だろう?
俺は必死に頭の中の時を遡る
-牧野〜レポート忘れてないだろうなー?-
あの時先生は俺にしか、忘れていないか、と
聞かなかった
-おま、トラウマ化してんじゃんww-
トラウマ、つまり、夢の内容=レポートの提出遅れは
過去に起こった出来事だということ…
みんな、俺を不思議そうに見ていた
怪訝そうに見る奴もいた
授業時間を削られることが不満なのか、
イラついた顔で見てくる奴もいた
が、みんな揃って、俺の言動に共感する奴は
いないようだった
『は…?』
夢と現実

12/3/2022, 2:48:24 PM

―さよならは言わないで―

さよならは言わないで。
あわよくば、またねって言って。
君はもう諦めてるのかもしれない。
もう、どうしようもないのかもしれない。
でも、私は信じてるの。
この世界では、『滅多に起こらない』
と言われている、
奇跡ってやつを。
『奇跡なんて起こらない。
そんなこと願うなんて、子供っぽい。夢見てる』
至って現実主義者の君のことだもの、
そういう風なことを言うんでしょう?
でも、私はこう思うわ。
子供っぽいからって言って、
ただ、されるがままに生きてたら、夢がない
夢は見るものじゃない
自分で頭に描いて、自分の力で追うものよ
奇跡だって、起こらないなら、起こせばいい
起こせなくても、追い続けることは辞めない
あなたが生き続ける限り、
奇跡は起こり得るから

あれから、長い長い月日が経った。
あの日産まれた子供たちは、一体、
何度目の人生を送っているのかしら。
あの時、あなたは珍しく、
『ここを離れるのが怖いんだ』なんて、
私の目の前で弱音を吐いたけど、
もう、怖くは無くなったかしら。
わかっていたつもりではあったのだけど、
ここを離れることが出来ないって、
こういうことなのね。
毎日同じ日々なはずなのに、飽きてこないのは
とても不思議だわ。
ここは、本当に目まぐるしく回っていて
決して止まることは無い。
ずっと進化や退化が進んでいるの。
面白いくらいよ。
あと、私はまだ諦めていないわ。
ちゃんと覚えてる。
君の死がたとえ何度目だったとしても、
やっぱり私は、さよならなんて言いたくないの。
だから、いつかまた、あなたと巡り会える日を、
楽しみにしながら生きていくわ。いつも通りね。
『あなたに忘れられたとしても、
私は絶対忘れないから』

11/28/2022, 8:39:44 AM

―愛情―

なにかが足りないと思ってた
僕にはないなにかが、みんなにはあって
だから、その僕に足りないなにかを
僕はずっと欲しがってた

僕とみんなじゃ、何が違って、何が同じで…
考えてみても全く分からなくて
そもそも、人それぞれ、何もかもが違うから
僕は僕であるわけで…

そんなある日、
いつもの事のように
僕に降ってきた大きな拳が
僕には何が足りないのかを教えてくれた
気を失ってしまうくらいの
痛みと引き換えに

―あぁ…そうだ。
僕は、“愛情”が欲しかったんだ…―

11/27/2022, 7:09:51 AM

―微熱―

目覚ましより先に目が覚めた
もう一度寝付こうか迷ったけど、
喉の渇きに耐えられそうになくて、
仕方なく上体を起こす
腹筋と腕にぐっと力を込めると、
視界に壁が映った
…と思ったら、
体を起こしていられなくて、
またベッドに倒れ込んでしまった
視界に映っていた壁が、
下にスワイプされたかのように、
視界にの下の方に消え、代わりに天井が見えた
低反発の枕にもろに着地した頭は、
揺れたせいなのか、脳が揺さぶられるように痛む
痛みに顔を顰め、思った
あぁ、やらかした…
昨日、寝坊してしまって、慌てて家を出たけど、
あんなにも寒いと思ってなくて、
何も上着を持たずに学校に行った
中に入ると少し寒さは落ち着いたけど、
昼になるにつれ雲行きが怪しくなり、
下校時刻になる頃には既に雨が降っていた
上着も忘れてきたのに、傘を持ってる筈もなく
雨に濡れながら走って帰った
雨自体は弱かったものの、時雨だったので、
こんなことになってしまったのだろう
ベッドに手を付きながらゆっくりと
起き上がり、そのままゆっくりベッドを降りた
このご時世ということで、いつも机の隅に
置いてある体温計を掴み、脇に挟んで熱を測った
熱くも寒くもないから、
せいぜい微熱程度なんだろうけどな…
少しすると、私以外に誰もいない部屋の沈黙を
体温計の音が破った
点滅する数字に目をやると、
〈37.4℃〉
ん〜…頑張れば行けそうなんだけど…
…学校どうしよう

11/23/2022, 1:43:51 PM

―落ちていく―

落ちていく、落ちていく
何がかは分からないけれど
落ちていく、落ちていく
今までずっと大切にしてきたものが
落ちていく、落ちていく
何があっても絶対手放してはいけなかったものが
落ちていく、落ちていく
手指の隙間からみるみるうちに流れ
落ちていく、落ちていく
深く、暗い奈落の底へ
落ちていく、落ちていく
今までに味わったことの無い感覚、
自分が自分でなくなってくような、
体の中、頭の中、自分の全部が蝕まれてくような
嗚呼、

―堕ちていく

Next