雷鳥໒꒱·̩͙. ゚

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―夢と現実―

夜、なかなか寝付けそうになかった俺は
ベッドで横になった状態でスマホを弄っていた
すると突然睡魔に襲われたので、
俺はただ意識を手放した

『やっっべっ!!寝過ぎた!!』
ハッと目覚めて飛び起きた俺は、
すぐ近くのデジタル置時計を見てそう叫んだ
いつも家を出発する時間を10分程過ぎている
朝食を食べる余裕などなくて、
制服に着替え、カバンを持つなり
家を飛び出した

ガラガラガラッ
教室の扉を開けて入ると
殆どの人が登校し終わっていた
自分の席に腰を下ろして安堵していると、
友人が話しかけてきた
「珍しく遅刻ギリギリだな
なんかあったか?」
『いや、シンプルに寝坊ww』
「なぁんだ、寝坊かww」
『なぁんだってw
俺、朝飯食い逃してんだけど』
「やばw」
喋っているうちに残りの人たちもチラホラと
教室に顔を見せた

キーンコーンカーンコーン…キーンコーンカーンコーン…
そしてチャイムが鳴り響き、それと同時に
先生が入ってくる
「起立!礼!着席!」
学級委員の挨拶で授業が始まった
みんなが座ったのを見兼ね、先生が一言
「そんじゃーレポート出せー全員提出だー」
…レポー…ト…?
『はッ…!?…レポート!?』
先生の言葉の意味を完全に理解した時、
俺は自分の失態に気づいた
「おい、お前まさか…」
『…スウウウッ…忘れたァ〜〜〜〜〜!!』
「おい牧野〜
このレポートで内申揺れてくるって、
先生言ったろー?」
『え、!えッ…』
聞いてない、そんなの聞いてない
…と言いたいところなのだが、
3日くらい前、友人を遊びに誘ったところ、
大事なレポートが終わってないから、と
断られたことを思い出し、やむを得ず口を噤んだ
「お前…前回のテスト何点だったっけ?」
『32…』
学年平均を点数を遥かに下回る点数
これで提出物を忘れて、内申が無事な筈は全くない
「おまッ…」
『…スウウウッ…オワタ〜!!詰んだーーーーー!!』
俺の叫びを他所に、秒針は規則正しく動く
そして、長針が9の字をピッタリ指した

『〜〜〜…って…え?』
俺は目を覚ました
気がつくとそこはベッドの上
目に映るのは見慣れた部屋
紛れもなく俺の部屋
じゃあこれは、さっきのは、
『あぁ〜なんっだ夢かー!
ビビったぁーww』
思わず俺は笑った
どんなに焦ったことか
デジタル置時計を見ると、出発時間にはまだ
余裕がある
『良かった、間に合う』
俺はレポートをなんとか終わらせ、
朝食もしっかり食べ、制服を着ると、
髪を整えてから、家を出た

ガラガラガラッ
教室に入ると、
自分の席につき、寄ってきた友人と
くだらない話をして、時間を使った
「おは〜」
『おは
ちょ、聞いて、俺さ、今日レポート家に忘れて
提出遅れになる夢見てさ、ガチで焦ったぁww』
「おま、トラウマ化してんじゃんww」
『やべぇよなーまじでww』
その時俺はまだ、違和感に気づけていなかった
「てかさ〜」

キーンコーンカーンコーン…キーンコーンカーンコーン…
チャイムが鳴り響くと、先生が教室に入ってきた
学級委員の挨拶が済むと、
「牧野〜レポート忘れてないだろうなー?」
『やだなぁ、ちゃんと持ってきてますよw』
俺の言葉にクラス中が笑う
「んじゃ出せー」
俺は先生にレポートを手渡し、提出した
「ん、提出完了
遅れだから、C評価な」
『は……え?』
はい、と素直に頷こうとして、思考が止まった
遅れ?なぜだ?あれは夢だった筈だろう?
俺は必死に頭の中の時を遡る
-牧野〜レポート忘れてないだろうなー?-
あの時先生は俺にしか、忘れていないか、と
聞かなかった
-おま、トラウマ化してんじゃんww-
トラウマ、つまり、夢の内容=レポートの提出遅れは
過去に起こった出来事だということ…
みんな、俺を不思議そうに見ていた
怪訝そうに見る奴もいた
授業時間を削られることが不満なのか、
イラついた顔で見てくる奴もいた
が、みんな揃って、俺の言動に共感する奴は
いないようだった
『は…?』
夢と現実

12/6/2022, 12:45:34 PM