雷鳥໒꒱·̩͙. ゚

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10/31/2023, 10:01:02 AM

―暗がりの中で―

ヒューーーッ





ッッグシャリ


0日目

近頃ホラー好きの間で密かに話題になっている
心霊スポット〈果てなしトンネル〉
立ち入り禁止のテープが貼られたその入口に
踏み入るが最後
語彙以外の記憶全てを失い
暗がりの中謎の蝋燭の明かりに連れられて
トンネルの果てまで歩き続けることになるのだとか

今までにそのトンネルに挑んだ勇気ある者たちが
帰ってきたことはないらしい
そのためトンネル内での“最後”を知る者はいないが
一部のホラー好きの間では
トンネルの途中で力尽きて霊になり
今もトンネルを彷徨い続けているのでは
などと数々の考察が繰り広げられている

10/30/2023, 2:35:08 PM

―暗がりの中で―

?日目

私を導く蝋燭は
一体何処を目指すのだろうか


1?日目

少しずつ少しずつ
明かりが見えるようになってきていた
蝋燭よりも遥かに眩しく
でも遥かに遠い光だ
規則正しかった足音は高高と響き
蝋燭を追い越すくらいの勢いで
私は加速して進んだ


2?日目

光が大きくなって
暗がりは止み
やがて私は光に包まれた
でもどうやら私の限界が近づいていたらしく
私の力はそこで尽き
倒れ込むように最後の一歩を踏み出した
何故か最後の足音が鳴ることはなかった

10/29/2023, 1:15:40 AM

―暗がりの中で―

1日目

蝋燭のようなぼやけた明かりが小さく灯り
私の目の前でゆらゆらと揺れていた
ほら…こっちへおいで…と
もう何も怖くないから…と
私を手招きして
秘密の場所に誘い出すかのように
私は明かりに導かれるままに歩き始めた


2日目

暗がりの中で響く足音
コツコツ…コツコツ…と
石畳の上を歩くような音だけが
規則正しく木霊する
ここがどこなのかも分からないが
私の足は明かりを目指して動いていた
思考だけはおかしなくらいに冴えていた


5日目

辺りは相も変わらず静まり返っている
私の足音だけが絶えず木霊する
どれほど歩き続けただろう
時間も分からなくなってきていた
飲まず食わずで歩き続けているのに
足の疲れは全くなく
足に止まる気は更々ないようだった

9/2/2023, 1:19:43 PM

―心の灯火―

少し前まで燃え盛っていた心が、
囲炉裏の灰を被せられたように燻ってしまい、
やがて心は冷え切り、火の明るさは消えてしまった。
それなのに、今でも時々、
あの頃の熱が胸の中で蘇って、
私自身に訴えかけてくる。
まだやれるだろう、あんな奴らに怯む程、
お前は弱い奴では無い筈だろう、と。
その度に胸に手を当て、目を瞑ってみる。
俯くと、トラウマが脳裏を駆け巡ってきて
足が竦むような思いがする。
影からの目線。大きな馬鹿笑い。
私をチクチクと刺してくる言葉の数々。
恐怖で目眩がしそうになって、
呼吸が浅くなり、胃も縮む。
たくさんの視線を浴びながらも力を尽くし、
傷だらけになりボロボロに朽ちて。
その刹那に私の火は吹き消された。
それでも、心は冷めきっていなかった。
まだあの温かさが残っていた。
私はまだやれる。大丈夫だと。
自分自身に喝を入れて顔を上げる。
目を開ければ眩しい世界が広がっている。
足を踏み入れると溶けてしまいそうな気がして怖い。
けれど歩みを止めることは無い。
私の中には、あの日から灰の中で
眠り続けていた火種が、ゆらゆらと揺れ動いて、
その影を大きく伸ばしている。
それは心の灯火となり、今も私を奮い立たせる。
灯火はバチバチと音を立てながら爆ぜ、
火花となって散るけども、
無数の火花は辺りを舞って、
私の道を照らしている。

8/26/2023, 10:29:31 AM

―私の日記帳―

白い布のカバーがかかった日記帳
最後に見たのは何時だったか、
それすら思い出せなかったが、
それはカッターか何かで乱暴に切ったような跡、
何本かの釘に刺されて、開くことが出来ない
釘を抜いてみても、
各ページに糊がこびりついていて
やはり開くことが出来なかった
見るからにズタボロで、
きっとなにかあったんだろう
そう誰もが思うくらい、酷い有様だった

“された”んじゃない
“やった”んだ
他人の日記帳だという訳でもない
表紙に自分の名前も書いてある通り、
紛れもなく私の日記帳だ

動機なんて鮮明に覚えている
…ただ、羨ましかったんだ
他の誰でもない、自分が
それも、過去の自分が
押し入れから日記帳を見つけ、
それを読んでみたときがあった
私は怒り狂った
将来、どんな不幸を背負うかも知らずに
お気楽に遊んでいた多幸な自分に

そんなに余裕があるなら
せめて未来の自分に何か残せよ
日記帳とかそんなものじゃなくて
未来の自分も自分自身だろ
自分のために、できることがあっただろ
何度も何度も選択を誤るなよ

こんな幸せが詰まった日記帳なんて
視界に入るだけで嫌気が差す
いつかこの日記帳を忘れた日が来たとして、
未来の自分が同じことにならないようにと、
あの日の私は怒りに任せて日記帳を封じたんだ

そのときの怒りはもう消えていた
記憶と共に蒸発したみたいだ
…今の自分なら、過去の幸せな自分を見ても
何も思わないだろうか
ふとそう思った私は、カッターで糊の部分を切って
日記帳を開いた

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