―さよならは言わないで―
さよならは言わないで。
あわよくば、またねって言って。
君はもう諦めてるのかもしれない。
もう、どうしようもないのかもしれない。
でも、私は信じてるの。
この世界では、『滅多に起こらない』
と言われている、
奇跡ってやつを。
『奇跡なんて起こらない。
そんなこと願うなんて、子供っぽい。夢見てる』
至って現実主義者の君のことだもの、
そういう風なことを言うんでしょう?
でも、私はこう思うわ。
子供っぽいからって言って、
ただ、されるがままに生きてたら、夢がない
夢は見るものじゃない
自分で頭に描いて、自分の力で追うものよ
奇跡だって、起こらないなら、起こせばいい
起こせなくても、追い続けることは辞めない
あなたが生き続ける限り、
奇跡は起こり得るから
あれから、長い長い月日が経った。
あの日産まれた子供たちは、一体、
何度目の人生を送っているのかしら。
あの時、あなたは珍しく、
『ここを離れるのが怖いんだ』なんて、
私の目の前で弱音を吐いたけど、
もう、怖くは無くなったかしら。
わかっていたつもりではあったのだけど、
ここを離れることが出来ないって、
こういうことなのね。
毎日同じ日々なはずなのに、飽きてこないのは
とても不思議だわ。
ここは、本当に目まぐるしく回っていて
決して止まることは無い。
ずっと進化や退化が進んでいるの。
面白いくらいよ。
あと、私はまだ諦めていないわ。
ちゃんと覚えてる。
君の死がたとえ何度目だったとしても、
やっぱり私は、さよならなんて言いたくないの。
だから、いつかまた、あなたと巡り会える日を、
楽しみにしながら生きていくわ。いつも通りね。
『あなたに忘れられたとしても、
私は絶対忘れないから』
12/3/2022, 2:48:24 PM