―微熱―
目覚ましより先に目が覚めた
もう一度寝付こうか迷ったけど、
喉の渇きに耐えられそうになくて、
仕方なく上体を起こす
腹筋と腕にぐっと力を込めると、
視界に壁が映った
…と思ったら、
体を起こしていられなくて、
またベッドに倒れ込んでしまった
視界に映っていた壁が、
下にスワイプされたかのように、
視界にの下の方に消え、代わりに天井が見えた
低反発の枕にもろに着地した頭は、
揺れたせいなのか、脳が揺さぶられるように痛む
痛みに顔を顰め、思った
あぁ、やらかした…
昨日、寝坊してしまって、慌てて家を出たけど、
あんなにも寒いと思ってなくて、
何も上着を持たずに学校に行った
中に入ると少し寒さは落ち着いたけど、
昼になるにつれ雲行きが怪しくなり、
下校時刻になる頃には既に雨が降っていた
上着も忘れてきたのに、傘を持ってる筈もなく
雨に濡れながら走って帰った
雨自体は弱かったものの、時雨だったので、
こんなことになってしまったのだろう
ベッドに手を付きながらゆっくりと
起き上がり、そのままゆっくりベッドを降りた
このご時世ということで、いつも机の隅に
置いてある体温計を掴み、脇に挟んで熱を測った
熱くも寒くもないから、
せいぜい微熱程度なんだろうけどな…
少しすると、私以外に誰もいない部屋の沈黙を
体温計の音が破った
点滅する数字に目をやると、
〈37.4℃〉
ん〜…頑張れば行けそうなんだけど…
…学校どうしよう
11/27/2022, 7:09:51 AM