夏の雨

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6/4/2023, 11:41:57 AM

「……はぁ…………今何時だろ?」
ここは窓1つない不思議なとても狭い部屋。いつの間にかこの部屋に閉じ込められていた。
時計も無ければテレビも娯楽もない。あるのはテーブルと食料、ベッドだけだ。時間が分からないので朝なのか昼なのか夜なのか分からない。脱出しようにもドアや窓がないのでしようがない。
「…おーい。誰かいる?」
天井に向かって呼びかけるが反応が無い。
「………ここから出してよ!」
そういった途端、何処からか声が聞こえた。
__なんでだよ?

え?なんか何もない所から喋った?…なんて気にしている暇はない。後回しだ。
「なんでって……自分の部屋に戻りたいんだけど」
__俺はなにもしていない。お前が勝手にこの狭いに来ただけだ。
「違う!誰がこんな所に来るか!自分の声しかしなくて頭が可笑しくなりそうだよ…」
__…1つ間違いをしている。“こんな所”ではない。この狭い部屋はお前が想像で作った部屋だ。
「そんなわけ……」
__ない?そうか。でもそろそろ本当の事を思い出さないと一生抜けられないぞ。
「は?」
本当、の事?
「それってどういう____」
突然ズキッと頭痛がはしる。
その瞬間視界が切り替わり、自分が映る。
どうやら自分は交通事故にあって、昏睡状態らしい。
「………そんな、うそ、だろ……」
__嘘じゃないさ。戻りたければそのドアを開けろ。
ソイツが指を指した方向に目を向けると、ドアが現れる。
「…帰っていいのか?」
__あぁ。
「……お前は、誰なんだ?」
__さぁ?…俺の名前は曖無。それだけ教えてやる。
コクンと頷き、ドアを開けると眩い光が全身を覆った____

#狭い部屋

5/31/2023, 10:50:55 AM

「ねぇ、あn___」
「今日は空が晴れてるね」
僕の話を遮って、彼は当たり障りのないはなしをしだす。
「雲が1つもないね」
違う、天気の話はどうでもいいんだよ。僕が話したいことは、…
「…………逃げないで」
「ん?どういうこと?」
意味が分かってない、という様なバレバレの素振りを見せる彼。
「現実から目を背けないで。分かってるでしょ?」
「………」
「天気の話なんかどうでもいい。そろそろやめてよ、猫かぶるの」
「…チッ」
もう無理だと思ったのか、ついに化けの皮がはがれる。
「お前が悪いんだよ。全部全部全部全部!!!」
「なにが?」
「黙れ!知ってるくせに!!!!!」
「違う。君は人間を怖がってるだけだ。僕は誤解を解こうとしてるだけ…」
「どうみても煽ってただろ!!」
「お願い僕の話を、」
「うるっせぇんだよ!!!ウゴイタラコロス!」
急にカタコトになったと思うと、いつの間にか人間の彼の姿は消え、変わりに獣の様な見た目をした彼がいた。
「……」
「イチイチオレノイウコトニクチヲダスナ!」
「随分と日本語が上手くなったね」
「ハ?」
「…ごめん。僕が悪かった。これからは何も言わない」
「…………ワカレば言い。」
しゅるしゅると背が縮み、人間の姿に戻っていた。
「でもこれだけは聞いて。…その、僕とこれからも友達でいて?」
「はっ。…まぁいいけど?この生活も悪くないし」
僕達は握手をして、また歩きだした。


#天気の話だってどうでもいいんだ。僕が話したいことは、
「彼」=人間に化けれる獣。語り手に助けて貰ったらしい。
語り手=人間。このような事を毎日のようにしているので、なれてきている。

5/29/2023, 11:55:06 AM

「ごめんね…」
「……………」
「ごめん………」
何度も謝るが、相手は返事はしない。だって…
もう息はしていないんだから。

「また負けた!」
「いや私は強くないよ?あんたが弱すぎるだけ!」
「なんか煽られてるみたいなんだけど…」
「違うからw」
「……あの、さ。いいたい事が、あるんだけど…」
「???なに?」
「その………ごめんね」
「え?なに?どゆこと?」
「…わたし、その…」
ガチャッと何かの音が部屋に響く。黒光りしたそれを突きつけると、親友は驚いた顔をする。
「こうするしか、ないの」
「そっか………恨んでるわけじゃないんだよね?」
「うん…その、親からの命令で…殺さないとわたしは…」
「そっかそっか…それなら仕方ないよね。いいよ」

「……え?」
なんで?だって誰だって殺される時は絶望してる。それなのに目の前にいる親友は笑顔で笑ってる。
まるで知っていたかのような。
「知ってたの?」
「まぁね。予想はしてた」
「でも!殺されるんだよ?やり残したいこととか…」
「ないよ。あんたといるだけでもういいから」
「だ、だ、って…」
「ふふw早く殺さないと悲しくなってくんじゃん…?」
そう言って親友は自身の頭に拳銃を突きつける。
「っ!だめだよ!そんな…」
「楽しかったよ。じゃあね」

銃声が部屋に響いた。


「いやだ…!いやだよ!親友はただ1人だけなのに!」
親の命令なんて聞かなきゃよかった。あぁ、わたしってなんて馬鹿なんだろう。

「ごめんね……」

#「ごめんね」

5/27/2023, 11:20:36 AM

「天国と地獄ってあると思う?」
―――???
「言い方が悪かったね。すなわち死者は何処にいくかってこと」
―――…………
「知らないって?ま、俺も知らないんだけど…天国と地獄はあるのかな?」
―――……!
「あると思うって?へぇ…なぁるほど…理由は?」
―――_____……
「あった方が面白い、ね…確かにあったら死ぬのも楽しみにはなってくるかもね。」
―――…………?
「俺?俺はぁ……無いと思うな。」
―――…………………………
「俺的には、死んだ後もその体の中に意識があるのかなって。だから痛みとかも感じそうだよね〜」
―――_
「死体を焼く時も痛みは感じんじゃない?そこで完全に死体が消えたら魂も何処か遠くに行く!」
―――……?
「………あくまでも俺の思い込みだから。君のと同じ。そうだったら面白いなーって!」
―――………
「面白くない?そうかな?焼くのは痛いかも知れないけど面白くない?みてみたいなぁ…」
―――....
「マッドサイエンティスト…?いや違うよ。ただの科学者だし〜」
―――.・・・・
「死の実験なんかマッドのすること…誰だって死って気になるでしょ?世のためになるんだからさ、実験体になってよぉ〜!もし死んだら君が言う天国に連れてって上げるから!」
―――……?
「ほんと!ね?いいでしょ?虐めや虐待なんかない素敵な所なんだよね?」
―――・・・
「約束は守る!」
―――
「やった!!!じゃあ始めよっか」



「あ〜“また”失敗しちゃった。でもこれであの子は天国にいけたかな〜」

#天国と地獄
―――は親に虐待、学校で虐めを受けている。
それを科学者の彼が見つけ、自分は実験をするのと、―――は天国(死)に逝かせてあげるというお互いに利益のある交渉をした。彼の実験は失敗したが、あの子は無事天国にいったみたいだ。本当に天国なんてあるのかは分からないが。
何故あの子の文章が書かれていないか?それは…なんでだろうね。

5/26/2023, 10:38:53 AM

「月の神様………」
両手を合わせる。すると、微かに月が光った気がした。
「お願いです…どうか……ッどうか弟を…助けて…」
ガチャンッ「何やってんだ?おい。」
乱暴にドアが開いたと思ったら、お父さんがこちらを睨む。
「月の神様だぁ?そんなもんねぇーんだよ。お前は俺の言うこと聞いてれば…」
「弟は?弟は今何処にいるんですか?!」
「…あぁ、アイツは地下に居る。死んではねぇ。」
よかった……安堵のため息が出たが、まだ安心ではない。ここから出ねば。
「そろそろ夕飯の時間だな。お前なんか作れ。手を抜くと…」
「っ………は、い…」
そう言うと、満足そうに笑みを浮かべ去っていった。

「…………」
食材を切りながらどうしようかと考える。お父さんは部屋で寝ている。今しか瞬間がない。
「スゥー…月…月よ……」
そっと呟くと、部屋全体が明るくなった。
「??」
自分の体を見てみると、なんと光っていた。
「なに、これ………月よ、お願い。」
両手を合わせるともっと明るくなる。
「弟を……地下から出して…。」
目を瞑り、お願い…と全身の力を込めて祈る。
すると明るさが消え、変わりに弟がいた。
「?おねえちゃん…!つきはおねえちゃん!」
「っ!つきと!」
ギュッと手を握ると、少し震えている。怖かったんだね……。
「…月斗、ここから出___」
「なにやってんだ?」
っ!お父さんがドアの前で立っていた。
「逃げようとか思ってないよな?そうだよな?だって俺の娘なんだから…」
「違う!アンタなんかの娘じゃない!」
「?!お前そんな舐めた口聞いてると…」
「月斗、一緒に言って。月よ!」
「?月よ!」
そう叫ぶ。自分達の体が光ってくる。
「は?!どっどういうことだよ?!」
「月の神様よ!」
「つっ月のかみさまよ!」
「ここから…自由にして!」
「じゆうにして〜!」
その瞬間、眩い光が全身を包み、視界が暗転した。




自由になったのは月のおかげだ。
「…月よ、ありがとう。」

#月に願いを

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