夏の雨

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「ねぇ、あn___」
「今日は空が晴れてるね」
僕の話を遮って、彼は当たり障りのないはなしをしだす。
「雲が1つもないね」
違う、天気の話はどうでもいいんだよ。僕が話したいことは、…
「…………逃げないで」
「ん?どういうこと?」
意味が分かってない、という様なバレバレの素振りを見せる彼。
「現実から目を背けないで。分かってるでしょ?」
「………」
「天気の話なんかどうでもいい。そろそろやめてよ、猫かぶるの」
「…チッ」
もう無理だと思ったのか、ついに化けの皮がはがれる。
「お前が悪いんだよ。全部全部全部全部!!!」
「なにが?」
「黙れ!知ってるくせに!!!!!」
「違う。君は人間を怖がってるだけだ。僕は誤解を解こうとしてるだけ…」
「どうみても煽ってただろ!!」
「お願い僕の話を、」
「うるっせぇんだよ!!!ウゴイタラコロス!」
急にカタコトになったと思うと、いつの間にか人間の彼の姿は消え、変わりに獣の様な見た目をした彼がいた。
「……」
「イチイチオレノイウコトニクチヲダスナ!」
「随分と日本語が上手くなったね」
「ハ?」
「…ごめん。僕が悪かった。これからは何も言わない」
「…………ワカレば言い。」
しゅるしゅると背が縮み、人間の姿に戻っていた。
「でもこれだけは聞いて。…その、僕とこれからも友達でいて?」
「はっ。…まぁいいけど?この生活も悪くないし」
僕達は握手をして、また歩きだした。


#天気の話だってどうでもいいんだ。僕が話したいことは、
「彼」=人間に化けれる獣。語り手に助けて貰ったらしい。
語り手=人間。このような事を毎日のようにしているので、なれてきている。

5/31/2023, 10:50:55 AM