夏の雨

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「……はぁ…………今何時だろ?」
ここは窓1つない不思議なとても狭い部屋。いつの間にかこの部屋に閉じ込められていた。
時計も無ければテレビも娯楽もない。あるのはテーブルと食料、ベッドだけだ。時間が分からないので朝なのか昼なのか夜なのか分からない。脱出しようにもドアや窓がないのでしようがない。
「…おーい。誰かいる?」
天井に向かって呼びかけるが反応が無い。
「………ここから出してよ!」
そういった途端、何処からか声が聞こえた。
__なんでだよ?

え?なんか何もない所から喋った?…なんて気にしている暇はない。後回しだ。
「なんでって……自分の部屋に戻りたいんだけど」
__俺はなにもしていない。お前が勝手にこの狭いに来ただけだ。
「違う!誰がこんな所に来るか!自分の声しかしなくて頭が可笑しくなりそうだよ…」
__…1つ間違いをしている。“こんな所”ではない。この狭い部屋はお前が想像で作った部屋だ。
「そんなわけ……」
__ない?そうか。でもそろそろ本当の事を思い出さないと一生抜けられないぞ。
「は?」
本当、の事?
「それってどういう____」
突然ズキッと頭痛がはしる。
その瞬間視界が切り替わり、自分が映る。
どうやら自分は交通事故にあって、昏睡状態らしい。
「………そんな、うそ、だろ……」
__嘘じゃないさ。戻りたければそのドアを開けろ。
ソイツが指を指した方向に目を向けると、ドアが現れる。
「…帰っていいのか?」
__あぁ。
「……お前は、誰なんだ?」
__さぁ?…俺の名前は曖無。それだけ教えてやる。
コクンと頷き、ドアを開けると眩い光が全身を覆った____

#狭い部屋

6/4/2023, 11:41:57 AM