ざざなみ

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6/14/2025, 1:41:14 PM

『もしも君が』

もしも君が僕に好意を向けてくれたらどんなに嬉しいだろう。
何があっても必ず守ると誓うし、君が悲しんで涙を流しているのなら、その涙を拭ってあげたい。
でも、それは君の隣にいるやつの特権だ。
僕にその権利は無い。
あの時、覚悟を決めて君に気持ちを伝えていたなら、君の瞳には僕が映っていて隣にはいつも僕がいたかもしれない。
君の好きなところを言えと言われたなら声が枯れるまで言い続けられる自信がある。
愛が重いと言われてもいい。
君に僕がどれだけ愛しているのかを伝えたいから。
その気持ちを形にしなければ、きっと伝わらないと思う。
僕は今でもあの日の後悔を拭うことができない。
後悔をするくらいなら言えば良かったのに。
きっと僕以外のやつはそう言うだろう。
言えるわけが無い。
もしも君が僕のことを好きでなかったら、この関係は壊れるだけだ。
君は優しいから僕を傷つけたと勘違いをして、この関係を終わらせようとするだろう。
幼なじみというこの関係を。
この関係は素晴らしいほど僕には都合が良かった。
だから、この関係に頼ってしまったのかもしれない。
もしも君が僕に好意を向けてくれたなら、今頃どんな関係になっていただろうか。

6/7/2025, 11:12:51 AM

『夢見る少女のように』

本に出てくる王子様。
幼い頃、女の子なら誰もが一度は憧れると思う。
私も、いつかはそんなパートナーができると信じていた。
そして、その人と結婚して、家庭を築いて、子育てをして、老いて幸せに死んでいくと思っていた。
だけど、現実はそう甘くなかった。パートナーを見つけようと頑張っても何故か最後には皆、私から離れていくのだ。
どうしてか理由を聞いても“ 自分で考えろ”と言われるだけで誰も教えてはくれなかった。
私は、ずっと考えてようやく分かった気がする。
私の理想は夢見る少女のようだった。
あまりにも夢を強く思い描いていたせいで、パートナーに理想を押し付けすぎたのかもしれない。
今までの私は浅はかすぎたのだ。
後悔してももう遅い。
私が、もう少し物語に出てくるヒロインのような清純な心を持っていたのなら、未来は変わっていたのだろうか。

6/2/2025, 6:27:50 AM

『雨上がり』

今日は朝から雨が降っていて憂鬱な一日になると思っていた。
髪はまとまらないし、車に水をかけられるし、とにかくいい事がなかった。
でも、放課後に空を見たら雨が止んでいた。
今まで降っていたのが嘘のように雨上がりの空はとても綺麗だった。
美しく輝くその青空を見ていると、心が晴れ晴れするようだった。
まるで、彼といる時のように。
一つ年下の彼は、性格はしっかりしているけれどたまに抜けているところがあって可愛いのだ。委員会の活動でたまたま一緒になった時に意気投合して時々話すようになった。
彼と話していると、心が落ち着く。
なんでかよく分からないけれど彼の声はとても透き通っていて、時々話し出す話題が面白いのだ。
今日も彼が急に
『今日の空、とっても綺麗ですね』
と言ったので私も空を見上げていた。
「空を見上げるの珍しいね、どうかした?」
『いえ······ただ、空って羨ましいなっておもいまして』
「羨ましい?」
『空ってその時の気まぐれで天気を変えられるじゃないですか』
「そうだね」
『でも、人間ってその時の気まぐれで態度とか機嫌とか変えられるわけじゃないので····』
「ふふ、なるほど」
『人間って大変だなぁと思いまして』
「そんなことに目をつけるの君くらいじゃない?」
『······おかしいと思いますか?』
「えっ、全然!むしろ面白いと思うよ」
『······本当ですか?』
「うん、君といると飽きなくて面白い」
『····そうですか······』
そう言うと彼はそっぽを向いてしまった。
それでも、私は彼がそっぽを向く瞬間、口角が上がっていることに気づいたので素直じゃないなぁと思った。
物好きだと言われてもいいから、これからも彼の面白い話を聞いてみたいと思う。

5/31/2025, 1:32:45 PM

『勝ち負けなんて』

死にたがりの私の前に突然、死神が現れた。
その死神は何が起こったのかわかっていない私に向かってただ一言
『俺とゲームをしましょう。あなたがもう一度強く死にたいと願ったのならその魂を頂きに参ります。その時はあなたの負けです』
こう言った。
死神が去った後、私はずっと考えていた。
どうしてずっと死にたいと思っていたのか。
そんなの簡単だ。生きることに意味を見い出せなくなったから。身内も友達もいない私にとってこの世界は地獄でしかない。生きていることに地獄を感じるなら死んだ方が今より楽になれると感じた。
生きたくても生きられない人は世の中にはたくさんいることはもちろん分かっているし、親から授かった命だから簡単に捨ててはいけないということも分かっている。
それでも無理だ。一度でも生きる気力を失った人間はもう死ぬしか方法が見えなくなってしまう。
あの死神が持ちかけてきたゲームは私が生きている限り有効らしいし、自分で死のうとする前に私の魂は取られるのだから、自殺をしても意味はないだろう。
でも、あんなゲームをして死神には何のメリットがあるのだろうか?
私を生き続けさせるため?それともただの暇つぶし?
どっちでもいいし、どっちも不正解でもいいけどとりあえずゲームをしているのなら本当に死にたいと思えるまでこの人生を生きてみよう。
“ 死にたい”は私の口癖みたいなものだから、簡単に死にたいと思っても死神は迎えに来てくれないだろう。
だから、私の人生のゲームのタイムリミットまで自由に生きてみよう。
少し視点を変えてみると私の中の考えが変わるかもしれないから。
死神とのゲームが終わるまでこの残りの人生を謳歌してみようと思った。

5/30/2025, 1:19:50 PM

『まだ続く物語』

私は小説家に憧れていた。
いつしか、自分で物語を書きたいと思うようになり数年後その夢を叶えた。
これから始まる人生を新しく歩んでいくはずだった。
小説家になった喜びもつかの間、これから続いてく私の人生という物語は突然終わりを告げた。
病気になったのだ。しかもタチの悪いことに余命宣告というおまけ付きで。
どうして私なのだろう。これからだって時だったのに。人生は不公平だ。
まだ続くと思っていた物語を一歩も歩むことなく私はこの世を去るだろう。
そして、私がいない世界になってもこの世界の物語は終わらないのだ。
人が一人死んだところでこの物語は突然終わったりしない。
終わるのは私の中でだけ。
それでも、仕方のないことだ。
たまたま、私の中のシナリオに続きがなかっただけ。
私は潔く、このシナリオ通りに決まった日に死ぬしかないのだ。
でも、願うなら来世では自分の人生の物語くらい自分で書いてみたい。
何年経ってもまだ続くこの物語を今度は自分で歩んでみたい。

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