ざざなみ

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『勝ち負けなんて』

死にたがりの私の前に突然、死神が現れた。
その死神は何が起こったのかわかっていない私に向かってただ一言
『俺とゲームをしましょう。あなたがもう一度強く死にたいと願ったのならその魂を頂きに参ります。その時はあなたの負けです』
こう言った。
死神が去った後、私はずっと考えていた。
どうしてずっと死にたいと思っていたのか。
そんなの簡単だ。生きることに意味を見い出せなくなったから。身内も友達もいない私にとってこの世界は地獄でしかない。生きていることに地獄を感じるなら死んだ方が今より楽になれると感じた。
生きたくても生きられない人は世の中にはたくさんいることはもちろん分かっているし、親から授かった命だから簡単に捨ててはいけないということも分かっている。
それでも無理だ。一度でも生きる気力を失った人間はもう死ぬしか方法が見えなくなってしまう。
あの死神が持ちかけてきたゲームは私が生きている限り有効らしいし、自分で死のうとする前に私の魂は取られるのだから、自殺をしても意味はないだろう。
でも、あんなゲームをして死神には何のメリットがあるのだろうか?
私を生き続けさせるため?それともただの暇つぶし?
どっちでもいいし、どっちも不正解でもいいけどとりあえずゲームをしているのなら本当に死にたいと思えるまでこの人生を生きてみよう。
“ 死にたい”は私の口癖みたいなものだから、簡単に死にたいと思っても死神は迎えに来てくれないだろう。
だから、私の人生のゲームのタイムリミットまで自由に生きてみよう。
少し視点を変えてみると私の中の考えが変わるかもしれないから。
死神とのゲームが終わるまでこの残りの人生を謳歌してみようと思った。

5/31/2025, 1:32:45 PM