『雨上がり』
今日は朝から雨が降っていて憂鬱な一日になると思っていた。
髪はまとまらないし、車に水をかけられるし、とにかくいい事がなかった。
でも、放課後に空を見たら雨が止んでいた。
今まで降っていたのが嘘のように雨上がりの空はとても綺麗だった。
美しく輝くその青空を見ていると、心が晴れ晴れするようだった。
まるで、彼といる時のように。
一つ年下の彼は、性格はしっかりしているけれどたまに抜けているところがあって可愛いのだ。委員会の活動でたまたま一緒になった時に意気投合して時々話すようになった。
彼と話していると、心が落ち着く。
なんでかよく分からないけれど彼の声はとても透き通っていて、時々話し出す話題が面白いのだ。
今日も彼が急に
『今日の空、とっても綺麗ですね』
と言ったので私も空を見上げていた。
「空を見上げるの珍しいね、どうかした?」
『いえ······ただ、空って羨ましいなっておもいまして』
「羨ましい?」
『空ってその時の気まぐれで天気を変えられるじゃないですか』
「そうだね」
『でも、人間ってその時の気まぐれで態度とか機嫌とか変えられるわけじゃないので····』
「ふふ、なるほど」
『人間って大変だなぁと思いまして』
「そんなことに目をつけるの君くらいじゃない?」
『······おかしいと思いますか?』
「えっ、全然!むしろ面白いと思うよ」
『······本当ですか?』
「うん、君といると飽きなくて面白い」
『····そうですか······』
そう言うと彼はそっぽを向いてしまった。
それでも、私は彼がそっぽを向く瞬間、口角が上がっていることに気づいたので素直じゃないなぁと思った。
物好きだと言われてもいいから、これからも彼の面白い話を聞いてみたいと思う。
6/2/2025, 6:27:50 AM