『まだ続く物語』
私は小説家に憧れていた。
いつしか、自分で物語を書きたいと思うようになり数年後その夢を叶えた。
これから始まる人生を新しく歩んでいくはずだった。
小説家になった喜びもつかの間、これから続いてく私の人生という物語は突然終わりを告げた。
病気になったのだ。しかもタチの悪いことに余命宣告というおまけ付きで。
どうして私なのだろう。これからだって時だったのに。人生は不公平だ。
まだ続くと思っていた物語を一歩も歩むことなく私はこの世を去るだろう。
そして、私がいない世界になってもこの世界の物語は終わらないのだ。
人が一人死んだところでこの物語は突然終わったりしない。
終わるのは私の中でだけ。
それでも、仕方のないことだ。
たまたま、私の中のシナリオに続きがなかっただけ。
私は潔く、このシナリオ通りに決まった日に死ぬしかないのだ。
でも、願うなら来世では自分の人生の物語くらい自分で書いてみたい。
何年経ってもまだ続くこの物語を今度は自分で歩んでみたい。
5/30/2025, 1:19:50 PM