Rei

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4/30/2024, 9:11:13 AM

風に乗ってひらひらと桜が舞い落ちる。
「あっ」すぐ手前に散った桜の欠片を掴んだ。
昔、貴方が教えてくれたことを思い出す。
「ねぇねぇ、知ってる?桜の花びらを片手で掴めたら願いが叶うんだって!」
「ほんと?!じゃあね、掴めたら___」

もう、あの時なんて言ったのかは思い出せない。
でも昔は掴むことができなかったけど今は掴めた。
もう願うことは決まってる。
「貴方が目覚めますように」小声で願ってみる。
貴方は3年前、交通事故にあってから目覚めない。
なんでも、子供を助けて轢かれたらしい。
貴方はどこまでも優しい人だ。だから、貴方が目覚めなくても「いつまでも待つよ」
風が強くなって、桜の欠片はふわりと空を舞っていった。

4/29/2024, 3:59:45 AM

[ラムネ瓶の中に夏]
君が持つラムネ瓶が揺れる。僕はもう空っぽなラムネ瓶を夏の日差しにかざしてみる。深い青のビー玉が綺麗に反射して海みたいだ。
白い雲がゆっくりと流れていく。
こんな毎日がずっと続くと思っていた。

時はたって僕はもう大学生になっていた。
時間の流れはあっという間だ。
休みの日、僕は君とよく行った海に1人で訪れる。元気にしてるかな。
連絡先が変わってしまった君に連絡はつかない。
でも、トーク歴を残しておきたくてそのままだ。
君がいないこと以外は変わらない風景が僕の目に映る。高校時代によく座ったベンチに一人腰掛ける。
刹那、ラムネの匂いと石鹸の匂いが鼻腔をくすぐった。
振り替えると「待たせた?」と悪戯っぽく笑う、あの時から少し大人びてピアスを着けた君がいた。
もう会えないと思ってた。諦めようと思ってたのに。
「遅い、待たせ過ぎだよバカ。」と変わらないセリフを言う。
「だからラムネ瓶、僕のと君の分買ってきた」と笑いながら変わらずに僕に渡した。

4/28/2024, 1:02:37 AM

[綺麗事じゃなくて]

星空の下、私が1歩踏み出したとき君は私を引っ張りあげて助けた。私が少し落ち着くと彼が優しく「どうしてそういうことをしようとしたの?」と聞いてきた。少し言うか、躊躇って俯きながら
「私には生きてる意味がないし、何も出来ないから」と呟いた。
『皆も頑張って生きてる』とか『今は辛いかもしれないけど頑張れば報われる』とか『しんどいのは貴方だけじゃない』何千回も聞いた見当外れなセリフを言われるのかな。そう思うと憂鬱になってフードを引き下げる。
でも、君は「じゃあ、僕が君の生きる理由になるよ。君は僕と毎日話してよ。そうしてくれると僕は幸せになる。人の一人を幸せにするだけでも難しいし凄いことなんだよ」と温かい笑顔で言った。

それから君と過ごす毎日は新鮮で知らない事ばかりで世界はこんなに楽しくて温かいんだと気付かせてくれた。

「私に生きる意味をくれて、ありがとう」と小さく言うと彼はあの時のように優しく微笑んでくれた。

4/27/2024, 4:35:48 AM

[善の皮を被った悪女]
パンッ。乾いた音が教室に響く。
叩かれた痛さで涙が滲む。
「痛っ…何?」と相手を歪む視界で見る。
何か叩かれるようなことをしたかと思案していると
「皆あいつに騙されてるの!何であんたなんかが!」と私を睨みながら言う。
友達が私のもとによってきて口々に「急に叩くなんて最低!」「大丈夫?!」と心配したり相手に向かって罵倒する声が聞こえる。こうなるのはわかってたはずなのに。私は涙を拭い、頬を抑えて
「私は大丈夫だからっ…何か気に触ることしてたらごめんね」と私を睨む彼女に謝る。友達は私に
「謝ることないよ!」
「優しくて良い子だからって僻んで叩くなんて」
クラスの子も相手を責め立てる。
誰かが先生を呼んできたらしく相手は先生につれられそうになったとき私は走って彼女の傍に行って
「何かしてたらごめんねっ」と目を潤ませて謝る。

去り際に「私が貴女のその下手な陥れる演技に騙されるわけないでしょ」と小さく言うのも忘れずに。

4/25/2024, 10:55:25 PM


今日は流れ星が見えるそうだ。
だから、今日はこっそり家を出て近くの丘から見たい。服の上にいつもは隠してつけている星のペンダントを出してみる。
__今年こそは君に会えますように。
心の中でそっと願ってみる。

時計を見ると10時半になっていた。そろそろ行こうか。物音をたてないように静かに裏口から出てあらかじめ用意していた靴をはく。思ったりより簡単に家を抜け出せたことに安堵して丘に向かって歩き出す。
丘に着くとたくさんの星と、一人の人影が見えた。
人影に近づくと、私が会いたかった少年だった。少年は、私の顔をみてからペンダントを見て驚いた顔をする。
「やっと、会えた。」

視界の端で星が降った気がした。

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