風に乗ってひらひらと桜が舞い落ちる。
「あっ」すぐ手前に散った桜の欠片を掴んだ。
昔、貴方が教えてくれたことを思い出す。
「ねぇねぇ、知ってる?桜の花びらを片手で掴めたら願いが叶うんだって!」
「ほんと?!じゃあね、掴めたら___」
もう、あの時なんて言ったのかは思い出せない。
でも昔は掴むことができなかったけど今は掴めた。
もう願うことは決まってる。
「貴方が目覚めますように」小声で願ってみる。
貴方は3年前、交通事故にあってから目覚めない。
なんでも、子供を助けて轢かれたらしい。
貴方はどこまでも優しい人だ。だから、貴方が目覚めなくても「いつまでも待つよ」
風が強くなって、桜の欠片はふわりと空を舞っていった。
4/30/2024, 9:11:13 AM