メメメ

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4/15/2026, 11:48:48 AM

届かぬ想い


私には想い人がいる。それも随分長年の片想い。無駄な時間って分かってても、その想いはずっと捨てられなくて。
時々グッと近くなったり、急にパッタリ遠くなったり。いっつも弄ばれてる。
あの人に憧れて、追いかけて、途中何故か追われて。こっちの考えなんて全部お見通しなのに、全部は言わなくて。ニヤニヤしながらからかわれちゃう。
自分でもどうしていいか分からなくて、でもずっと大切。
なのにあの人の1番には絶対になれない。隣を歩くのは別の人。あの人の大切な人。
ズルいな、いいなって妬んだりはしないけど、ちょっと位はこの想い「お見通し」になってて欲しい。

6/5/2025, 2:04:38 PM

「水たまりに映る空」

子供の頃は水たまりをよく覗き込んだものだ。ファンタジーにありがちな「パラレルワールド」に繋がってるんじゃないかとか、水たまりの中に街があるんじゃないかって夢見たものだ。
大人になると水たまりはそもそも靴や服が汚れたり、車の水飛沫でびしょびしょになったりと、あんまりいい物に思えなくなる。

午後に雨が振り、道にはあちこち水たまりが出来ていた。空はすっかり晴れてはいたが、私の心は大変雨模様だ。
「はあー…」
深い溜息の理由は仕事のミスだ。見積書にミスがあったのにそのまま相手先にメールしてしまい多大なるご迷惑をかけてしまった。
上司からもお叱りを受け、絶賛ブルーな私。水たまりに夕陽が反射してオレンジ色にキラリと眩しいのがなんだか悔しい。悔しいって感情が正しいのかは分からないが悔しい。
家に帰り手早く夕食をとお風呂を済ませ夜の散歩に。暑すぎない季節だからこその楽しみでもある。フラフラと散歩をしているとまだ乾いてなかったのか小さくなった水たまりがあった。夕方見た色とは違い、月明かりに照らされ、星の光を飲み込んだ濃い青色。
気がつけば心の天気は雨が上がり、心には何も映ってない水たまりが出来ていた。

6/2/2025, 2:14:24 PM

「傘の中の秘密」


この前新しい傘を買ってもらった。今までは電車の絵柄の子供っぽい小さな傘。僕ももうおにいさんなんだからっておねだりして、少し大きめの青色の傘。でもずっとお天気が良くて傘の出番が来ない。部屋で時折開いては閉じてを繰り返し、翌日雨が降らないかなって思いながら翌朝迎えて、晴れていることにガッカリした。
いつもの様に部屋で開いて傘をくるくる回してた時だ。部屋の明かりは点けていたのに、部屋が夜空の様に真っ暗になって、辺り一面星空に囲まれていた。
あれ、僕夢見てるのかな?なんて頬をぺちっと叩いたけど叩かれた頬がじんわり痛くなったから夢じゃなかった。
「こんばんは」
「ピャァッ!」
いきなり声をかけられてびっくりして、上擦った変な声が出た。
声をかけたのは大きな身体の…駅長さん…?
「こ、こんばんは!」
改めて挨拶したけど…部屋には僕しか居なかったはず…?
「こんな所で人と会うとは珍しい。迷子かな?」
「へ…?だってここ、僕の部屋で…」
「お部屋…ああ、『繋がった』んですね」
「つながる?」
さっきからずっと分からない。この人は何を言ってるんだろう…?
僕がキョトンとした顔をしていたからか、駅長さん?が説明してくれた。
「すみません、説明不足でしたね。ここは人間が普通は来れない場所なんです。そうですね、最近では異世界と言えばいいでしょうか。事故や強い衝撃で来られる事はあります。ですが、ごく稀にこの世界と貴方達の世界がうっかりくっついてしまうのです。」
「うっかり」
「ここの世界の管理者、少々雑な部分がありましてね…。とまあそんな訳で、貴方は偶然来てしまったのです。」
「ど、どうやったら戻れるの?」
異世界と聞いて少しワクワクもしたが、やはり自分の世界には帰らないといけない。
「ソレです」
駅長さんがスっと指したのは新しい傘。傘を開き、自分の世界へ繋がる穴に飛び込めば戻れるらしい。
無数の星あかりに照らされて駅長さんに教えてもらった「穴」の場所に来た。
「ではここでお別れです。久々に人とお話が出来て良かったです。ああそうだ、こちらをどうぞ。」
ぽんっ と傘にハンコを押された。
「今見てはいけません。ご帰宅後にご覧になってください。では、『よい旅を』」
背中を軽く押されすっかり僕は穴に落っこちってた。

ーーピピピピピ
部屋の目覚ましが鳴り響く。
「……はれ…?」
ベッドから落ちて、部屋には開いたままの傘が転がっていた。良かった、戻ってきたんだ。というかやっぱり夢だったのかな。
少し残念に思いながら傘を閉じようとした時に赤色のハンコが見えた。
「これ、昨日の…夢じゃなかったんだ」
でもちょっと人には話せない体験。だって「ぼくはおにいさん」だから。

4/21/2025, 2:23:35 PM

「ささやき」

君の細く透き通った声が耳を通る。
街が静まり、辺りは頼りない街灯と夜空の月明かりが僕らを照らす。まるで1つの舞台の様に。

短いけど動く度にサラリと流れる綺麗な髪、ツンと尖った鼻、白い肌、長いまつ毛と黒目がちの大きな瞳。とても美しい彼女だが、人と群れる事を嫌い、いつしか周りに人が寄ることは無くなった。
そんな彼女と唯一話すのがたまたま隣の席だった僕。特別仲良し、という訳ではないが他愛もない話をしている。彼女がクスクス笑うだけで辺りの空気が華やぐ。
マドンナがマドンナを辞退している謎現象だが、それでも彼女は気にしていない。嫌なものは嫌。それが彼女のスタンス。

4月にしては妙に暑い日だった。家族と出かけて帰宅後お風呂を済ませ部屋に戻ると一通のメッセージが来ていた。彼女からだ。何だろう、と確認する。

「20時に駅前来れる?」

昨日も学校で会ったのに何かあったのだろうか?僕はサッと準備を済ませ駅に向かった。
土曜日のこの時間というのもあり少し人は少なく感じた。
「ごめん、おまたせ」
「ううん、今来たところだよ。どうしたの?」
「えっと…ちょ、ちょっと場所変えてもいいかな。ここじゃちょっと」
「え?あ、うん、いいよ。どこ行く?」
「近くに小さい公園あったよね、そこ行こう」
彼女に従い公園に向かう。ブランコが2つと大人が登るには小さなジャングルジムがある最低限の公園。とりあえずブランコに座る。
キィ、キィと明らか重量オーバーなブランコからは悲鳴に似た音が奏でられていた。
「……」
彼女はブランコをゆったり漕いだまま俯いて黙っていた。本当に何かあったのではないだろうか。心配になり
「急にどうしたの?何か悩み事?」
「うん…と…」
ブランコを止め、ようやく口を開く。
「私ね、気がついたの。毎日学校で貴方に会い他愛のない話をして笑う時間がとても愛おしい。でも私は人といるのが嫌い。だけど貴方は違うの。なんて言うか…家族に近い感じ」
キュッと口を噤み、僕の耳を貸してと頼んだ。彼女に近づくと耳元でとても大切な言葉を告げた。
暗がりで表情は読み取れなかったけど、きっと僕と同じく耳まで赤くなっているだろう。


「 」


彼女の小さなささやきは僕の心に大きく響いたのだった。

4/20/2025, 1:45:23 PM

「星明かり」

※思いがけず長文になってしまいました。お時間がある時に読んでいただけると幸いです。


随分上を見上げていない。毎日朝から満員電車に揺られ、仕事じゃPCに張り付き、帰りはクタクタになって俯いてる。
昔は家族でキャンプに行き、芝生に寝転び空を眺めていたのに。夜はランタン1つ消せば瞳に映りきらない程の星に覆われ、月明かり頼りにこっそり父親と夜のココアを堪能したものだ。
「あぁ、疲れたな…」
今日もよく働いた。そうだ、今週頑張れば社会人にもゴールデンウィークが来るじゃないか。
「久々にキャンプ…行こうかな」
パッとスマホを取り週間天気を調べる。ゴールデンウィークは中々に良い天気じゃないか。遠くなくてもいい。近くのキャンプ場キャンプ場、と…あった。車で1時間か…近…くはないけどそれ位は許容範囲内だ。
実家にキャンプ道具あったっけな…連絡してみよう。
「ポポン」
早っ。たまたまスマホ見てたのかな…良かった、色々あるみたい。荷物も近日中に持ってきてくれるらしい。助かる。後必要な物はネットでポチっと。3日後には届くし、後はキャンプ場の下調べをしっかりしておこう。

週末ー
キャンプに必要な物、ネットで買ったその他諸々OK。食材は頑張りたくないから皆大好きカップ麺。外で食べるカップ麺の美味さたるや。おっとヨダレが…よし、ヨダレも拭いたし出発だ。
しかし良い天気で良かった。気温差も少ないし、夜間もそこまで寒く無いのがいいよね。
お気に入りの音楽かけて1時間の小ドライブ。あっという間につき受付を済ませる。
早めに設営してのんびりしようじゃないか。テントの設営なんて小さい頃にしたきりで、えらくモタモタしてたら管理人さんが助けてくれた。自然な囲まれると人は優しくなれるのかな。
何とか設営終了。存外陽射しが暑い…汗を拭ってふと思い出す。近場に温泉があるじゃないか。いそいそと準備してお風呂に。昼間からお風呂とか最高じゃん?
少しぬるめの温泉に身体を溶かし、すっかりふやけた身体にひんやり爽やかなオレンジジェラートが美味しい。
「うまぁ…至福ぅ…」
休憩所で少しまったりしてテントに。と言ってもテントでもまったりするけども。
ぼんやりと外を眺める。家族でキャンプ、カップルでキャンプ、自分を含めたソロキャンプ。各々好きな事をしてる。そうか、自由な時間なんだ。ゴロリと芝生に寝っ転がってみた。遠くの雲がゆっくり流れてる。空って広いんだな…。そよそよと穏やかな風が風呂上がりの頬を撫でていく。心地がよく日々の疲れもありうたた寝してしまった。
「…ん…寒…寝ちゃった…」
辺りはとっぷり日が暮れすっかり夜の帳を降ろしている。やっちまった、寝すぎた…。時刻は18時を過ぎている。体も冷えたし暖かいカップ麺で温まろう。3分が長く感じる。いい香りだなあ。お腹の虫がぐぅぐぅ泣き喚いてる。待っててね腹ぺこ虫さん。
ピピっとタイマーがなり蓋を取る。湯気すら美味しいなんて罪なヤツめ。ズルズルっと麺を啜り、暖かいスープも飲む。
「美味すぎる。普段食べない分余計美味しい。幸せだぁ」
はふはふと熱気を逃がしながらもあっという間に食べ終わった。
片付けをして日中読もうと思って持ってきた本を読む。夜の読書って好きだなあ…
パラパラと読み進め、ふとスマホを見る。時刻は25時を過ぎていた。日中しっかり寝たから眠たくないんだ。
本を閉じ、テントの外を見る。ほとんどのテントは明かりが消えている。そうだ。1番の目的。
「ココアを水筒に入れて…と。ランタン持って…よし」
周りの人を起こさない様にそっとテントから出て散策。いくら整備されてるとはいえ少し怖い…。急ぎ足で高台に向かう。
小さなベンチに座りランタンを置いてコップにココアを注ぐ。周囲に甘い香りが漂い幸せな気持ちになる。ふー、ふー…ズズ…夜中に飲むには余りにも罪深い幸福感に思わずにやけてしまう。
ランタンを消して空を見上げる。そこに広がる沢山の星。一つ一つは小さく見えるけど、こんなにも明るい。月明かりとは違う白、赤、青に輝く無数の星々。昔に比べ視力が落ちたとはいえ、その空は余りにも綺麗で、ココアが冷めてしまう程に魅入った。
手先が冷えてきたのと、トイレに行きたくなりテントのある所に戻る。朝起きなくちゃだしそろそろ寝るか。カチリとランタンを消した。

白い朝日が隙間から入り込み起きる。心地の良い朝だ。コーヒーを準備している時に腕に痒みを覚えた。なんだろう?袖を捲ると3箇所虫刺されにあっていた。小さな赤い点を結ぶと三角形になるではないか。
「ちょっと早めの夏の大三角かよ」
1人で思わず笑ってしまった。

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