メメメ

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「星明かり」

※思いがけず長文になってしまいました。お時間がある時に読んでいただけると幸いです。


随分上を見上げていない。毎日朝から満員電車に揺られ、仕事じゃPCに張り付き、帰りはクタクタになって俯いてる。
昔は家族でキャンプに行き、芝生に寝転び空を眺めていたのに。夜はランタン1つ消せば瞳に映りきらない程の星に覆われ、月明かり頼りにこっそり父親と夜のココアを堪能したものだ。
「あぁ、疲れたな…」
今日もよく働いた。そうだ、今週頑張れば社会人にもゴールデンウィークが来るじゃないか。
「久々にキャンプ…行こうかな」
パッとスマホを取り週間天気を調べる。ゴールデンウィークは中々に良い天気じゃないか。遠くなくてもいい。近くのキャンプ場キャンプ場、と…あった。車で1時間か…近…くはないけどそれ位は許容範囲内だ。
実家にキャンプ道具あったっけな…連絡してみよう。
「ポポン」
早っ。たまたまスマホ見てたのかな…良かった、色々あるみたい。荷物も近日中に持ってきてくれるらしい。助かる。後必要な物はネットでポチっと。3日後には届くし、後はキャンプ場の下調べをしっかりしておこう。

週末ー
キャンプに必要な物、ネットで買ったその他諸々OK。食材は頑張りたくないから皆大好きカップ麺。外で食べるカップ麺の美味さたるや。おっとヨダレが…よし、ヨダレも拭いたし出発だ。
しかし良い天気で良かった。気温差も少ないし、夜間もそこまで寒く無いのがいいよね。
お気に入りの音楽かけて1時間の小ドライブ。あっという間につき受付を済ませる。
早めに設営してのんびりしようじゃないか。テントの設営なんて小さい頃にしたきりで、えらくモタモタしてたら管理人さんが助けてくれた。自然な囲まれると人は優しくなれるのかな。
何とか設営終了。存外陽射しが暑い…汗を拭ってふと思い出す。近場に温泉があるじゃないか。いそいそと準備してお風呂に。昼間からお風呂とか最高じゃん?
少しぬるめの温泉に身体を溶かし、すっかりふやけた身体にひんやり爽やかなオレンジジェラートが美味しい。
「うまぁ…至福ぅ…」
休憩所で少しまったりしてテントに。と言ってもテントでもまったりするけども。
ぼんやりと外を眺める。家族でキャンプ、カップルでキャンプ、自分を含めたソロキャンプ。各々好きな事をしてる。そうか、自由な時間なんだ。ゴロリと芝生に寝っ転がってみた。遠くの雲がゆっくり流れてる。空って広いんだな…。そよそよと穏やかな風が風呂上がりの頬を撫でていく。心地がよく日々の疲れもありうたた寝してしまった。
「…ん…寒…寝ちゃった…」
辺りはとっぷり日が暮れすっかり夜の帳を降ろしている。やっちまった、寝すぎた…。時刻は18時を過ぎている。体も冷えたし暖かいカップ麺で温まろう。3分が長く感じる。いい香りだなあ。お腹の虫がぐぅぐぅ泣き喚いてる。待っててね腹ぺこ虫さん。
ピピっとタイマーがなり蓋を取る。湯気すら美味しいなんて罪なヤツめ。ズルズルっと麺を啜り、暖かいスープも飲む。
「美味すぎる。普段食べない分余計美味しい。幸せだぁ」
はふはふと熱気を逃がしながらもあっという間に食べ終わった。
片付けをして日中読もうと思って持ってきた本を読む。夜の読書って好きだなあ…
パラパラと読み進め、ふとスマホを見る。時刻は25時を過ぎていた。日中しっかり寝たから眠たくないんだ。
本を閉じ、テントの外を見る。ほとんどのテントは明かりが消えている。そうだ。1番の目的。
「ココアを水筒に入れて…と。ランタン持って…よし」
周りの人を起こさない様にそっとテントから出て散策。いくら整備されてるとはいえ少し怖い…。急ぎ足で高台に向かう。
小さなベンチに座りランタンを置いてコップにココアを注ぐ。周囲に甘い香りが漂い幸せな気持ちになる。ふー、ふー…ズズ…夜中に飲むには余りにも罪深い幸福感に思わずにやけてしまう。
ランタンを消して空を見上げる。そこに広がる沢山の星。一つ一つは小さく見えるけど、こんなにも明るい。月明かりとは違う白、赤、青に輝く無数の星々。昔に比べ視力が落ちたとはいえ、その空は余りにも綺麗で、ココアが冷めてしまう程に魅入った。
手先が冷えてきたのと、トイレに行きたくなりテントのある所に戻る。朝起きなくちゃだしそろそろ寝るか。カチリとランタンを消した。

白い朝日が隙間から入り込み起きる。心地の良い朝だ。コーヒーを準備している時に腕に痒みを覚えた。なんだろう?袖を捲ると3箇所虫刺されにあっていた。小さな赤い点を結ぶと三角形になるではないか。
「ちょっと早めの夏の大三角かよ」
1人で思わず笑ってしまった。

4/20/2025, 1:45:23 PM