「水たまりに映る空」
子供の頃は水たまりをよく覗き込んだものだ。ファンタジーにありがちな「パラレルワールド」に繋がってるんじゃないかとか、水たまりの中に街があるんじゃないかって夢見たものだ。
大人になると水たまりはそもそも靴や服が汚れたり、車の水飛沫でびしょびしょになったりと、あんまりいい物に思えなくなる。
午後に雨が振り、道にはあちこち水たまりが出来ていた。空はすっかり晴れてはいたが、私の心は大変雨模様だ。
「はあー…」
深い溜息の理由は仕事のミスだ。見積書にミスがあったのにそのまま相手先にメールしてしまい多大なるご迷惑をかけてしまった。
上司からもお叱りを受け、絶賛ブルーな私。水たまりに夕陽が反射してオレンジ色にキラリと眩しいのがなんだか悔しい。悔しいって感情が正しいのかは分からないが悔しい。
家に帰り手早く夕食をとお風呂を済ませ夜の散歩に。暑すぎない季節だからこその楽しみでもある。フラフラと散歩をしているとまだ乾いてなかったのか小さくなった水たまりがあった。夕方見た色とは違い、月明かりに照らされ、星の光を飲み込んだ濃い青色。
気がつけば心の天気は雨が上がり、心には何も映ってない水たまりが出来ていた。
6/5/2025, 2:04:38 PM