「雪(ゆき)くん持ってきたよ~」
園芸用の土を運んできたリサの髪は、いつもと違って長い髪を高く結っていた。
「あ、リサ。ありがとう、そこ置いといて」
雪とリサは袖を捲り、軍手をしている。委員会の仕事で花壇を作ることになったのだ。
「先生も急に言うなんて酷いよー私今日アイス食べに行こうと思ってたのに~」
「さっさと終わらせるぞ」
「そうだね」
二人は先生から聞いたやり方で、花壇の土を作っていく。
「そういえば、お花ってどこにあるの?」
「今はまだ校舎にあったはず、後で俺が取ってくるよ」
「わかった、よろしくね!」
「...ふぅ、こんなもんかな」
「やった、次はお花だね」
「そうだな…って、うわ!」
視界にうにょりと動く、ピンク色の生物が写った。雪はざりっ、と身を引く。
「...うわ、ミミズ...」
俺ミミズ嫌いなんだよなー...と顔を背けようとした時だった。
バチッ
リサが花壇にスコップを振り下ろしていた。
丁度、雪がミミズをみた辺りに。
「......リサ、そこミミズが...」
「何?」
先程となんら変わらない顔を見せる。
「...あ、ミミズ?土の栄養になるし、大丈夫だよ」
スッ、とスコップを退けるが、そこにミミズは居なかった。
(...土の中、だよな?そうだよな)
雪は自分にそう言い聞かせて「花取ってくる」とその場を離れた。
「...土の中かな。つまんな」
と、リサはその土を少しいじった。
お題 「子供のように」
出演 リサ 雪
「やぁやぁ真人(まひと)クン~✋」
手を上げて軽く走ってきたのは少し疲れた顔をした陽太(ひなた)だ。
「なんでこっち来たんだよ」
「いやぁーちょっと疲れたから休憩がてらに」
ぼけっと立っていた真人の隣に当たり前の様に立った。
「でもすぐあっち行けるよな」
「真人もきっと行けるよ」
「俺は元から居るから戻れないんだよ」
「えー悲しい😢」
「まぁ俺の分まで頑張ってくれよ」
そう言って軽く笑うと陽太は「よっしゃ陽太クンいっちょやったるで~」と軽く肩を回した。
「あ、来た」
「はい、いってらー」
陽太は味方からボールを受け取る。
「佐々木ぃ!!食らえッッ!!!」
振り上げられた腕を勢いよく振り下ろすと、とんでもない速さで佐々木に向かってボールが飛んで行った。
「ギャアッ!!!」
バゴンッと音を立てて佐々木の肩にボールが当たった。
「いってぇ!次俺陽太当てるから!!」
「当てれるものなら当ててみな!!」
じゃあ、また!と陽太は真人に手を振る。
「真人も頑張ってこっち来てね!!」
「だーかーらー俺元々外野だから戻れないって!」
話聞けよ!と戻る陽太の背中に向かって言い放った。
お題 「束の間の休息」
出演 真人 陽太
「真人(まひと)~アイス買ってこ~」
そう言ってコンビニを見る陽太(ひなた)。
「悪。金欠」
「マ?」
「ま。あんな頻繁に食ってたら、金欠なるだろ」
真人は悔しそうに「金がねぇ...」と呟いた。
「じゃあ俺のやつ半分あげる。二つに分かれるやつとかあるじゃん?」
「おま、そこまでして食いたいのか」
「ノンノン真人くん。俺はそこまで食い意地無い」
コンビニに入り、陽太は目当ての二つアイスを探す。真人は、ぼけっとそんな陽太を見ている。
「じゃあなんでそこまで食いたいわけ?陽太ってもしかしてアイスマニアだった?」
「発想が面白いね真人クン。アイスマニアは考えてなかったよ」
お、見っけ~と陽太はショーケースを開けてそのままレジへと持っていく。
「...やっぱ俺も食うんだし払う」
「はい駄目~真人は払っちゃ駄目です~残念でした~俺に奢られてくださ~い」
陽太はササッと会計を済ませてしまった。
二人は土手に座って、夕日を眺めてアイスを頬張る。
「うんめー」
「...なんか悪いな」
「悪くなーい」
「...でもなぁ...」
食べてはいるが、浮かない顔をしたままの真人に陽太は言う。
「じゃあ真人クンが大学生になって、バイトして、金銭的余裕ができたら!...奢られてあげるよ?」
「奢ってよ、とかじゃなくて奢られてあげるかよ」
「だって~真人は俺のワガママに付き合ってくれてるんだから、このくらい当然なんだけどね」
「ワガママじゃねぇけど」
「え?」
「俺はそれに好きで付き合ってるわけだしなぁ」
もにょもにょとアイスを食べる真人を見る。
「ほ、へぇふぅん?」
「なんだその返事」
「真人って意外と緩いんだなぁって」
「緩い...?」
「わは」
黄昏時にアイスを食べる二人であった。
お題 「たそがれ」
出演 陽太 真人
「俺らそろそろ帰るね」
そう言って拓也(たくや)が準備すると玲人(れいと)も同じく立ち上がる。
「今日はありがとう、楽しかった」
「ううん、私こそ物が少なくてごめんね」
「普段と違うからそれも楽しかったよ」
玲人はさりげなくフォローを入れた。
「...じゃあ私もそろそろ...」
葉瀬(ようせ)が立ち上がろうとした時、不意に秋(あき)に袖を掴まれる。
「あ...葉瀬ちゃんには残ってほしいな...」
二人にしか聞こえない距離で秋は告げる。葉瀬も何かを感じ取ったのか何も言わずに頷く。
「葉瀬準備できたか?置いてくぞ」
「あー、ごめん。私たち今日お泊まり会するから帰んないわ」
「えーいいなー俺もしたい」
「女子限定なので~?今日は駄目~」
また今度やろうね、と葉瀬は拓也に言う。
二人をドアまで見送ると、葉瀬は部屋に戻って
「それで、どうしたの?」
と問いかけた。
「えっと...葉瀬ちゃんは拓也が好きであってるんだよね?」
「うん、それがどうした?」
「あのね____...私も好きなんだ」
「......誰が?」
「拓也のことが、私も好きなの」
空気が止まる。秋は苦しそうに葉瀬を見る。
「葉瀬ちゃんは拓也が好きでしょう?言っておかないとと思って」
「そう...」
「...ごめんなさい、葉瀬ちゃんが先に好きになったのに......」
俯いて、今にも泣き出しそうだ。
「本当に、ごめんなさ...」
「いいよ」
「そうだよね......え?」
「ん?」
「え、えっと?え?」
「...ごめんね、秋。騙してて」
葉瀬は申し訳なさそうに言う。秋は戸惑うばかり。
「その...拓也が好きって言うのは、嘘なんだ」
「...どういうこと?」
「...あ、秋に諦めないでほしくて...」
「?」
「だ、だって!!このままじゃ...!」
今度は葉瀬が泣きそうになる。
「お、落ち着いて葉瀬。私なら大丈夫だよ」
「嘘ついてごめん...」
「とりあえず、葉瀬は拓也が好きなわけじゃないんだね」
「うん...」
「...そっかぁ...良かった...」
ごめんねぇ...と抱きついて再び葉瀬は謝る。
「大丈夫だよ。ありがとう葉瀬ちゃん」
「本当ごめん...」
「もう止めてよ。私も自覚できたんだし、ね?」
そう言うと落ち着いた葉瀬は肩に頭をぐいぐいと押し付けた。
「...なら、拓也について聞いてもいいよね?」
「えっ!?」
「大丈夫~私も話すから」
「え?」
「私は、玲人が好きなんだ」
「...えー!?」
「うふふ」
二人のお泊まり会はまだ始まったばかり。
お題 「別れ際に」
出演 秋 葉瀬 拓也 玲人
皆さん少し寒くなって秋に近づいてきましたね。さて、そんな皆さんに質問です。
Q,秋と言えば?
「秋と言えば?...紅葉だね!もうそれしか今出てこないよ!...読書?あー確かに」
「秋と言えば...?えー......読書とか?ほら、読書の秋って言うじゃん。え、何、紅葉?......あー...」
「え、可愛いでしょ。他?んー......優しいし、あとは......読書?あぁ、それもある」
「秋と言えばやっぱり、読書だね。本屋さんに新しい本沢山並ぶから嬉しいよ」
「秋と言えば!!芸術の秋🍁🎨!!俺の芸術を世界に広めちゃうね!!」
「スポーツの秋かな。え?あいつ芸術って言ってたの?あいつが?本気で言ってる?」
「秋かぁ...焼き芋とか美味しいよね。あ、じゃあ食欲の秋だ」
「秋......われは秋やすみがほしい!なんで春と夏と冬はあるのに秋はないだ!!秋は!!まぁ宿題でないし、いいや」
皆さんご回答ありがとうございました。
あなたの秋はどんな秋ですか?
お題 「秋🍁」
出演 葉瀬 玲人 拓也 秋 陽太 真人 舞 きらり